世の中には「どうやって撮影したの？」と、不思議に思うような写真を見かけることがありますが、ここ最近、SNSのXで流行っているのが「#二度と撮れない画像を貼れ」というハッシュタグ。

これは文字通り「再現するのが困難な写真」を披露し合うタグで、滅多に見られない自然現象から今は存在しない懐かしい風景まで、さまざまな写真が投稿されています。そして、その中でとりわけ注目を集めているのが、猫の決定的な瞬間を捉えた一枚でした。

車の天井に降ってきた猫ちゃんが、今まさに着地しようとする瞬間を捉えたこの写真。

人間が高いところから降りる場合は、頭を上にして両足（後ろ足）から地面へ落ちようとしますが、猫の場合それとは逆で、最初は両手（前足）を伸ばしたまま頭の方から落下していき、後から後ろ足を体にぐいっと引き付けて着地するスタイル。

この写真はそんな前足が車の屋根に触れた瞬間を捉えたもので、体はまだ落下中と同じく真っ直ぐに伸びたまま。これから体を丸めて後ろ足も着地しようというタイミングで、このような体勢が見られるのは1秒にも満たない刹那の出来事です。

普通であれば、猫が高いところから飛び降りる場面すら中々見られるものではないため、落下中の猫が着地した瞬間を撮影するのは至難の業。しかもブレがほとんど見られない見事なクォリティ。まさに「二度と撮れない画像を貼れ」というお題にふさわしい一枚と言えるでしょう。

この写真を撮影した蛇屋さんがSNSのXに投稿したところ、29万件を超える”いいね”が集まるほどの大反響。写真を見たユーザーからは「奇跡の1枚」「これは満点」「決定的瞬間ですね」「逆立ちしているみたい」などたくさんのメッセージが寄せられて注目を集めています。

#二度と撮れない画像を貼れ
多分絶対これ pic.twitter.com/DkRiehHHM8

— 🐹蛇屋🍼 (@rabskhe) September 7, 2024

中には「どうしたらこんな瞬間が撮れるんですか？」と疑問を感じたユーザーもいるようですが、確かにどのようにして撮影したのか気になる写真です。

そこで撮影者の蛇屋さんにお話を聞いてみたところ、この写真を撮影したのは数年前のことで、家から出かけた途端「あ、たまに見かける野良猫だ」と思い無意識にスマホを取り出していたと言います。

そして、その時頭の中に浮かんだ撮影イメージは、猫が屋根から飛び出す直前や空中を飛んでいる場面。ところがシャッターを切ったのはそれよりも後だったことから、偶然着地した瞬間が撮れていたというのが実態で、「狙ったイメージとは違いましたが、予定より遥かに味のあるいい写真になりました。」と結果的には満足している様子。

一方で、「スマホのライブフォト機能を有効にしていなかったために、ジャンプの前後が撮れなかったので、今思うとそこがちょっと悔しいですね。」と、心残りな面があったことも明かしてくれました。

写真を見ていて心配なのは、高いところから飛び降りた猫ちゃんが無事だったのかという点ですが、つい先日会った時には元気な様子だったそうで、猫の身体能力の高さを感じさせるエピソードでもあります。

今回、インタビューに応じてくれた蛇屋さんは「犬派」の猫好きで、近所にはたくさん野良猫がいるそうですが、みんな素っ気ないため中々近くで接する機会はないのだそう。しかし、「これが人と猫の一番いい距離感なのかなとも思います。」と、近づきすぎない現状が猫たちにとっては心地よさそうに感じているようです。

また、今回とても大きな反響が寄せられていることについては、「最初はバズってて『ちょっと面白いｗ』と思いましたが、ここまで来るともはや他人事のように思っちゃいますね。」とコメント。

そして、その原因となった猫ちゃんに対しては「正直、今でも近所にいる普通の野良猫の一匹としか思っていません。でも逆にいえば、身近でありふれた存在でもこんなに奇跡的な瞬間を見せてくれるのが、猫が持つ魅力のひとつなのかも知れませんね。」と、率直な気持ちを語ってくれました。

取材協力：蛇屋（@rabskhe）さん