天才学者・南方熊楠とネコの関係性とは?書籍「熊楠と猫」の発売記念で著者3名による座談会を開催
ネコ好きな博物学者・民俗学者として知られる南方熊楠(みなかた くまぐす)と猫との関係性に焦点を当てた初の単行本「熊楠と猫」が4月に刊行されたことを記念して、執筆陣のうち3名によるトークイベントが東京都渋谷区にある青山ブックセンター本店で開催されます。
生誕150年を経て、今なお話題のつきない稀代の人類学者・南方熊楠は、無類の猫好きという一面を持っていました。このことは水木しげるの漫画「猫楠」などの伝記作品を通して広く知られています。
しかしながら、こうした熊楠にまつわる話題が文献資料に基づいてきちんと検証されることはこれまでほとんどなく、また、その多くには虚構が含まれていることも昨今の熊楠研究で明らかになってきました。
それでは熊楠は一体、本当に猫好きだったのか?
熊楠と猫との触れ合いは、実際にはどのようなものであったのか?
熊楠研究に携わっている著者の1人によると、改めて注意をしながら熊楠自筆の日記や書簡を読み進めたところ、確かに猫に関する話題がしばしば登場し、熊楠自慢の猫の絵が添えられている資料も多く存在。どの絵も被写体である猫への愛情溢れる眼差しが感じられ、活き活きとした筆致で描かれているものばかりで、中には絵に猫の俳句が添えられているものもあったことから、熊楠が時折、猫を俳句に詠んでいたことも分かってきました。
絵を描く熊楠。句を詠む熊楠。
「熊楠と猫」の関係性に焦点を当てることで、これまであまり取り上げられてこなかった熊楠の新たな魅力が浮き彫りとなり、「こんなに話題が出てくるのであれば本にしなければもったいない」ということで刊行されたのが、ひたすら熊楠と猫の関係性に焦点をあてた初の単行本「熊楠と猫」。
熊楠が猫とどのように戯れ、絵に描き、あるいは俳句を作っていたかを熊楠自身の手紙や原稿を通して探っているほか、熊楠が猫を学術的な観点からどのように捉えていたかのかについても詳しく解説。熊楠は猫に関して非常に優れた論を残しており、学者としての価値や魅力も「猫」という観点を通して理解できる一冊となっています。
7月11日に行われる座談会はそんな本書の刊行を記念して行われるトークイベントで、執筆陣のうちいずれも猫との接点を持つ3名がそれぞれ全く異なる専門分野の立場から、余談を大いに交えつつ語らい、熊楠の自筆資料を多角的に検証し、「南方熊楠と猫」の実態を探っていきます。
■杉山和也(すぎやま・かずや)
青山学院大学大学院博士後期課程、在学中の学生。専門は説話学・国文学研究史研究。著書に『南方熊楠と説話学』(平凡社、2017年)。猫には何故か、妙になつかれる。家庭教師先の猫が可愛かったので、思わず日本古典文学に登場する猫に関する論文を執筆。
■志村真幸(しむら・まさき)
慶應義塾大学非常勤講師。専門は南方熊楠研究。著書に『日本犬の誕生-純血と選別の日本近代史』(勉誠出版,2017年)。高校の頃、庭先に現れた猫にチーズを与えたところ、気に入ったらしく住みつくようになる。
■岸本昌也(きしもと・まさや)
白百合女子大学非常勤講師。専門は日本近代政治史・軍事史。論文に「南方熊楠・藤岡長和関係書簡」(『熊楠研究』11、2017年)など。中学生の頃、迷い込んできた三毛猫がそのまま居つくようになる。最終的に22年も生きて天寿を全う。以来、猫は飼っていない。
参加方法は青山ブックセンター本店の店頭レジ、またはオンラインにて受け付けていますので興味のある方はチェックしてみては。
イベント概要
名称:座談会「自筆資料でたどる〈南方熊楠と猫〉」 杉山和也×志村真幸×岸本昌也トークイベント
日程:2018年7月11日(水)
開場:18:30〜
時間:19:00〜20:30
料金:1,350円(税込)
定員:50名
会場:青山ブックセンター本店 1F小教室
〒150-0001東京都渋谷区神宮前5-53-67
コスモス青山ガーデンフロア (B2F)