「遂にやってやったニャ」先代猫の遺志を継いでふすまに大穴を貫通させたキジ白猫、その破壊行為に及んだ動機に迫る
猫は爪をとぐ習性がある動物で、その目的は狩りの準備をしたり、気分転換やストレス解消、マーキングなどさまざまですが、爪とぎ以外の場所でやられてしまうと、家の中に大きな被害が出てしまうこともあります。
生後半年ほどの幼いキジ白猫、弥勒(みろく)ちゃんは先日、先代猫から受け継がれてきた爪とぎ行為によって、ふすまを貫通させることに成功。その瞬間を捉えた写真がSNSで大きな話題となっています。
そこに写っているのは、ボロボロになったふすまの穴から顔を覗かせている一匹の猫ちゃん。
その表情は「遂にやってやったニャ」とでも言わんばかりのドヤ顔で、野性味あふれる射抜くような眼差しを向けているほか、ふすまを貫通させたと思しき手からは鋭い爪がニョキっと伸びていて、ハンターとしてのポテンシャルの高さを感じさせるワンシーンです。
この写真が「先代から爪とぎされ続けたふすま、遂に貫通しました。」という飼い主さんのコメントと共にSNSのX(旧Twitter)へ投稿されると、3万件を超えるリポストと13万件の”いいね”を獲得。写真を見たユーザーからは「達成感ありそうな顔で草」「貫通、おめでとうございます」「はちゃめちゃに悪そうな顔がかわいい」「(映画の)シャイニングかよっ!」など多くのメッセージが寄せられて大きな注目を集めています。
先代から爪とぎされ続けたふすま、遂に貫通しました。 pic.twitter.com/iljPzayLjZ
— symny(ビーカー) (@symny) November 7, 2023
このふすまを最初にひっかき出したのは、ちびちゃんという名前の先代猫で、今から3〜4年前のこと。そのミッション(?)を引き継いだのが、半年ほど前にお家へやってきた弥勒ちゃんで、ふすまに興味を持ち作業に取り掛かってからまだ2〜3ヶ月しか経っていないのだそう。
記念すべき貫通の瞬間を目撃したのは、弥勒ちゃんがふすまを「カシャカシャ」とひっかく音を微笑ましく見守っていた時。
「最初の貫通は手だけが出て来て、弥勒と目が合い、そこからふち回りを噛みちぎりながら顔が通るくらいの大きさになったことから、これはシャッターチャンスとばかりに笑いながら何枚か写真を撮影しました。」
(飼い主さん)
しかし、写真を撮影されている事に気付いた弥勒ちゃんは、この後すぐにふすまの向こう側へ逃げて行ってしまったのだとか。
それにしても先代も含めて猫ちゃんたちは何故、このふすまで爪をといでいたのでしょうか。お家の中にはキャットタワーに専用の爪とぎが用意されており、実際にそこで爪をとぐことが多かったそうなので、わざわざふすまをターゲットにする必要はない気もします。
このふすまは、部屋と部屋をつなぐいわゆる「戸襖(とぶすま)」で、普段は猫がいる部屋と飼い主さんが音楽制作などをしている部屋を仕切るための引き戸。そこを狙って爪をとぐ理由について聞いてみると、家の中にある扉の中でこのふすまだけが割と爪をたてやすい素材であることを指摘した上で、「彼らからすると、爪とぎと言うより”何か音が鳴るものがふすまの向こうにあるから開けてみてみたい!”という気持ちだったのかも知れません。」と飼い主さんは振り返ります。
そうして、気になっていたふすまを貫通し終えた現在、弥勒ちゃんの爪とぎ行動に変化はあったのでしょうか。先代猫から続く思い出が詰まったふすまは、修理するのが惜しい気がするため今も破れたままにしてあるそうですが、弥勒ちゃんはふすまの残骸のひらひらが気になる様で、穴の中から時折顔を覗かせに来るのだそう。しかし、残念ながら爪は研ぎづらくなってしまったため、今はおとなしくキャットタワーの爪とぎを使っているのだと言います。
そんな弥勒ちゃんは、宮城県の県道36号線沿いで譲渡してもらった経緯から、36にちなんで「みろく」と名付けられた猫ちゃん。
性格は両極端で、弥勒という仏の名前を持ちながら般若の様な面もあり、弥勒モードの時は喉を鳴らしながら甘えて来て自分の顔をこすりつけて来たりする一方、般若モードの時は屋内のありとあらゆる場所に飛び移り、部屋に飾ったポケモンのぬいぐるみを薙ぎ倒しながら暴れまわっているのだそう。しかし、どちらも飼い主さんにとっては弥勒ちゃんの魅力のひとつとして感じているようです。
いつも温かい目で見守られている様子が伝わってくる弥勒ちゃん。家族にとってどのような存在なのか聞いてみると「気分が少し落ちている時にはすり寄ってきてくれたり、逆に元気な時にはそっぽ向いていたりと、こちらの気持ちが手に取る様に分かっていて、日々の癒しになってくれる事が多いです。家族の中でも自然と猫の話題になれば会話が弾み、猫をとりまく全体が朗らかになるのを感じます。」となくてはならない存在の様子。
一方、飼い主さん的には外で暮らしている猫の存在も気にかけているようで、「弥勒がやって来る前も我が家には3匹の猫がいまして、その全員が捨て猫や野良猫でした。この投稿を見た動物を愛する皆さんが、最後までその子に愛情を注いでいただける事を心から願っています。少しでも幸せな猫が増えますように!」とすべての猫の幸せを願う心優しいメッセージを寄せてくれました。
取材協力:symnyビーカー(@symny)さん