側にはいつも黒猫がいた…激動の時代を生きた夫婦の物語、アニメ映画「エセルとアーネスト」
イギリスの名作絵本を手描きアニメーションで忠実に再現した、大人のための感動アニメーション映画「エセルとアーネスト ふたりの物語」が9月28日(土)から全国の映画館で順次公開されます。
原作は「スノーマン」や「風が吹くとき」などの作品で知られるイギリスの国民的な絵本作家、レイモンド・ブリッグズが自身の両親の41年にわたる結婚生活を愛情込めて描いたグラフィックノベルで、1998年度の英国ブックアワードで最優秀絵本賞を受賞している作品。
物語の始まりは1928年のロンドン。
牛乳配達員のアーネストとメイドのエセルが恋に落ちて結婚し、戦争を乗り越え、戦後の新しい時代を生き、ふたりが世を去る1971年までを感動的に描くとともに、激動の時代を懸命に生きた名もなき人々の日常生活が丁寧に描き出されています。
<ストーリー>
激動の時代を懸命に生きた、ごく普通の夫婦の40年にわたる心暖まる本当の物語。
1928年ロンドン。牛乳配達のアーネストとメイドのエセルは恋に落ち、結婚。最愛の息子が誕生し、第二次世界大戦、戦後の発展と時代の変化、そして静かに忍び寄る老い・・・しかしいつもエセルの横にはアーネストがいた。激動の20世紀を生きた庶民の歴史を、暖かなまなざしで描いた感動の物語。
作中でエセルとアーネストのふたりの人生にそっと寄り添うように存在するのが、黒猫の「スージー」。
エセルとアーネストが結婚して新居に引っ越した当日に現れた黒猫は、戦中戦後とブリッグズ家と暮らしを共にしていくことに。
戦後、庭先で新聞を読みながら「同性愛を合法化するらしい」と話すアーネストに「同性愛って何?」とエセルが聞き返すシーンでは、時代の変化を表現しつつも足元を横切るスージーがさり気なく描かれるなど、折に触れて登場するキャラクターで、やがて、エセルの亡き後はアーネストの話し相手となっていきます。
原作者のブリッグズは、黒猫をエイジレスな(=年齢のない)ものとして登場させていて、エセルとアーネストが年老いていき息子レイモンドも成長していく中で、およそ40年間にわたり唯一変わらない存在として描写。
実際のブリッグズ家では何代か黒猫を飼っていたそうですが、作品で描かれている猫は40年も寄り添った<不思議な力を持った者>として描かれています。
本作は原作者ブリッグズの全面的な協力のもと、細部に徹底してこだわって制作。
登場人物や背景を正確に表現するため綿密なリサーチを行っているほか、エセルとアーネストの家は建物の正確な寸法と比率を再現しているほど。牛乳配達の仕事をしているアーネストの労働シーンでは、昔ながらの牛乳瓶の音を録音したり、今では聞くことのなくなった年代物の自動車の音まで集めてきて映画のリアル感を高めています。
監督は「スノーマンとスノードッグ」のロジャー・メインウッド。声優陣は「秘密と嘘」でカンヌ国際映画祭女優賞に輝いたブレンダ・ブレッシンが母エセルを、「アイリス」「パディントン」などのアカデミー賞俳優ジム・ブロードベントが父アーネストを好演しているほか、成長したレイモンドの声は映画「ボブという名の猫 幸せのハイタッチ」で主演したルーク・トレッダウェイが担当するなど、意外な猫つながりも。
また、原作者の大ファンだというポール・マッカートニーが、自身の母への想いを込めて曲を書き下ろし、自ら歌って演奏しているエンディング曲にも注目の映画作品となっています。
題名:『エセルとアーネスト ふたりの物語』
監督:ロジャー・メインウッド 原作:レイモンド・ブリッグズ(バベルプレス刊)
音楽:カール・デイヴィス エンディング曲:ポール・マッカートニー
声の出演:ブレンダ・ブレッシン/ジム・ブロードベント/ルーク・トレッダウェイ
原題:Ethel & Ernest
2016年/94分/カラー/ドルビー・デジタル/ヴィスタサイズ/イギリス・ルクセンブルク/
日本語字幕:斎藤敦子/後援:ブリティッシュ・カウンシル
配給:チャイルド・フィルム/ムヴィオラ
公開:9月28日(土)より岩波ホールほか全国順次ロードショー
<参考>
・倍賞千恵子さんも黒猫にメロメロ♪ 映画「初恋〜お父さん、チビがいなくなりました」のメイキング映像を公開
・猫のように生きるのニャ!元ホームレスの男性が野良猫から学んだ教訓本「ボブが教えてくれたこと」
© Ethel & Ernest Productions Limited, Melusine Productions S.A., The British Film Institute and Ffilm Cymru Wales CBC 2016