67万件のペット統計データをまとめた「家庭どうぶつ白書2017」
ペット保険のアニコム損保から昨日、ペットに関する様々な統計情報をまとめた「家庭どうぶつ白書 2017」が公開されました。
これは同社の67万件を超える保険契約を元にしたデータを取りまとめたもので、ペットのデータ集としては国内最大規模。
本記事では、本書に収録されているペットに関する様々なデータの中から、飼い猫の名前ランキングや品種ランキングをはじめ、品種別の診療費用、疾患別の統計、死亡要因など、「猫」に限定したデータをピックアップしてご紹介したいと思います。
主に保険契約のデータを元にしている点を考慮する必要はありますが、これほど大規模なデータが公開される機会は少ないと思いますので、猫を飼っている方はもちろん、これから猫を飼おうと思っている方も参考がてら眺めてみてはいかがでしょうか。
猫の名前ランキング
まずは調査データの定番、猫の名前ランキングからご紹介。総合、オス、メスと3つに分かれた名前ランキングになっていますが、上位には「ソラ」「レオ」「モモ」など、いずれも近年人気の高い名前が並んでいます。
括弧内は前年順位で、特に「キナコ」「コテツ」「サクラ」といった名前は順位が急上昇しており、今年を含む最近のトレンドを表している名前と言えそうです。猫を飼い始めたばかりで名前を検討中の人や、これから猫を飼う方には参考になるかもしれませんね。
猫の品種ランキング
続いて保険契約をしている猫の中で、頭数の多い猫種のランキングです。
※品種名(頭数/割合)
■全年齢
1. 混血猫(17,616 / 22.7)
2. スコティッシュ・フォールド(12,739/16.4)
3. アメリカン・ショートヘア(9,525/12.3)
4. 日本猫(5,115/6.6)
5. マンチカン(4,724/6.1)
6. ロシアンブルー(3,698/4.8)
7. ノルウェージャン・フォレスト・キャット(3,420/4.4)
8. ペルシャ/チンチラ(2,599/3.3)
9. メイン・クーン(2,470/3.2)
10. ラグドール(2,467/3.2)
■0歳のみ
1 スコティッシュ・フォールド(3,380/21.5)
2 アメリカン・ショートヘア(2,208/14.1)
3 マンチカン(1,735/11.1)
4 混血猫(1,315/8.4)
5 ノルウェージャン・フォレスト・キャット(961/6.1)
6 ブリティッシュ・ショートヘア(840/5.4)
7 ロシアンブルー(641/4.1)
8 ラグドール(591/3.8)
9 ペルシャ/チンチラ(514/3.3)
10 メイン・クーン(499/3.2)
全年齢で見ると混血種の猫の数が最も多いですが、0歳に限ると混血種は4位。子猫の場合は純血種の猫を迎え入れている飼い主さんが多いようです。また、年齢に限らずスコティッシュフォールドとアメリカンショートヘアの人気が頭一つ抜けているような感じですね。
品種によって人気の偏りが見られる一方で、専門家からは猫の品種によってかかりやすい病気があるとも指摘されますが、保険の契約データから品種によってどのような差異が見られるのでしょうか。
品種別のデータを見ていきたいと思います。
猫の診療費用(品種別)
保険契約数の上位10種について、その平均寿命(歳)をまとめたものが以下のデータです。
1 混血猫(14.3)
2 スコティッシュ・フォールド(13.4)
3 アメリカン・ショートヘア(13.5)
4 日本猫(14.3)
5 マンチカン(11.2)
6 ロシアンブルー(13.1)
7 ノルウェージャン・フォレスト・キャット(12.6)
8 ペルシャ/チンチラ(13.9)
9 メイン・クーン(12.5)
10 ラグドール(13.5)
※猫全体(14.2)
混血種はさまざまな猫種と血が混ざり合うことで免疫力が高まるのと同時に、血統が薄まることで種固有の遺伝性疾患を受け継ぎづらくなり、結果的に長生きしやすいと言われていますがそれを裏付けるような結果となりました。
続いて品種別の診療費用を見ていきます。
猫の診療費用(品種別 )
下記は0歳から12歳までの猫における年間診療費の平均額です。
混血猫(60,544円)
スコティッシュ・フォールド (43,372円)
アメリカン・ショートヘア (50,842円)
日本猫(57,441円)
マンチカン(37,658円)
ロシアンブルー(52,573円)
診療の中身にもよりますが、意外にも!?混血種の診療費用が最も高いという結果に。
そして猫種ごとに何歳くらいから診療費用が増加するのかを表しているのが以下のグラフで、グレーの折れ線が犬全体の診療費を、緑の折れ線が猫種の診療費を表しています。
猫は7歳(人間で言うと約44歳)頃から高齢期に入ると言われていますが、緑の折れ線グラフを見ると、実際に診療費も7歳頃から上がり始める種が多いことが分かります。
また、アメリカンショートヘアやマンチカンなどは11歳頃から診療費が急増しており、種固有に見られる傾向も興味深いですね。
疾患別の統計
続いては猫の種類別ではなく、猫全体でどのような疾患が多いのかについて取りまとめたデータです。下記は保険契約をしている猫のうち、実際に保険金の支払いがあった猫の割合を疾患別に表しています。
泌尿器疾患、症状、消化器疾患、皮膚疾患の順に請求割合が高い結果となっていますが、突出した割合を示している疾患はみられません。このデータをオスとメス別に見てみると、オスのほうが請求割合が高い(≒疾患にかかる個体が多い)という結果に。
本調査データの中には、猫はオスよりメスの方が寿命が長い(オス=13.7歳、メス=14.8歳)という結果も出ており、その背景にはメスの方が疾患にかかる個体が少ないことも関連がありそうですね。
さらに疾患別に、何歳くらいから請求割合が増加するのかを表しているのが以下に挙げる3つのグラフ。猫に多いと言われる泌尿器疾患は7歳ごろから増加傾向にあるのが分かります。
また、循環器、肝/胆/膵、歯/口腔、腫瘍など多くの疾患で6〜7歳ごろから、
内分泌疾患も7歳前後に増加する傾向が見られます。
ただしどちらも左軸の上限目盛りは4.5%なので、そのような傾向はあるものの、全体に占める割合としてはそれほど高くないと言えるでしょう。
死亡要因
最後に猫の死亡要因について、0歳、5歳、10歳、12歳以上の4区分による比較です。
0歳は感染症による死因が4割強を占めているのが特徴的ですが、その他の年齢では泌尿器と腫瘍による死因が多く、10歳以上になると呼吸器系の死因も目立つようになります。
何歳くらいから死亡割合(死亡解約数の割合)が増加するのかを示したグラフでは、6歳前後から徐々に増加傾向が見られ、11歳で大きく上昇しています。
さて、いろいろなデータを紹介してきましたが、普段はなかなか見ることのない興味深いデータや、猫を飼っている人にとってはあまり意識したくないデータも含まれていましたね。中には愛猫の健康や将来について考えるきっかけになったという方もいらっしゃるのでは。
出典元の「家庭どうぶつ白書2017」は無料で公開されており、猫以外にも犬やその他の動物についてのデータも掲載されていますので、興味のあるかたは参照してみてはいかがでしょうか。