「なにか頼んどく?」ブロック塀からのぞく猫の姿がまるで店主みたい→ねこ写真家が離島で出会った不思議な光景に迫る
猫は存在するだけで私たちの日常に変化をもたらす動物。ありふれた町並みや風景もそこに猫がいると、独特な情景が浮かび上がってくることがあります。
写真家の山本正義さんが瀬戸内海の離島で目撃した光景も、そんな猫によって生み出されたユニークな瞬間でした。
ブロック塀の一番下にぽっかりと空いた大きな穴。これは透かしブロックと呼ばれる建材で、主に通気性や装飾性を高めるために用いられますが、その空間からひょっこりと顔を出している一匹のキジシロ猫ちゃん。
慣れた手つきで身を乗り出している姿は、窓から通りすがる人々に呼びかけているような格好で、まるでこの家に住んでいる住民のような雰囲気を漂わせています。
猫の自然体な感じが伝わってくる和やかなシーンですが、実際にはどのような状況で撮影された写真なのでしょうか。山本さんご本人に話を聞いてみると、この日は香川県の小豆島を訪れて、他の猫ちゃんたちと戯れたりしながら過ごしていたと言います。
そんな中、不意にチラッとこちら側を見つめる視線を感じたので振り返ってみると、目に飛び込んできたのが写真の光景。ブロック塀の穴から覗く猫ちゃんの姿が、お店の小窓から顔を出しているように見えたのだそうで、自身のSNSに投稿した写真には「何か頼んどく?」と、猫店主が呼び込みをしている場面を表現したようなユーモアたっぷりの一言が添えられていました。
何か頼んどく?#ねこ #猫 #cat pic.twitter.com/2b4r8UjLJV
— ︎山本 正義 (Masayoshi Yamamoto)立ち猫®︎ (@nekoiroiro) April 29, 2024
一方、穴から覗いていた猫ちゃん的にはどんな気持ちだったのでしょうか。実はこの時、山本さんの周りにはたくさんの猫がいて、キジシロ猫ちゃんは壁の方からそれを遠目に見つめている構図。そうした状況もあってか、「輪の中に入りたいけど、自分の縄張りじゃないから戸惑っているように感じました。」と、当時の様子を振り返ってくれました。
この後、しばらくその場に滞在していた山本さん。キジシロ猫ちゃんは終始こっちに来たそうにしていたけれど、ブロック塀の小窓から出てくることはなく、「こっちにおいでー」と声をかけてみても、恥ずかしそうにしながらその場に座っていたのだとか。もしかすると他の猫たちがいなくなるのを待っていたのかもしれませんね。
今回インタビューに応じてくれた写真家の山本正義さんは、瀬戸内海の離島を中心に島で暮らす猫たちの写真を撮影しているネコ写真家。猫がふと立ち上がった瞬間を撮影した『立ち猫』をはじめ、力が抜けて緩みきった猫の姿を捉えた『脱力猫』や、迫りくる猫の姿を至近距離で捉えた『猫来る』、舌をぺろりと出したままの猫を捉えた『舌猫(ぺろにゃん)』など、ユーモラスな猫のシリーズ写真を積極的に発信中。
YouTubeの『立ち猫ちゃんねる』では、これまでに出会った猫の動画がたくさん公開されているほか、猫を上手に撮影する方法なども紹介されています。
取材協力:山本 正義(@nekoiroiro)さん