奈良市が犬猫の殺処分ゼロを3年連続で達成、ふるさと納税を活用した新たな取り組みも開始
犬猫の殺処分ゼロを目標に掲げている奈良市(奈良県)が4月12日、令和3年度に犬猫の殺処分ゼロを達成したと発表しました。
近年、日本国内における犬猫の殺処分数は減少傾向にあるものの、環境省が公表している統計資料「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」によると、令和2年度(2020年4月1日~2021年3月31日)には未だ全国で23,764頭の犬猫(そのうち約8割は猫)が行政によって殺処分されています。
奈良市では犬猫の殺処分ゼロを達成するために「①引取数の減少」「②飼養の充実」「③譲渡の推進」を柱に掲げてさまざまな施策を展開しており、平成20年度には663件あった殺処分数が令和元年度に初めてゼロを達成(※)。
続く令和2年度・令和3年度もゼロを達成しており、3年連続で犬猫の殺処分ゼロを継続しています。
※「殺処分数」は攻撃性や病気などの理由により譲渡が難しいと判断して処分した犬猫を集計対象としており、自然死や安楽死(=怪我で負傷して治る見込みがないなどの理由で、やむを得ず安楽死等をすること)の数は含まれていません。
同日行われた奈良市長の会見では、前年度からの進展や変更点などについて解説。飼い主のいない猫を減らすことを目的に交付している不妊去勢手術の補助金については、一頭当たりの上限を10,000円から12,000円に増額したところ、手術を受けた数が84頭から188頭へと大幅に増加。
また、保護された幼齢猫や人馴れしていない犬猫を預かって、ミルク給餌・排泄・人馴れなどの世話を行う「預かりボランティア制度」では、1頭につき1日200円(最大30日)の協力者謝礼を支給し、預託期間中の医療費も上限5,000円まで補助金を交付する取り組みを継続中で、いずれも適用頭数が増加し制度の利用が促進されているといいます。
一方、令和3年度からは新たな制度や事業も開始。TNR活動を希望しているものの実施が困難な人に対して支援を行う「TNR活動ボランティア協力者謝礼制度」をはじめ、重度の疾病や負傷した犬猫が動物病院で治療を受けられるようにする「負傷動物医療事業」、里親の元へ送り出した犬猫の受診費用を一部支援して譲渡ボランティアの負担軽減を図る「譲渡ボランティア医療費補助金」の3つを創設して、ふそれぞれにふるさと納税の「犬猫殺処分ZEROプロジェクト」で集まった寄付金(総額2,696万円)の一部が活用されています。
奈良市によると、今後も市民や民間事業者、動物愛護団体との協力を行い、保護猫や保護犬の譲渡活動などを通じて、殺処分ゼロを継続できるよう取り組んでいくとしています。
<参考>
・パナソニックが日本最大規模のイヌネコ譲渡会を開催!約350頭の保護猫&保護犬が参加するニャ
・命を救われた犬猫たちの写真コンテスト、環境大臣賞や大阪府知事賞などの受賞作品が発表
・環境省とAmazonが提携!保護猫・保護犬の譲渡拡大を支援する「つなぐ絆、つなぐ命」プロジェクト
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