「どうしてこんなに仲良しなの」「親子にしか見えない」毎晩、ウサギを毛づくろいする猫の姿に44万いいねの大反響
猫は本来単独行動を好む動物ですが、他の動物と一緒に暮らしていると、種を超えた意外な交流が見られることもあるようです。
アメリカ在住の獣医師、和泉ユタカ(@IzuYuta)さんのお家では毎晩、猫がベッドで横になると10秒以内にウサギが姿を現すと言います。
猫の元へ嬉しそうに走ってきて、クンクンと匂いを嗅いだかと思いきや、甘えるようにごろんと横になるウサギ。
すると、待っていたかのように毛づくろいを始める猫。手でしっかりとウサギを抱きしめながら、念入りに何度も何度も舐めている姿は、まるで親猫が子猫をグルーミングしてあげているかのようです。
この動画がSNSのX(旧Twitter)へ投稿されると、9.5万件を超えるリポストと44万件の”いいね”が寄せられるほどの大反響。動画を見たユーザーからは「どうしてこんなに仲良しなの」「こういうの見ると動物飼いたくなる」「親子にしか見えない」「何回も見てしまいます」など、たくさんのメッセージが寄せられて大きな注目を集めています。
夜更け、猫がベッドに横になると10秒以内にウサが嬉々として登場する。 pic.twitter.com/KbAtVj4QVG
— 和泉ユタカ (@IzuYuta) March 6, 2024
とっても仲が良さそうな2匹は、猫のアルバートくん(♂通称アルくん)と、ウサギのゆずり葉ちゃん(♀通称ゆずちゃん)。
飼い主の和泉さんによると、ゆずちゃんの活動時間は夕方5時過ぎ〜朝の10時くらいで、その時間帯にアルくんが昼寝をしたりグルーミングしているのを見つけると、即座に駆け寄ってくるのだそう。その回数はなんと一日に平均して20回くらい。
そして、夜飼い主さんがベッドに入る時は、猫のアルくんも一緒に寝ようとやって来て、それをウサギのゆずちゃんが待ち構えるのが最近のルーティン。動画に映っているのは、その時の様子を捉えたものなのだとか。
ゆずちゃんは生後3ヶ月くらいの女の子で、和泉さんのお家にやってきたのは1ヶ月ほど前のこと。
本来ウサギは警戒心が強い動物であるけれど、それ以上に好奇心も旺盛で、特に子ウサギはまだ恐怖心があまりないため、他の生き物を怖がることも少ないのだそう。そして、ゆずちゃんもお家にやってきた初日から、興味津々でアルくんの匂いを嗅ぎに行っていたと言います。
一方、アルくんの方は仔猫の頃、同居していた別の強いウサギに「ウサ様に逆らうな」と躾けられていたため、ゆずちゃんに出会った当初は少し離れた場所でビクビクしながら観察。
しかし、元々穏やかな性格で他の動物とも仲の良い猫だったアルくんは、数日ほどでゆずちゃんに近付いて匂いを嗅いでみるようになり、1週間も経たないうちに一緒に昼寝をするほど距離が急接近。最初は密着されるとビックリして逃げていたけれど、段々と触れ合う時間が長くなり、グルーミングするべきか考え込むようになります。
そして2週間ほどしたある日、遂に恐る恐るゆずちゃんのことを舐めてみたアルくん。嫌がられないと分かると少しずつ大胆になり、やがて前足で抱き寄せるようにして舐め回し始めたと言います。
「職業柄、今まで無数の猫を見てきましたが、その中でもアルくんは群を抜いて性格が良いので、子ウサギや仔猫、仔犬なんかが家に来たらきっと可愛がるだろうな…とは思っていましたが、予想以上に仲良くなるのが早かったです。」
とっても微笑ましいエピソードですが、2匹はお互いのことをどのように認識しているのでしょうか。
飼い主の和泉さんに聞いてみると、「猫はウサギを自分が守って世話をしてあげなくてはいけない、小さな妹のような存在だと思っているようです。」と推測。確かに時間をかけてたっぷりとグルーミングしてあげている姿からは、猫がウサギの面倒を見てあげている感じが伝わってきます。
一方、ウサギの視点については、種特有の興味深い話を交えながら解説してくれました。
と言うのも、ウサギのグルーミング行動は序列(上下関係)を表しており、格下が格上を舐めるのが一般的。そしてたとえ格下であっても、格上から特別に許された「お気に入り」の存在でないと、グルーミングを許されないことが多いのだとか。それを踏まえたうえで、猫にグルーミングされているウサギの心境を考察してみると、「猫は自分専属のマッサージ師か、お気に入りの下僕のようなもの」という認識ではないかと考えられるのだそう。
動画ではウサギが猫に可愛がってもらいに来ているように見えますが、実は猫にグルーミングさせてあげていると思っているのだとしたら……微笑ましいはずの光景が、クスッと笑える光景に見えてくるから面白いですね。
この後、種を超えた毛づくろいタイムは20〜30分ほども継続。さすがに疲れてしまったのかアルくんが寝落ちしてしまうと、ゆずちゃんは鼻でツンツンして起こそうと試みるものの、そのうち諦めて一緒に寝てしまったのだと言います。
茶トラのアルくんは、おおらかでのんびりとした性格で、生き物全般に対してフレンドリーな猫ちゃん。ネズミのおもちゃで犬のように「取ってこい」をするのが得意な子。
一方のゆずちゃんはホーランドロップという品種のウサギさん。先代のウサギ(あやめたん)が病気で亡くなり、気落ちしていた飼い主さんのところへ、「飼育放棄された子ウサギがいるけれどどうか」と友人から電話をもらったのが出会いのきっかけでした。
飼育放棄の理由はトイレを覚えない、抱っこが出来ない、逃げる、家具をかじるなど、ウサギには当たり前のことだったそうですが、連絡があった翌日すぐさま飛行機で会いに行くことに。
そしていざ対面して見ると、ゆずちゃんには軽い鼻炎と脳神経系の症状が見られることを確認。他の人が飼うよりも、脳神経科の獣医である自分が飼ったほうが良いだろうとの思いから、そのままレンタカーを借りて850キロの距離を連れて帰ってきたのだとか。
そんな心優しい和泉さんは、猫とウサギだけでなく、ウマやネズミなども飼っている動物好き。自身のSNSでは動物たちとの何気ない日常風景が公開されています。
取材協力:和泉ユタカ(@IzuYuta)さん