もふもふな絶滅危惧種のマヌルネコ、お見合い設備が整った施設で2頭同時展示がスタート
兵庫県にある動物園「神戸どうぶつ王国」でマヌルネコの新しい展示場が完成したことから、2頭による同時公開が11月19日(金)より始まります。
マヌルネコはイランから中央アジア、モンゴルなどの乾燥した高地に生息するヤマネコで、マヌルというのはモンゴル語で「小さい野生ネコ」を意味する言葉。
その名の通りイエネコほどの大きさしかない小柄な体には、70℃もの寒暖差がある過酷な環境を生き抜くために、ふさふさした長い体毛がびっしりと密集。ずんぐりしたボディと小ぶりな耳が特徴的で、まるでキャラクターのような見た目をしていますが、その姿は1500万年前から変わっていないと推定され、ネコ科の中では最も古くから生存している動物と考えられています。
近年は生息地の減少により野生の個体数が減少しており、日本国内においても7施設で16頭しか飼育されていない希少な動物。種の保存の観点から繁殖が望まれている一方、マヌルネコは人工による飼育や繁殖が難しい動物のため、施設間で個体を引っ越して繁殖を促すなどの取り組みも行われています。
その内のひとつ、神戸どうぶつ王国では現在、オスの「レフ」とメスの「アズ」を飼育しており、これまでは交代で一頭ずつ展示する傍ら、繁殖シーズンになるとお見合いする形をとってきましたが、施設の面積が狭いこともあって繁殖の成功には結びついていなかったといいます。
今回、クラウドファンディングで集まった支援金を元に、現展示場に隣接する形で新しい展示場の設置が完了。
新展示場はマヌルネコの生息地である岩砂漠をイメージした作りになっていて、砂を敷くことにより足への負担を軽減を図っているほか、岩場や倒木などの高低差があるためしっかり上下運動ができるようになっています。
両展示場は仕切られているためマヌルネコ同士が直接触れ合うことはできませんが、ウェディングシュートと呼ばれる専用通路が設けられており、動物たちの意思でシュート内を自由に移動できるようになっているのも特徴。
オスとメスが互いに落ち着けるスペースを確保しつつ、相手を意識しながらいつでもお見合いができるようになったほか、2頭の行動を同時に観察することで高い精度で繁殖期を見極め、安全に同室展示へと移行させることができるようになります。
展示場の新設は来園者にもメリットがあり、2つの展示場でそれぞれ1頭ずつを展示できるようになったことから、今後は2頭のマヌルネコを同時に鑑賞することが可能。
また、展示場の外からスタッフがエサを与える給餌口も設置されており、同園によると、動物たちが慣れてくれば来園者も給餌体験ができるようになるとしています。
マヌルネコの展示場所は園内にある「アジアの森」エリアで、2021年11月19日(金)10:00より公開をスタート。動物の体調によっては予告なく内容が変更・中止になる場合があります。
<参考>
・もふもふのネコ科動物がミュージックビデオに!那須どうぶつ王国が「マヌルネコのうた」を公開
・マヌルネコの2頭の名前が決定!那須どうぶつ王国が命名式を開催&記念キャンペーンも実施中
・スナネコの育児姿が見られるかも!?神戸の動物園が赤ちゃんとママの親子展示をスタート
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