アコーディオンの演奏中にひたすら邪魔をする猫と、決して弾くことを止めない飼い主さん→静かな攻防が愛に満ちていて何とも微笑ましい

猫は人間が何かに集中していると邪魔をしてくることがあります。

机の上で人間が勉強しているのを猫が邪魔するイメージ
邪魔をせずにはいられニャい

パソコンで作業をしているとキーボードの上を歩いたり、スマホやタブレットを操作していると画面の前に割り込んできたり、机に本やノートを広げると上に乗って座り込んだりと、そのシチュエーションはさまざま。しかし、猫は誰でもいいから邪魔をしたいという訳ではありません。

動物学者の今泉忠明さんによると、猫が人間の邪魔をする理由は、飼い主さんが関心を向けている対象への好奇心、あるいは自分に構ってくれないことへの不安からくる行動であると指摘。特に小さい頃から飼われている猫はその傾向が強いとされています。(参考:図解雑学 ネコの心理)

つまり、飼い主さんが何かに集中している時は、猫ちゃんにとって邪魔をしたくなる格好の機会。サビ柄のマンチカン「ニュイちゃん」は、そんな説を裏付けるようなタイミングで邪魔をしてくる猫ちゃんで、アコーディオン奏者の飼い主さんがお部屋で練習をしていると上に乗ってきてしまう女の子です。

アコーディオンの上に乗る猫
顔の近くがベストポジションにゃ

アコーディオンは両肩にベルトをかけて、前方にランドセルを抱っこするような形で演奏する楽器。

基本的には鍵盤やボタンの数が増えるほど重くなる構造になっていて、重量は軽いものでも3kgほど、重いものでは10kgを超えるものもあり、その上に猫の体重が加算されてしまうことは演奏上かなりのディスアドバンテージ。さらにその上で動き回られると重心が変化することになり、演奏者は増加した重さに耐えながらバランス力も同時に求められるため、パフォーマンスの難易度が跳ね上がってしまうことは想像に難くありません。

サビ猫のニュイちゃんも、アコーディオンの上ではじっとしていられない性分。飼い主さんが最近公開した動画では、楽器本体に顔をこすりつけたかと思うと、飼い主さんが演奏している指にまで身を乗り出してスリスリ。アコーディオンのボタンの半分くらいは猫ちゃんの体によって隠されているため、演奏そのものに影響を与えそうな妨害行為を披露しています。

演奏中のアコーディオンの上に乗ってスリスリする猫
まずは楽器本体にスリスリ
アコーディオンを演奏する飼い主さんの手にスリスリする猫
演奏中のお手々にもスリスリ

アコーディオンの上に戻ると今度は、演奏者の顔面にお尻を向けて、あたりをキョロキョロ。

飼い主さんが演奏するアコーディオンの上に乗る猫
よし、お次はあっちニャ
アコーディオンを演奏する飼い主さんにお尻を向ける猫
お尻を向けられてしまう飼い主さん

猫は狩りをしていた頃の名残から、自分の臭いを消そうとする習性を持つキレイ好きな動物ですが、お尻の臭いを至近距離で嗅がされるとさすがに堪えるのは、猫の飼い主さんにとって周知の事実。


その臭いを正面から受け止めているのか、それとも鼻の息を止めているのか、目を閉じて苦悶の表情を浮かべながらも演奏を続ける姿は、まるで猫の飼い主に与えられた試練に耐えているかのようです。

アコーディオンに乗る猫に我慢しながら演奏を続けるチャラン・ポ・ランタンのアコーディオン奏者、小春さん
(早く下りてくれないかな…)

そんな苦労はお構いなしに、今度は背中でもたれかかるような体勢になりながら、飼い主さんの顔に体をこすりつけ始める猫ちゃん。

それを受ける側は視界を遮られてしまうのはもちろん、顔に猫の毛がついてしまったら掻かずにはいられません。これにはさすがの飼い主さんも怯んでしまったのか、顔の向きを変えてダメージを最小限に抑えながらも粘り強く演奏を続けています。

アコーディオンの上から降りようとする猫
今度はこっちへ移動して
アコーディオン奏者に体をこすりつける猫
背中でスリスリするニャー
アコーディオンから下りる猫
(当然前は見えません…)

ひとしきり邪魔をして満足したのか、ようやくアコーディオンから下りた猫ちゃん。

その様子を横目で見つめる飼い主さんの顔には、明らかに不満げな表情が浮かんでいますが、再三の妨害行為をたしなめることなく受け止め切った所作からは、猫への深い愛情が伝わってきます。

動画の中でアコーディオンを弾いているのは、姉妹音楽ユニット『チャラン・ポ・ランタン』のメンバーでアコーディオン奏者の小春さん。

姉妹音楽ユニット『チャラン・ポ・ランタン』のアコーディオン奏者・小春さんと、愛猫のニュイちゃん
チャラン・ポ・ランタンの小春さん

猫ちゃんに散々邪魔をされながらも演奏を止めない姿はまさにプロフェッショナル。一体どのような精神状態で弾いていたのか聞いてみると「諦めモードです。もはや毎回のことなのでアコーディオンからおろすのもやめました…」とお手上げの心境であったことを吐露。確かにいちいち猫ちゃんを下ろす手間を考えると、そのまま乗せて弾いてしまった方が良さそうな気もします。

また、練習面での影響については「支障はありまくるんですけど、とにかく時間がない時とか急いでるタイミングで乗ってくることが多いので、構わず弾いちゃってます。」と回答。一方で「多分私が焦ってるのとかが分かってて、わざと邪魔してるんじゃないでしょうか。」との疑念も抱いているようで、やはり、飼い主さんが集中したい時ほど邪魔をしてくるという説は的を得ているのかもしれません。

姉妹音楽ユニット『チャラン・ポ・ランタン』の小春さんのアコーディオンに乗る愛猫のニュイちゃん
構ってもらえると嬉しいニャ

小春さんのお家では、「ニュイ」ちゃんの他にもう一匹、「アン」ちゃんというマンチカンも同居中。2匹の名前を合体させると「アンニュイ」になるという、遊び心を感じられるネーミングの猫ちゃんたちです。

姉妹音楽ユニット『チャラン・ポ・ランタン』の小春さんの2匹の愛猫、サビ猫のニュイちゃん&アンちゃん
ニュイちゃん&アンちゃん

そんな2匹が小春さんのお家にやってきたのは、新型コロナの流行が猛威を振るっていた時。

猫を飼おうか迷っていたところ、保護猫の施設に関わっている知人から、アンちゃんとニュイちゃんの写真を送ってもらったのが、存在を知ることになったきっかけ。マンチカンは胴長短足の特徴を持つ個体が人気であるものの、この2匹は足長で売れ残っていたことから姉妹で一緒に引き取ることにしたのだとか。

性格はアンちゃんがよく食べてよく寝るおっとり系、ニュイちゃんはワガママで普段からずっと小春さんの側にいるという、姉妹だけれど全く違った個性を持っているのだそう。

2匹の愛猫を笑顔で抱きしめる姉妹音楽ユニット『チャラン・ポ・ランタン』の小春さん
愛されニャンコたち

写真からは飼い主さんに愛されている様子が伝わってきますが、小春さんの方も猫ちゃんたちから幸せをもらっているようで、「2匹が来てから最高な毎日を過ごしてます。元々世話するのは大好きなので、世話欲を満たしている毎日です。代わりと言ってはアレですが、私個人の浮いた話が全くなくなったことが若干の問題点ですかね。寂しさが消えたんでしょうか。」と、ユーモアを交えながら愛猫との暮らしぶりについて語ってくれました。

チャラン・ポ・ランタンの公式YouTubeチャンネルでは、本番の演奏中に猫ちゃんが乱入してきてしまうシーンも公開されています。

取材協力:小春 #チャラン・ポ・ランタン(@suttokodokkoiii)さん

<参考>
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