小学6年生の館長がつづった保護猫シェルターの写真エッセイ集「猫庭ものがたり」
山口県山口市にある保護猫シェルター「猫庭」で館長を務める小学生、手島姫萌(てしま ひめも)さんによる初の単行本「猫庭ものがたり」が9月7日に刊行されました。
「猫庭」は阿知須温泉の田園地域にある「てしま旅館」の中庭に設置された、保護猫を受け入れるための施設のこと。
古くなったJRの貨物コンテナを再利用して2016年6月に誕生した施設で、猫が雨・風・雪をしのげるようにコンテナの中には断熱材を入れ、夏は冷房、冬はストーブで温度管理を行い猫が快適に過ごせるように設計。
旅館に宿泊した人は無料でこのスペースを利用して猫とふれあうことができるほか、ロビーではソファに座ってガラス越しに「猫庭」をいつでも眺められるようになっています。
これまでにテレビや雑誌など様々なメディアで取り上げられ、航空券と宿泊費がセットになった「猫庭日和ツアー」が発売されるなど高い注目を集める一方で、年間100匹以上の保護猫を受け入れて新しい家族へと譲渡する活動を続けています。
本書はそんな「てしま旅館」の次女で小学6年生の手島姫萌(てしまひめも)さんが、旅館を営む“猫ぎらい”の父親を説得し、小学校1年生のときに河原で拾った猫を家で飼い始めるところから、猫の里親を見つけるまでのエピソードを綴った写真エッセイ集です。
【目次】
第1章 手島家と猫
第2章 猫が殺処分されている
第3章 「猫庭」誕生!
第4章 猫が伝えたいこと
第5章 わたしと猫庭
番外編 しあわせになった猫たちのものがたり
著者の姫萌さんは、小学校から帰ると猫庭の掃除やごはんなどの世話、猫たちの健康チェックが日課。そして休日には、旅館を訪れた人や譲渡会に参加した人たちに猫庭を案内したり、SNSで猫の特徴を一匹ずつ紹介したりと大忙し。
本書に登場する「こうちゃん」もその猫庭を巣立っていったうちの一匹で、もともと施設の中でも「人間が苦手」なタイプ。膝にのったり触れ合って人間に甘えることができないため、なかなか譲渡先も決まらない日々が続いていました。
しかし、ある日譲渡会に訪れた夫婦がひと目見ただけで連れて帰ることを決意。姫萌さんは人馴れしていない猫であることを何度も確認したけれど翻意することはなく、理由を聞いてみると、飼っていた猫が亡くなり寝たきりになってしまった父のために迎え入れる猫を探しており、「こうちゃん」はその亡くなった猫にそっくりな容姿だったのだとか。
その後、おじいちゃんとこうちゃんが幸せそうに過ごす写真が送られてきて、譲渡への不安が取り越し苦労であったことを幸せそうに自らの言葉で振り返っています。
父親の英樹さんによると、猫庭の取り組みは日に日に認知度が高まり県内の殺処分数も激減しているものの、今は長らく続く猫ブームの最中。やがてブームが去ってしまったとしても持続できる取り組みが必要であると考えていたところ、いつまでも形が残る書籍として「館長に本を書いて欲しい」との依頼が出版社より寄せられたことから承諾。
本書を通じて猫を取り巻く問題が多くの人たちの心に留まり、たくさんの命が繋がる事を願って世に送り出したいと述べています。
書名:猫庭ものがたり
著者:手島姫萌
出版:朝日出版社
発売:2019年9月7日
定価:本体1,380円
仕様:46判変型ソフトカバー/104ページ
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<参考>
・山口県のてしま旅館に、野良猫を保護する「猫庭」が完成
・JALパックで行く猫旅館への旅「猫庭日和ツアー」が登場!1名から参加OKニャ
(C) Asahi Press