戦火をまぬがれた重要文化財「ジャコウネコ」のふすま絵を特別展示!名古屋城で11月1日〜
国の重要文化財に指定されている名古屋城の旧本丸御殿障壁画、その一部である「麝香猫図(じゃこうねこず)」が11月1日(金)から期間限定で特別展示されます。
名古屋城は1610(慶長15)年、関ヶ原の戦いに勝利した徳川家康の命によって築城が開始され、その一角を占める本丸御殿は、尾張藩主の住居かつ藩の政庁として1615(慶長20)年に完成。
武家風書院造の代表的な建築で各部屋の床の間や壁、ふすまなどの建具は、狩野派の絵師による絵や飾金具などで華麗に彩られ、当時の先端技術を注ぎ込んだ近世城郭御殿の最高傑作とたたえられるほどでした。
1930(昭和5)年には天守閣と共に国宝第1号に指定されながらも、太平洋戦争中の1945(昭和20)年5月に空襲によって焼失。
その後、天守閣は戦後の復興により再建されたものの、本丸御殿の復元計画が策定されて着工したのは2009年になってからで、市民などからの寄付50億円を含む総事業費約150億円を投じ、10年近くにおよぶ工事のすえ昨年6月に完成を迎えました。
そんな本丸御殿の中でも、ふすま絵や天井画など、取り外しが可能な1047面にもおよぶ障壁画は、空襲直前に移動させて焼失を免れており、戦後、国の重要文化財に指定されて保存されています。
今回特別展示される「麝香猫図(じゃこうねこず)」はその一部で、本丸御殿の広間である「表書院」に描かれた4面からなる障壁画。
表書院は1615(慶長20)年に築造された藩主に謁見するための建物。
部屋ごとに障壁画の画題や季節が描き分けられており、その中の一室「三之間」のふすまは海棠(かいどう)・紫蘭(しらん)・躑躅(つつじ)の花を描いた夏の景観で、当時、高貴な動物と考えられ障壁画の画題として好まれていたジャコウネコの姿が描かれています。
また今回は、「二之間」のふすまに紅葉した楓とともに秋の景観を描いた「槙楓椿図(ほきかえでつばきず)」も同時に公開。
いずれも本丸御殿が焼失する前と同じ場所にはめ込んで展示することにより、往時の様子を再現した雰囲気の中で鑑賞することができます。
特別展示は11月18日までの期間限定。
本丸御殿エリアの観覧は名古屋城の入場料金に含まれています。
<展示会概要>
期間:2019年11月1日(金)〜18日(月)
時間:9:00〜16:30(閉門は17:00)
※本丸御殿への入場は16:00まで
料金:大人500円、中学生以下無料
場所:名古屋城本丸御殿 表書院二之間・三之間境
愛知県名古屋市中区本丸1