他の猫に埋もれながらへそ天をキメる茶トラ猫→平和な光景の裏側にはある島で発生したノネコ問題があった

猫が仰向けになって寝転ぶ「へそ天」。このポーズは急所であるお腹を無防備にさらけ出す行為のため、リラックスしている状態とは言え1匹でゴロンと寝転がっているのが一般的です。

ところが、東京都中央区にある保護猫カフェ「たまゆら」で目撃されたのは、へそ天をしたまま他の猫ちゃんに埋もれている猫の姿。そこには危機感のかけらもない平和な光景が広がっていました。

へそ天する猫のお腹を枕にして寝る猫たち
写真提供:保護猫カフェたまゆら

折り重なるように寝転がる猫たちの真ん中にいるのは、両手をバンザイしたまま昏々と眠っている一匹の茶トラ猫。

猫がへそ天したまま熟睡する姿は珍しくありませんが、ふんわりと柔らかそうなお腹の上には、左右から他の猫に頭を乗せられていて、まるで枕にされてしまったかのような状態。それにまったく動じることなくスヤスヤと眠り続ける様子からは、この猫ちゃんの只者ではない大物感が漂ってくるかのようです。

大胆なへそ天ポーズを披露していた猫の名前はマヌカくん。



店長の今場さんによると、現在お店には10匹以上の保護猫がいて、猫団子になって眠るのはいつもの光景。マヌカくんがヘソ天しているのも珍しくはないそうですが、この体勢のまま他の猫たちに埋もれてしまうのはなかなかお目にかかれないレアな光景なのだそうで、見た瞬間に笑ってしまったのだとか。

茶トラ猫のマヌカくん
茶トラ猫のマヌカくん

また、マヌカ君のまわりに猫が密集している理由については「私が別の部屋にいて戻って来たら写真のような状況だったので、こうなってしまった経緯は見ていないのですが、いつも夕方になって日が落ちると猫たちがホットカーペットに徐々に集結するため、寝ていたマヌカ君の周りに猫たちが集まってきたのかな?と思います。」と推測してくれました。

この後、お客さんが来店するとさすがに体勢を整えて普通の寝姿に戻ったマヌカ君。それでもまだ寝足りなかったのか、そのまま他の猫たちとお昼寝を続けていたと言います。

ホットカーペットの上に集まって眠る保護猫たち
人気のホットカーペット

そんなマヌカ君は推定年齢2~3歳の男の子。無防備なへそ天ポーズからは警戒心のない猫のように見えますが、預かりボランティアさんのお家にいた頃は人慣れしておらず、触ることができない猫ちゃんでした。

ところが、お店にやって来てからはわりと早く環境に馴染むことができ、今では人慣れしていなかったのがウソのように、人間にも猫にも優しいフレンドリーな性格になったのだとか。



マヌカ君がいる「たまゆら」は人形町駅から徒歩1分ほどの距離にある保護猫カフェ。店内には常時15匹前後の猫がいて全員里親を募集しています。

東京・人形町にある保護猫カフェ「たまゆら」店内イメージ
店内イメージ

実はこのお店、所在地は東京都心ですが、お店の中にいる保護猫たちはみな伊豆諸島にある御蔵島(みくらじま)出身の子ばかり。自然あふれる御蔵島は東アジア固有の海鳥・オオミズナギドリの世界最大の繁殖地として知られていますが、近年は人間が島に持ち込んだ猫が森で繁殖して野生化(ノネコ化)し、1匹で年間300羽以上ものオオミズナギドリを捕食する深刻な事態を巻き起こしています。

このままでは域内でオオミズナギドリが絶滅し、島の生態系が崩れてしまうことから、猫を捕獲して島から連れ出し里親を探すプロジェクトが進行中。そしていま御蔵島ではオオミズナギドリが越冬して島からいなくなるため、猫を捕獲するのに絶好のシーズン。この冬も既に60頭を超える猫たちが捕獲され、順次島から内地へと移送されています。

そんな猫たちを何とかしたいという思いから、保護猫カフェ「たまゆら」の運営を続けていると店長の今場さんは語ります。

「もともと保護猫カフェを始めようと思ったのは、自分が保護猫を家族として迎えたことがきっかけです。まだまだ保護を必要としている子はたくさんいる、一つでも多くの施設があれば少しでもお外で暮らす子を減らすことが出来るのではないかと思いました。今は御蔵島のノネコがゼロになる日までそのお手伝いが出来たらと思っています。」

保護猫カフェ「たまゆら」で過ごす猫たち
全員が里親募集中ニャ



猫の命を繋ぐ役割を果たしている保護猫カフェ。訪れたことがない人にとっては気軽に遊びに行って良い場所なのか気になるところですが、実際はどうなのでしょうか。

「保護猫カフェは里親を希望する人しか行ってはいけないと思われがちでしたが、最近は、遊びに行くだけでもその入店料がお店を維持するのに役立つという話がよく聞かれるようになりました。けれど実際にはそれだけでなく、猫たちがより多くの人と触れ合うことによって人慣れが進んだり、遊びや撫でてもらうことが健康増進にもなっているなと私は感じています。特に同店では人慣れのしていない猫を積極的に受け入れていますが、お客様のおかげで最初は触れなかった子が人間大好きな子に変わることも多いため、遊びに来てくれる皆様に感謝しています。」
(店長 今場さん)

せっかく保護猫カフェを訪れたのなら、楽しい時間を過ごしたいところですが、猫ちゃんに好かれるにはどのようなことに気をつけたら良いのでしょうか。その点についても聞いてみると「猫さんの嫌がることをしない、というのが何よりも大事です。」と回答。

保護猫カフェ「たまゆら」で猫と触れ合うイメージ
運が良いと膝に乗ってくれるかも!?

猫は基本的にお腹や手足を触られるのが好きでない子が多いため、まずは毛並みに沿って優しく撫でてあげるのがポイント。中には強めに撫でても大丈夫だったりお腹を触って大丈夫だったりする子もいるけれど、初対面の猫にはやらない方が良いほか、大きな音や声を出すのも苦手な子が多いためNG行為なのだそう。



また、顔の前から撫でようとすると怖がる子も一定数いるため、そういう子には横や斜め後ろから撫でてあげることを推奨。「好きなこと、嫌がることは猫それぞれなので、初めてのお店では接し方をスタッフさんに聞いていただくのが一番いいと思います。」と猫たちとの接し方について教えてくれました。

今回インタビューに応じてくれた保護猫カフェ「たまゆら」では、現在、保護猫の里親や預かり先を急募している真っ最中。

と言うのも、御蔵島からやってきた猫たちを保護してくれるシェルターがいっぱいになってしまうと、せっかく島で猫を捕獲できても連れてくることが出来ないのがその理由なのだそうで、「猫を飼いたいと思っている人や預かりボランティアに興味がある人は、ぜひこの機会に一歩踏み出してみて欲しいです。」と呼びかけています。

取材協力:保護猫カフェたまゆら(@CatcafeTamayura)さん

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