終末期医療の実話をやさしく描いたネコ漫画「在宅医たんぽぽ先生物語 さいごはおうちで」
命ある者にはいつか必ず終わりが訪れ、誰も死から逃れることはできません。
そして、最後のひと時をどのように過ごすのかは人それぞれ。病院で入院生活を送る人もいれば、住み慣れた家で自分らしく生きていくという人もいます。
そんな重いテーマを、猫の物語としてやさしく描いているのが『ねこマンガ 在宅医たんぽぽ先生物語 さいごはおうちで』という書籍。
物語の舞台は、愛媛県にある在宅医療を主体とする有床診療所「ゆうの森 たんぽぽクリニック」。
同クリックは2000年に永井康徳医師と職員3人・患者ゼロの状態でスタートし、重度患者を中心に松山市全域への訪問診療を実施。職員数が約100人にまで増えた現在は在宅医療を主体に入院・外来診療を行う傍ら、在宅医療に関するさまざまな情報を発信し続け、研修医・看護学生・見学者等の受入れも積極的に行うなど、日本全国から多くの人々が訪れています。
本書は医療法人ゆうの森 理事長で「たんぽぽ先生」こと永井医師とスタッフ、地域の患者さんらの実話を元にした物語で、登場人物はすべて擬人化された猫。
マンガのイラストは、動物写真家・岩合光昭さんの初映画監督作品『ねことじいちゃん』の原作者で、イラストレーターのねこまき(ミューズワーク)さんによる、やさしいタッチの絵で描かれています。
ストーリーは、末期がんで余命3ヶ月と宣告された母の病状を幼い子供へどのように伝えるか周囲の大人たちが悩む話や、働き盛りの独居女性がガンの在宅医療を受ける話、余命1週間と告げられてから復活した91歳のおじいちゃんの話など、 かけがえのない命の物語が10話収録されています。
<収録ストーリー>
・あこがれの「ゆうの森」見学
・じゃがいものきんぴら
・102歳の大往生
・余命1週間からの復活
・最期の入浴
・人生会議をしよう
・枯れるように逝きたい
・ママのクリスマスピーチ
・92歳のバースデーケーキ
・エピローグ いのちの物語
「命には限りがある。だからこそすばらしいんだ」と語るたんぽぽ先生のモットーは、在宅医療を受ける本人や家族が「楽に、やりたいように、後悔しないように」生きていくこと。
人は死を身近に感じる機会がないと、人生の最後をどのように過ごしたいのか自分事として捉えにくいものですが、本書は猫のマンガを通じて終末医療の大切さに気づかせてくれる教科書的な存在。
自分の命について、家族や大切な人と過ごす時間について考えさせられる、示唆に富んだ一冊となっています。
<参考>
・吉田類さんが通いそうな猫の居酒屋が舞台、人気の猫マンガ「トラとミケ」の第2巻が登場
・猫が支配する世界を描いた衝撃のマンガ作品、待望の単行本が発売&作者インタビューも公開
・猫を飼う前に知っておきたい!マンガで分かる保護猫のトリセツ『ねこ活はじめました』
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