野生ネコの魅力をたっぷり凝縮!医師で写真家・井上冬彦氏の写真集『サバンナのネコ』
野生のネコ科動物の希少なショットと愛くるしい仕草を収録した写真集『サバンナのネコ』が2021年3月26日(金)に刊行されました。
サバンナは乾季と雨季がある熱帯地域にみられる草原で、多くの動物が生息する野生動物の楽園。アフリカでは間近で野生動物を観察するサファリツアーの対象地としても知られており、大小さまざまな草食動物や肉食動物が暮らしています。
本書にはライオンやヒョウ、チーターといった日本でもよく知られている大型のネコ科動物をはじめ、ヒョウのような美しい斑点模様と希少性を併せ持つサーバル、大きなとがった耳と長く伸びた耳毛が特徴的なカラカル、イエネコの祖先といわれるアフリカンワイルドキャット(リビアヤマネコ)など、国内の自然環境では見ることができない野生ネコの貴重なショットがたくさん掲載されています。
著者は医学博士でありながら、自然写真家としても活動している井上冬彦氏。
子どもの頃の夢は、動物学者か動物写真家になってアフリカの大地に立つことであったという同氏は、大学卒業後に医師となり一旦その想いを断念するものの、「いつかはサバンナの大地に立ち、この目で動物たちの姿を観たい」と思い続けながら医療に従事。念願が叶ったのは32歳の時で、初めて東アフリカのサバンナの大地に立った時、素晴らしい光景と生き物たちの自然な姿に深い感動を覚えると同時に「この感動を人に伝えたい」という抑え難い想いが湧きあがってきたと言います。
この体験が転機となって、内科臨床医として働く傍ら独学で写真を学び、纏まった休みを取るたびにアフリカを往復して撮影活動を開始。広大なサバンナでは大型のネコであっても様々なシーンを撮ろうとすると多くの時間を要するもので、中型のサーバル、カラカル、小型のアフリカンワイルドキャットなどは出会う確率も低め。狙って撮るのは難しいことから、如何にチャンスに巡り合えるかを探究しながら撮影を重ねていきます。
アフリカに通い始めて8年目には初めての写真展「サバンナが輝く瞬間(とき)」を開催し、翌年に発表した同名の写真集がアマチュア作品の最高賞である林忠彦賞を受賞。その後は写真事務所を設立してプロとしての写真活動を開始し、これまでに60回以上もアフリカを訪れて取材を続けているほか、『サバンナの風に吹かれて』(講談社)『Symphony of Savanna―サバンナ いのちの交響楽』(新日本出版社)などの写真集を発表しています。
本書は同氏が膨大な時間をかけて撮影してきた写真の中から、東アフリカのサバンナに暮らすネコの仲間たちの、稀少な瞬間や愛らしい表情をピックアップ。警戒心が強く撮影しづらいサーバルのオスや、イエネコに似ながらも野生のたくましさを持つアフリカンワイルドキャット、母の背中の上で並んでくつろぐ幼いチーター、家族単位の群れで子育てを行うライオンなど、美して可愛らしいサバンナのネコたちが収録されています。
<参考>
・垂れ耳はなぜネコだけ障害が出やすいのか?驚きの新事実が満載の図鑑「家のネコと野生のネコ」
・トルコで絶滅危惧種ジャングルキャットの近距離撮影に成功!野生なのに撮影者のすぐそばまで接近
・ネコ科好きにはたまらニャい!色鮮やかな写真で楽しめる「世界で一番美しい野生ネコ図鑑」
(C) Fuyuhiko Inoue/HOME-SHA INC.