猫に多い病気は下痢や皮膚炎!?保険金の請求データから見る「猫の傷病ランキング2020」
ペット向けの保険サービスを手がけるアイペット損保から6月9日、「ペットの保険金請求が多い傷病ランキング2020」が発表されました。
これは同社と保険契約を結んでいる利用者から、ペット(猫または犬)の病気とケガによる保険金の請求実績を元に毎年公表しているランキングで、今回は2019年の1年間に請求があった全46,933件のデータを集計して算出。
本記事ではその中から、猫の傷病ランキングに関する情報をピックアップしてご紹介します。
猫の傷病ランクキング【総合】
まずは通院・入院・手術にかかった費用を保険金請求したケガ&病気のランキング。最も請求件数が多かったのは「下痢」で3年連続の1位となっています。
2位. 皮膚炎 (2)
3位. 腎臓病 (3)
4位. 膀胱炎 (4)
5位. 異物誤飲 (5)
6位. 胃腸炎 (6)
7位. 心臓病 (7)
8位. 結膜炎 (8)
9位. 嘔吐 (圏外)
10位. 尿石症 (圏外)
※括弧内は前年度調査の順位
猫の下痢の要因となるのはウイルス・細菌・寄生虫・病気・ストレスなどですが、健康な猫であっても食事や異物誤飲で下痢になってしまうことがあるため、日頃のうんちチェックが大切。下痢の種類は「水分が多い状態」「柔らかい状態」「血が混じっている」状態に大別され、いずれもトイレ掃除の時に視認したりスコップですくう時に確認できるので、飼い主さんが異変に気づきやすい疾患です。
2位から8位まではすべて昨年と同じ順位で、大きな変化は見られません。
猫のランキングで特徴的なのが「腎臓病(3位)」「膀胱炎(4位)」「尿石症(10位)」といった泌尿器系の疾患が多いところ。もともと砂漠地帯で暮らしていたネコは、水分を効率よく使えるようおしっこを濃縮する機能に優れていますが、それゆえ泌尿器に負担がかかりやすい動物で、保険金の請求実績からもその傾向が見て取れます。
泌尿器疾患の兆候はトイレの回数や時間、尿量、尿の色、排泄時の異常行動などに出やすいので、日頃から確認することが大切。最近は泌尿器系の初期症状に関連する健康指標を自動で計測してくれるスマート猫トイレや、おしっこをつけると紙の色が変化する検査キットなどもあるので、うまく活用しながら愛猫の健康を見守っていくとよいでしょう。
猫の傷病ランクキング【手術編】
続いては手術費用の保険金請求が多かったケガ&病気のランキング(上位5位)。
2位. 腫瘍 (2)/90,400円
3位. 歯周病 (3)/97,300円
4位. 尿石症 (4)/127,800円
5位. 骨折 (5)/308,700円
※括弧内は昨年順位、金額は参考診療費の一例(平均や水準ではない)
猫の手術と聞くと病気を思い浮かべる人も少なくないと思いますが、最も多いのは食べ物以外のモノを誤って口から飲み込んでしまった「異物誤飲」。
猫はヘアゴムや輪ゴム、布製品の糸くず、小さなアクセサリーといった口に入るものはもちろん、ティッシュやペットシーツ、ビニール袋やウレタンマットなど、噛みちぎって細かくしたものを飲み込んでしまう場合があります。そのため「誤飲する可能性のあるものを放置しない」「そうしたものがある場所に立ち入らせない」「おもちゃで噛みたい欲求を満たす」など、日ごろから誤飲が起きないように飼育環境を整える必要があります。
また、身体能力が高い動物である猫にしては意外なのが、5位にランクインしている「骨折」。
近年は室内飼いが増えたことにより猫の骨折の数は減少傾向にあると言われていますが、マンションのベランダに出られるようにしていると、足を滑らせて落下→骨折してしまう場合があります。室内であっても受け身の体勢を取る時間がない低い場所からの落下や、子猫が狭い隙間に手足を入れたまま落下するなどの場合に骨折リスクが高まるため注意が必要です。
どちらのケガも参考診療費をみると手術費用が高額。疾患に比べて飼い主さんが気をつけることで予防しやすいため、日頃から意識しておきたいですね。
猫の傷病ランクキング【年齢別】
最後は年齢別に保険金請求が多かったケガ&病気のランキング(上位5位)。
1位. 下痢 (1)
2位. 結膜炎 (2)
3位. 皮膚炎 (5)
4位. 異物誤飲 (圏外)
5位. 胃腸炎 (圏外)
<1〜6歳の猫>
1位. 皮膚炎 (1)
2位. 膀胱炎 (2)
3位. 腎臓病 (4)
4位. 心臓病 (圏外)
5位. 異物誤飲 (5)
<7歳以上の猫>
1位. 腎臓病 (1)
2位. 腫瘍 (2)
3位. 心臓病 (3)
4位. 皮膚炎 (4)
5位. 膀胱炎 (5)
0歳の猫にもっとも多いのは「下痢」。
子猫は消化器が成長しきっていなかったり、免疫力が低かったりするため、飼いはじめの環境やさまざまな変化が原因で下痢になってしまうことがあります。
1~6歳の猫では、昨年3位だった「下痢」がランク外となり、代わりに「腎臓病」がランクアップ。そして7歳以上の高齢猫で2年連続1位になったのも「腎臓病」。
通常、腎臓はいちどダメージを受けると元には戻りませんが、初期段階で発見して治療できれば病気の進行を遅らせることができるため、多飲多尿や脱水症状など腎臓病の初期によく見られる症状を見逃さないようにするのが肝要。定期的な血液検査や尿検査を受けることにより早期発見できることもあります。
猫の年齢によって上位にランクインする疾病が異なるため、愛猫の成長段階に合わせて「いま発生しやすい疾病を」把握しておくと、早期発見や治療に繋がるかもしれませんね。
<参考>
・シャープからスマート猫トイレ「ペットケアモニター」が登場!個体識別も可能
・色の変化でわかる!自宅で簡単に猫の尿を検査できる「おうちでおしっこチェックキット」
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