猫が支配する世界を描いた衝撃のマンガ作品、待望の単行本が発売&作者インタビューも公開
日本のみならず世界中で私たち人間を魅了している猫。あまりに猫のことが好きすぎて「猫になりたい」「猫に支配されたい」といった願望を抱いている人も少なくありません。
しかし、いざ本当にそんな世の中がやってきたら、私たちの日常はどうなってしまうのか。本当に幸せなのだろうか。猫にまみれた夢のような世界で暮らせる高揚感と、人間であることを捨ててしまう後ろめたさが入り混じった空想に興味が尽きません。
そんな怖いもの見たさの世界をリアルに描いたのが『ニャイト・オブ・ザ・リビングキャット』という漫画。
物語の舞台は、接触した人間を猫に変えてしまう「N・Nウイルス」の出現によりパンデミックが発生し、猫に支配されてしまった危険な世界。
猫に襲われた人々が次々と猫になってしまう中、多くの仲間を猫にされてしまった男が、人類を取り戻すために戦いを挑んでいくという異色のストーリーが展開していきます。
襲われると言ってもホラー映画のような凄惨なシーンがあるわけではなく、猫にスリスリ&モフモフされると体が猫になってしまうユーモアに溢れた設定となっているほか、無邪気に人類を追い詰める猫たちに対して非情になれない猫バカな主人公にもついつい共感してしまいます。
緻密かつ重厚なタッチで描かれるイラストや世紀末感の漂う荒廃した世界は、1980年代にヒットした人気漫画「北斗の拳」を彷彿させますが、本作で主人公たちに迫りくる追っ手はすべて猫。
緊迫した攻防が繰り広げられる一方で、猫の生態や猫あるあるな小ネタなども交えながら描かれており、ネコ好きな人なら思わずクスッと笑える趣向が凝らされています。
昨年10月から月刊コミックガーデンで連載がはじまり、今年の5月10日には待望の単行本が発売される本作。
Cat Press編集部では原作者のホークマンさんと作画担当のメカルーツさんに、作品が生まれた経緯などについて聞いてみました。
──なぜこのような漫画を描こうと思ったのでしょうか?
ホークマン(原作):最初は普通にゾンビコメディをやろうとしましたがボツになってしまい、猫が好きだったので思い切って猫にしたらボツじゃなくなりました。やはり猫はすごいです。
──印象的な制作エピソードがあれば教えて下さい。
ホークマン(原作):とにかくネームのボツが多いですね。今じゃ逆に一発で通ると不安になります…そんなことは無いですが。ちなみに1話のクナギのマスクの数字は1話のボツ回数です。
メカルーツ(作画):「服についた猫の毛トーン」というオリジナルのトーンを作ったのですが、何かに使えるかもと思って単行本のデザイナーさんにお渡ししたところ、単行本の帯に使っていただきました。是非、実際に手に取って確認してみてください笑
──猫の仕草や表情がとてもリアルに描かれていますが、実物の猫を見ながら描いているのでしょうか?
メカルーツ(作画):実物や資料を見ることも多いですが、まずは〝思い出しながら〟描くことを意識しています。「あんな表情していたな」とか「こんな手触りだったよな」とかそういった体感を〝思い出しながら〟描くことでリアリティーを出せるのではないかと思って日々検討しております。どうしても描けない時は、何故か必ず「何かありましたか」と言わんばかりに飼い猫が近寄ってくれて、描写させてくれます。
──作者の方々はネコ好きですか?ご自身の猫バカエピソードがあれば教えて下さい。
メカルーツ(作画):もちろん猫は大好きです。向かいのアパートの窓からいつもこちらを見ている猫がいたので、目が合うたびにウインクや、指で興味をひこうと動かしていましたが、4か月を過ぎたあたりで彼の体が陶器で出来ていると初めて気づきました。
ホークマン(原作):小さい時の誕生日に勝手にマッマとグランマがお隣さんからメスの三毛猫をもらってきて、それがはじまりですね。最初は猫が苦手で逃げ回ってました。そのうち慣れて良き友人、家族として滅茶苦茶溺愛してました。
実家が自然に還ろうとしてるくらいの田舎なので放し飼いだったのですが、毎日のようにネズミやモグラを捕まえて私の所に持ってきてくれました。とても嬉しかったのですがベッドの下でボリボリ音を立ててネズミを食べるのはやめてほしかったですね。一番の大物は野ウサギで、夜寝てる私の枕元に持ってきてくれました。その時は一家大慌てでしたね。
漫画家を目指すにあたって実家を出たのですが、お盆とかに帰って来た時に名前を呼ぶとちゃんと返事しながら迎えに来てくれたりしました。本格的に漫画家を目指すにあたって埼玉の方に引っ越しても家に帰った時はちゃんとお迎えに来てくれました。埼玉での生活はなかなか馴染めず、寝るときに布団に猫が乗っかる感覚や布団の中に入ってくる幻覚を見たりしてました。これはマジです。
この漫画の連載中に23歳で亡くなってしまったのですが本当に美しく逞しく生きてくれたと感謝しています。
<参考>
・180年後の日本は猫の国だった…?少子化の進んだ未来を描いた漫画「2200年ねこの国ニッポン」
・徳川綱吉がネコになって蘇るニャ!謎の霊力で世の理不尽に立ち向かう物語「猫将軍ツナヨシ」
・吉田類さんが通いそうな猫の居酒屋が舞台、人気の猫マンガ「トラとミケ」の第2巻が登場
情報提供:MAG Garden corp.