札幌市が条例可決!犬猫の親子は生後8週まで引き離さない

札幌市が3月29日、生後8週間は親と一緒に飼育してから譲渡する、との努力目標を盛り込んだ「札幌市動物愛護管理条例」を可決しました。

札幌市が条例可決!犬猫の親子は生後8週まで引き離さない引用:city.sapporo.jp

子猫や子犬に問題行動を起こさせない社会性を身につけさせ、抵抗力をつけることが主な目的で、子犬や子猫を親と一緒に育てる目標期間を盛り込んだ条例は、全国で初めてと見られています。

猫や犬には「社会化期」と呼ばれる期間があります。猫の社会化期は「生後2週〜9週」の時期で、この間に色々な体験をさせておくと、社交的な性格になり、人間の暮らしに順応しやすく飼いやすい猫になると言われています。

逆に社会化期を過ぎてしまうと猫は警戒心が強くなってしまい、新しいことや体験を受け入れにくくなります。猫を動物病院に連れて行こうとしたり、爪を切ろうとすると激しく抵抗するのは、社会化期にそういった体験をあまりしてこなかったことが要因となりやすいのです。

また、生後40日くらいを過ぎると母親からの移行抗体が減り始め、免疫力が低下すると言われていることもあり、欧米の先進国の多くは8週齢まで、子猫や子犬やを親や生まれた環境から引き離すことを法令で禁じており、「8週齢規制」と呼ばれています。

札幌市で可決された条例はこうした動きにならうものであり、今後も同様の条例を整備する自治体が現れる契機となる可能性があることから、多くの自治体や関係者から注目されています。

現在、日本の動物管理愛護法でも「出生後56日を経過しないものについて、販売のため又(また)は販売の用に供するために引渡し又は展示をしてはならない」と定められているのですが、実はこれには「経過を見て状況が整えば56日という期間を適用する」という曖昧な猶予期間が設けられています。

これにより、2016年の4月現在では規制の対象期間が45日、2016年の9月からは49日と少し拡大されますが、未だ生後56日(8週間)に満たない犬猫が親元から引き離されてしまっている状態が続いてます。

一方で、今回の札幌市の条例は、国の法律で定めたことを、市の条例で前倒しで実現しようする試みでもあり、法的な問題を孕むと指摘する専門家もいます。

いずれにせよ、幼少期の犬猫に健全な成長を促すため、動物管理愛護法で定められた「56日」という期間が適用されるためには、社会から広く望まれる状況にならなければなりません。

そのためには、他の自治体でも札幌市と同様の動きが広がっていくことはもちろん、動物を飼っている一人ひとりが興味・関心を持って声を挙げていくことが大切です。

 
参考:札幌市動物の愛護及び管理に関する条例の制定について

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