愛猫タマの供養画90点も展示!美術家・横尾忠則の大規模個展「GENKYO 横尾忠則」が東京で開催

日本を代表する美術家・横尾忠則氏の大規模個展「GENKYO 横尾忠則」東京展が2021年7月17日(土)より、東京都江東区にある東京都現代美術館で開催されます。

「GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」東京展メインビジュアル
公式サイトより

1960年代からグラフィックデザイナーとして頭角を現した横尾氏は、色鮮やかで革新的なデザインのポスターや装丁が注目を集め、72年にグラフィックデザイナーの作品として初めてニューヨーク近代美術館で個展を開催。

パリやワルシャワなど各国の芸術祭に出品して多くの賞を受賞しているほか、45歳の時に『画家宣言』を行い美術家に転向してからも精力的に絵画を制作し続け、その作品は国内外で高く評価されています。

美術家・横尾忠則氏の近影
Tadanori Yokoo

本展はそんな同氏の60年以上にわたる創造の全貌に触れることができる集大成とも言える展覧会で、作家自身が総監修を担当。

今年の1月〜5月にかけて愛知県美術館で開催された「GENKYO 横尾忠則」愛知展を元に、出品作品を半分以上入れ替えて再構成されており、絵画をはじめ初期グラフィックから今年描かれた新作まで、500点以上の作品が出品される最大規模の展覧会となっています。

美術家・横尾忠則氏の絵画作品「T+Y自画像」
《T+Y自画像》 2018年 個人蔵

中でもネコ好きな人には注目なのが猫の絵画作品。

横尾氏の飼い猫「タマ」は自身のTwitterやブログにたびたびするなど、ファンにはよく知られた存在で、その溺愛ぶりも有名。ノラ猫として庭先に現れてから15年の間、家族の癒しとなり心の支えとなってきたと言います。

しかし2014年、人間の年齢に換算すると100歳近かったタマは老衰のため死去。すると横尾氏はその当日にタマの死顔を、その後も供養としてタマの肖像画を1枚1枚描き始めます。

そうして描き続けたタマの絵を一冊にまとめ、七回忌を迎えたことを機に昨年発表されたのが『タマ、帰っておいで』という画文集。

横尾忠則が亡くなった飼い猫への愛を描いた画文集『タマ、帰っておいで』の表紙
『タマ、帰っておいで』講談社

会場では同書に収録されているほぼ全ての作品、約90点の絵画を展示。
アートではなくレクイエムとして一匹の猫を描いた異例の連作を生で見られる貴重な機会となっています。

横尾忠則と愛猫タマの肖像画 by タマ、帰っておいで
絵には1枚ずつ創作日が記載

展覧会ではその他にもさまざまな作品を展示。

全世界がコロナ禍に見舞われた2020年〜21年にかけて、日々アトリエにこもって制作に没頭したという大作の絵画作品20点以上が初公開されるほか、横尾氏が滝の絵を描くために収集した1万点を超える絵はがきのコレクションをインスタレーションとして展開。

天井や壁面を覆い尽くす滝の絵はがきが、床の鏡面にも映り込むなど、ダイナミックな空間を体感することができます。

また、コロナと向き合う《WITH CORONA》シリーズコーナーでは写真撮影が可能。コロナ禍でのネガティブイメージをポジティブイメージに変換する試みとして、自身の作品や写真を素材にマスクをコラージュした「WITH CORONA」シリーズの作品が展示されます。

展覧会会場ショップでは、横尾氏の作品がデザインされたステッカーやマグカップ、自身をかたどったマスコット人形などのグッズを販売。図版約1,000点を収録した公式カタログ『GENKYO 横尾忠則Ⅱ Works 原郷から幻境へ、そして現況は?』も販売される予定となっています。

<GENKYO 横尾忠則 東京展>
期間:2021年7月17日(土)~10月17日(日)
休館:月曜日(7/26、8/2、8/9、8/30、9/20 は開館)、8/10、9/21
時間:10:00〜18:00
観覧:一般 2,000円ほか
会場:東京都現代美術館 企画展示室 1F/3F
住所:東京都江東区三好 4-1-1

<参考>
横尾忠則は愛猫の死にどう向き合ったのか?91点の肖像画でつづった画文集「タマ、帰っておいで」
美女に甘える猫から化け猫まで!ねこの浮世絵を集めた「猫じゃ猫じゃ展」が広重美術館で開催中
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(C) Tadanori Yokoo/Kodansha Ltd.

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