人口9名の猫島「青島」で200頭を超える全ての猫に不妊手術を実施
犬猫の殺処分ゼロを目指して全国で不妊手術の奨励事業を展開している公益財団法人・どうぶつ基金が9月5日から、愛媛県にある世界的に有名な猫島「青島(あおしま)」で全頭に無料で不妊手術を行うと発表しました。
青島は愛媛県の瀬戸内海に浮かぶ小さな島で、島民の10倍以上の猫が住んでいることから「猫島」とも呼ばれ、休日になると国内はもとより海外からも多くの人々が猫を目当てに島を訪れるなど、猫がたくさん暮らしている島として知られています。
2016年の3月には、猫の餌が不足して島の人がSNSで支援を求めたところ、全国から大量の支援物資届きすぎてしまい、保管しきれないため逆に支援の中止を要請したという珍しいニュースが大きな話題となった島でもあります。
そんな青島ですが、当時15名だった人口は2018年8月時点で9名にまで減少、逆に猫の数は約150頭だったのが210頭まで増加。
増えすぎた猫たちは現在3名の島民で結成した「青島猫を見守る会」がお世話をしており、これ以上数が増えないように愛媛県獣医師会や地元のボランティアたちによって80頭の不妊手術が行われていますが、今も未手術の猫が100頭以上いて繁殖を繰り返している状況が続いています。
住民の平均年齢は75歳以上と高く、将来的に世話をするのが難しくなることを理由に、同会では島に住むすべての猫の不妊去勢手術を求めていました。
一方、公益財団法人である「どうぶつ基金」は行政による猫の殺処分ゼロを目指して1988年から毎年、全国数千匹の野良猫に無料で不妊手術を施し個体数が増えないようにする取り組みを行っており、2018年7月時点で累計70,000頭を超える野良猫に無料で不妊手術を実施しています。
同基金には「青島猫を見守る会」からだけでなく、同島を訪れて猫の将来を危惧した人々からも不妊手術を求める声が多く寄せられていたのだとか。今回は、そうした要望を受ける形で9月5日〜6日にかけて島に住む猫の全頭に無料で出張不妊手術を行うことを決定。
今回の取り組みによって全ての猫が不妊去勢手術を受け終わると、青島で暮らす猫たちはこれ以上増えず、殺処分をすることなく将来的には個体数が減っていくことになります。
無料で青島の猫たちに不妊手術を行うにあたって、同基金からは2つのメッセージを発信。
一つは手術前後の9月3日〜9月7日までの間は、観光目的の来島を避けて欲しいということ。もともと青島には1日2便しか連絡船が出ておらず、かつ本事業の期間中は関係者の乗船が優先予約されているため一般の乗船が極めて困難になると予測されるほか、猫は手術のために捕獲されることから島に渡っても会える機会が少なくることが理由として挙げられています。
また同基金では青島以外にも、全国から野良猫の無料不妊手術の依頼が殺到しており、運営資金の大半を占める現状の寄付金だけでは手術資金を賄えないことから、幅広い寄付を呼びかけています。
参考:どうぶつ基金 寄付ページ
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