ポケットにすっぽり収まった子猫の写真が話題に!ある動物病院が撮影→理由を聞いてみると…今の時期ならではの恒例行事だった

ノーベル賞も受賞している動物行動学者コンラート・ローレンツ氏によると、人間や動物の赤ちゃんに見られる身体的な特徴を「ベビースキーマ」と定義。体のサイズに比べて大きな目や、小さい鼻、短い手足、丸みを帯びた輪郭などを見ると、母性本能がくすぐられて可愛いと思う感情が湧いてくると言います。

猫に置き換えてみると、確かに子猫の可愛らしさを構成する要素と一致してそうですよね。SNSではそんな可愛らしい子猫をポケットに入れた1枚の写真が注目を集めています。

ポケットにすっぽり収まった子猫の写真
このフィット感がたまらニャい

写っているのはポケットにすっぽりと収まったまま、あどけない表情でじっとカメラを見つめている一匹の子猫。

顔だけぴょこんと出した姿は、まるでお母さんカンガルーのお腹の袋に入っている子どもを彷彿とさせる光景で、マスコットのようなぬいぐるみ感もたっぷり。成猫になるとこんな小さなポケットに入ることはできないので、子猫の時期ならでは可愛らしさを捉えた微笑ましい瞬間です。

この写真が「今年もポッケのシーズンがやってまいりました」というコメントと共にTwitterへ投稿されると、2700件のRTと1.8万を超える”いいね”を獲得。

写真を見たユーザーからは「めっちゃ可愛い」「ポケットからキュンです」「世界でいちばん可愛いぽっけ」といった好意的なメッセージが寄せられるなど、大きな反響が寄せられています。

投稿主のスペイクリニック北九州は、同市および近郊の野良猫を対象とした避妊去勢専門病院で、過剰繁殖した野良猫の数を減らすべく2021年5月にオープン。野良猫を捕獲し(=Trap)、不妊化手術を施し(=Neuter)、元の場所に戻す(=Return)ことで過剰繁殖を抑える「TNR活動」を支えることを目的としています。

そのため、病院にくる猫の多くは外で暮らしていた猫たち。人馴れしていない猫の場合だと暴れる子も多そうな気もしますが、意外にもポケットに入れられる猫ちゃんは概ね大人しいとのこと。もちろん中には暴れる子もいるので、その場合はすぐにポケットから出してあげるのだとか。

ポケットに入って手を出す子猫の写真
この時期ならではの可愛らしさ

それにしても、なぜ今の時期が「ポッケのシーズン」なのでしょう。

投稿主に聞いてみたところ、春は気温が暖かくなるため猫がたくさん子ども産む季節で、その頃に生まれた赤ちゃんが少し成長して、ポケットに入る大きさになるのが毎年今頃のタイミング。

同院ではスタッフさんのスクラブ(医療用白衣)のポケットに入れて写真撮影をするのが恒例になっていて、当日は子猫たちの仮名をスタッフみんなでつけるために、抱っこしてワイワイしていたと言います。繁殖シーズンに生まれた子猫がポケットサイズになる時期の恒例行事だったようですね。

また、野良猫のための避妊去勢専門病院を設立した理由については、「スペイクリニック開院前は、避妊去勢手術は数万円かけて一般病院でやるか、ごく一部のボランティアさん伝手で安い金額でやるかの2択でした。これではTNRは進まないと考えて開院に至りました。」と当時の思いを述懐。そのため一般の診察は行っておらず、野良猫および一時保護猫を対象に低価格で避妊去勢手術を行っているほか、依頼者自身が毎日餌をあげている猫の場合に限り捕獲代行サービスも提供しています。

一方、こうした活動は野良猫を取り巻く環境に問題意識を持っている人以外にはあまり知られていません。この点について同院として伝えたいことを聞いてみたところ、「保護猫に目を向けて欲しい」「野良猫の避妊去勢のことを知って欲しい」と強調。

「『猫は外にいてはいけない動物』と考えています。家の中に居れば安全でペットとして愛されるにも関わらず外にたくさんの猫がいて、その子たちは外で過酷な生活を送りながら時に人に疎まれる存在になっています。家の中にいればペット、外にいれば害獣。ならば家の中に居て欲しい。今は外で暮らす猫があまりに多すぎて全ての家の中には入れられない時代です。それでも避妊去勢手術をすることで外猫の数を減らしていけたら、いずれ全ての猫を家に入れられるのではと考えています。」と、TNR活動を支える思いについて語ってくれました。

取材協力:スペイクリニック北九州(@Spaykitaq)さん

<参考>
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