温泉旅館の看板ネコが編み出した斬新な接客スタイル「かかと温め係」 その誕生秘話と魅力に迫る

日本各地の色んな店舗にいる看板猫。

そのお仕事はお客さんを出迎えたり癒やしたりと多岐にわたりますが、長野県野沢温泉村にある桐屋旅館(きりやりょかん)では最近、斬新な仕事を編み出した看板猫の姿が注目を集めています。

それはなんと、お客さんの「かかと」を温めるというマニアックな接客業務。その現場を捉えた写真がこちらです。

お客さんの踵(かかと)を温める看板猫の三毛猫きなこちゃん
実際のお仕事風景(提供:桐屋旅館)

ここは桐屋旅館のフロントで、青い上着を着て膝立ちのような格好になっているのがお客さん。その足元から一匹の三毛猫がひょっこり顔を出していて、お客さんのかかとを温めているかのように抱きかかえながら座っています。

よく見るとお客さんはスリッパを履けていない状態ですが、こんな風に猫ちゃんにくっつかれてしまったら動くわけにはいきません。最近流行っている「ネコハラ」の一種でしょうか、抱きつかれた感触がとっても嬉しいけれど肝心の猫ちゃんの姿はよく見えない…そんなもどかしい気持ちが伝わってくるかのような光景です。

この三毛猫の名前はきなこちゃん。

桐屋旅館の看板猫、三毛猫のきなこちゃん
お仕事中に居眠りすることも…

普段はお客さんのおもてなしをしたり、館内の見廻りをしたりして自由に過ごすのがお決まりのワークスタイル。チェックアウトのAM10時を過ぎると自ら一旦休憩を取ってお昼寝をし、夕方お客さんがチェックインする頃になるとムクッと起き出して自発的にお仕事を始めるという、働きっぷりの良い猫ちゃんなのだとか。

ところが今回、何故かお客さんのかかとを温める行動に出たきなこちゃん。

その一部始終について同旅館の片桐さんにお話を聞いてみると、写真に写っている人は常連のお客さんで、当時、片桐さんはきなこちゃんと一緒にフロントで接客をしていたと言いいます。すると、一瞬膝立ちの姿勢になったお客さんの太ももの間に、突然すっぽり入り込んでしまったきなこちゃん。そのまま後ろ側にまわって、かかとにちょこんと前足を乗せたのが写真で捉えたワンシーンなのだそう。

この光景を間近で見ていた片桐さんは「あ!新しい仕事をしている!」と、驚きや嬉しさの感情が湧いてきたのも束の間、すぐさま写真に収め、”かかと温め係”としてSNSに投稿。個性的な接客スタイルを捉えた写真には23,000件の”いいね”が寄せられるなど大きな反響を呼んでいます。

それにしてもきなこちゃんは、何故このような行動を取ったのでしょうか。

片桐さんに聞いてみると、きなこちゃんは元々お客さんの浴衣の裾やスカートの中に入り込むのが好きなのだそうで、その理由について「暖かくて気持ちが良いのだと思います。」と指摘。また、「ネコは自分が座っている地面より、少し高い場所にちょこんと前足を乗せるのが好きなようですので、その影響もあるのかもしれません。同旅館では過去に似たような行動を取った猫スタッフたちを”スリッパ温め係”として投稿した事がありますので。」と、かかとの温め業務に至った理由について推測してくれました。

スリッパを温める桐屋旅館の看板猫
「スリッパ温め係」の仕事風景

一方、膝立ちという負荷の高い姿勢をキープすることになったお客さんの心境については、「嬉しいけど体勢がきつかったそうです。」と、まるでトレーニングのような体験だったことを告白。その後、耐え兼ねたお客さんがかかとを動かすと、空気を読んだのか、きなこちゃんはスッと別の場所に移動してしまったのだとか。

そんなきなこちゃんは2022年4月生まれの女の子。もともとは生後2〜3日の生まれて間もない頃、東京都の足立区にいたところを野沢温泉出身の人に保護してもらい、その後、2ヶ月ほどお世話をしてもらってから桐屋旅館へやってきた猫ちゃん。

同旅館にはそんな元保護猫たちを中心とした10匹の看板ネコが働いていて、たくさんのお客さんを日々もてなしていると言います。

桐屋旅館のロビーで置物のように座る2匹の猫
置物ではありませんニャ

今回、色々なお話を聞かせてくれた桐屋旅館の片桐さん。インタビューの最後に「同旅館のネコ達はとっても可愛いので、是非ネコ達に会いに来てくださいませ! 」とメッセージを寄せてくれました。

取材協力:桐屋旅館 aka.ねこ宿(@kiriya_ryokan)さん

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