女子美の中学生が描いたネコの絵138点が集結!猫を愛した小説家・大佛次郎の記念館で展示中

猫を愛した作家として知られる大佛次郎(おさらぎ じろう)の記念館で12月25日まで、中学生が描いた猫の挿絵が展示されています。

女子美術大学付属中学校生徒による猫の挿絵展示会「猫のいる日々」 in 大佛次郎記念館
実際の展示風景

大正時代から昭和にかけて、小説・ノンフィクション・批評・劇作・児童文学と多岐にわたって活躍した大佛次郎。

鞍馬天狗シリーズや赤穂浪士などの人気作品を残した作家として知られる一方、私生活では常に10匹以上の猫に囲まれて暮らし「私の家に住んだ猫の数は五百匹に余る」と語っていたほどの愛猫家で、猫を題材にしたエッセイや童話の数も60篇以上にのぼると言われています。

東京都杉並区にある女子美術大学付属中学校では今夏、そんな大佛次郎による猫を題材にした10篇の作品を読んで、イメージを広げ、挿絵を描くという課題を2年生の生徒たちに夏休みの宿題として提示。

本展はその出来上がった挿絵を、横浜にある大佛次郎記念館に展示するという企画展で、1階ロビーでは女子生徒たちが描いた138点の猫の絵が展示されています。

浴槽のフタの上でくつろく猫の挿絵5 by 女子美術大学付属中学校生徒
展示作品例

<挿絵の元になった大佛次郎作品>
猫の風呂番(エッセイ)、白猫白吉(童話)、「小猫が見たこと」(童話)、『隅の隠居』の話(エッセイ)、藤の花と猫(エッセイ)、困ったこと(エッセイ)、スイッチョねこ(童話)、客間の虎(エッセイ)、新しい家族(エッセイ)、舞台の猫(エッセイ)

例えば大佛次郎が残した「猫の風呂番」というエッセイは、いつも他の猫とは一緒に過ごさず、浴室でひとり暮らしている変わったメス猫の話。

ある寒い日、大佛次郎がお風呂に入ろうとしたところ、バスタブの蓋の上にいた猫がなかなかどかないため、仕方なく湯船に浸かるのを諦めて出ていった一方、猫の方はまるで女王様のように暖かい浴室で快適に暮らしてた……という実話エピソードで、それを元に生徒たちは以下のような挿絵を描いています。

浴槽のフタの上でくつろく猫の挿絵2 by 女子美術大学付属中学校生徒
フタの上で気持ちよさそうな猫

浴槽のフタの上でくつろく猫の挿絵3 by 女子美術大学付属中学校生徒
寝ている猫はどかせニャい

浴槽のフタの上でくつろく猫の挿絵4 by 女子美術大学付属中学校生徒
女王様っぷりを表現

同じエッセイを元にしていても、浮かんだイメージや表現方法は生徒によってさまざま。中にはじっくり読みこまなくてはなかなか描くことが出来ないと思われる、感性が光る挿絵も展示されていて見ごたえがあります。

浴槽のフタの上でくつろく猫の挿絵1 by 女子美術大学付属中学校生徒
これなら湯船に入れそう!?

浴槽のフタの上でくつろく猫の挿絵6 by 女子美術大学付属中学校生徒
大佛次郎の心境が伝わってくるかのよう

浴槽のフタの上でくつろく猫の挿絵7 by 女子美術大学付属中学校生徒
浴室を丁寧に描きこんだ絵も

展示されている挿絵の下にはエッセイなどの概要が記載されているため、大佛作品を読んだことがなくても楽しめるほか、挿絵の元となった10篇の作品は、大佛次郎が書いた猫のエッセイ・小説・童話など、合わせて60篇以上を収録した単行本『猫のいる日々』に収録されているものばかり。

大佛次郎の作品集「猫のいる日々」の解説パネル in 大佛次郎記念館
書籍の解説も

先に挿絵を鑑賞してからストーリーを振り返ってみたり、本を読んだ後にどの場面かを想像しながら展示作品を観たりと、同書と合わせるとより楽しめる展示内容となっています。

<展示概要>
会期:開催中~2021年12月25日(土)
時間:10:00~17:00
休館:月曜(祝休日の場合は翌平日)
入館:200円 (中学生以下無料)
会場:大佛次郎記念館 1階ロビー
住所:神奈川県横浜市中区山手町113

<参考>
500匹のネコと暮らした昭和の文豪、大佛次郎の猫愛エピソードを収録した書籍「大佛次郎と猫」
世界各地で出会った子猫の写真130点を展示!岩合光昭写真展「こねこ」名古屋栄三越で開催
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