猫ちゃんを撫でるための「ほうき」が開発されたニャ…!職人技が光る本格ほうき「なでねこ」
東京都世田谷区の自由が丘駅近くにあるセレクトショップ「katakana – カタカナ」で、岩手県九戸村で作られた「箒(ほうき)」を集めたイベントが11月2日より開催されています。
店内にはゴミやホコリを掃くのに使う部屋用のほうきをはじめ、服が毛玉になるのを防いでくれる和洋服箒 、旅行などにも携帯しやすいミニサイズの携帯用和洋服箒など、さまざまなほうきが並んでいますが、中でも注目なのが「なでねこ」という小型のペット用に作られた新製品。
持ち手の部分に肉球があしらわれた可愛らしいデザインになっています。
使い方は猫や犬などの体を優しく撫でるようにブラッシングしてあげるだけ。
猫は1日に何度も毛づくろいをする動物ですが、毛づくろいをした時に飲み込んだ毛をうまく体外へ排出することができないと、胃の中に蓄積してしまい毛球症(もうきゅうしょう)という病気にかかってしまうこともあるため、特に長毛の猫は定期的にブラッシングしてあげる必要があります。
また、ブラッシングが嫌いな性格でなければ、大抵の猫は撫でるとゴロゴロと気持ちよそうに喉を鳴らしてくれるので、飼い主さんと猫のスキンシップとしても役立ちます。
そんな猫や小型犬などのペットをブラッシングをするために開発されたのが「なでねこ」で、ブラッシングすることで猫の毛艶が良くなり、猫は飼い主さんに撫でられて気持ちくなり、飼い主さんはその姿を見て癒やされる…という一石三鳥のアイテムなのです。
このほうきを制作しているのは、岩手県の北部に位置する九戸村(くのへむら)に拠点を構える「高倉工芸」。
この村に代々続く農家の高倉家にとって、ほうき作りは農閑期の副収入源で、先代社長が「伝統の技と文化は継承していかないと消えてしまう」と危惧し、一つの産業としてほうきを本格的に作り始めたのが高倉工芸のはじまり。
それ以来、機能性や耐久性に優れた南部箒を作り続け、今では若い世代にも親しみやすい暮らしの道具となるようにカラフルな色合いのほうきや、オーガニックのほうき作りなども手がけているほか、近年ではロンドンやパリなど世界各国で南部箒の魅力を発信しています。
「いいほうきは、いい土から」と言われるほど、ほうき作りにとって土は重要で、春は土づくりから始まり、原料となるホウキモロコシの種をまいて無農薬で栽培。夏は1本1本丁寧に手で刈り取りすべて収穫するまでに6週間を要します。
そして秋には乾燥させたホウキモロコシを選別し、それからベテランの職人がホウキモロコシと絹糸を丁寧に編み上げる…といった具合に膨大な時間と作業を経て作られていきます。
店内に並んでいるのは、そうして手間暇かけて作られたほうきの数々。
価格は15,000円〜と一般的なほうきに比べて値が張りますが、大切に使えば15年以上、使い方次第では20年以上も使えるのだとか。
Cat Pressでは開発元の高倉工芸さんに開発秘話などを聞いてみました。
ーーなぜペット用のほうきを作ろうと思ったのですか?
10年ほど前から、弊社の南部箒で猫や犬をなでているお客様が増えつつありました。それに加えて「ペット用箒を作ってみては?」との声も寄せられるようになったことから開発に着手しました。ーー開発に苦労された点はありますか?
一目でペット用として理解できるデザインを考えるまでに試行錯誤を重ねました。最初のデザインは「PET」「CAT」「DOG」の文字を編んでみたものの、手間がかかる割には見栄えがあまり良くありませんでした。それから3年ほどしてから猫でも犬でも共通のパーツである「肉球」に気づき、デザインに取り入れられないか商品開発を進めました。今の商品が出来上がるまでにトータルでは5年の歳月を要しています。ーー製品の特徴を教えてください。
穂先が縮れている点です。この縮れにより腰が強く、ゴミを良く掃けるのが特徴です。素材は「ホウキモロコシ」というイネ科モロコシ属の1年草の穂先部分を使って作られており、草の栽培から製作まですべてが手作業で、農薬を使用していないためペットの口に入っても安心です。
イベントの開催は11月22日(金)まで。
高倉工芸の南部箒はkatakana/カタカナの実店舗をはじめ公式オンラインストアでも販売されています。
イベント概要
名称:高倉工芸南部箒展
期間:2019年11月2日(土)~11月22日(金)
時間:11:00〜20:00
会場:katakana/カタカナ自由が丘店
東京都世田谷区奥沢5-20-21 第一ワチビル1F
画像提供:katakana.