映画「ねことじいちゃん」イベントレポート(2)
また、柴咲さんに対して一昨年に演じていた「おんな城主 直虎」の役のイメージがあったという岩合監督は「ベーコンが寄って行った時に、この人は本当に直虎をやっていた人なのかというくらい優しい表情でして」と当時の印象を語ると、柴咲さんからは「直虎も優しいですよ(笑)」と鋭いツッコミが。
今回の役について聞かれると「不思議な経験をさせていただきました。普通は本番っていうと役になるのが、猫がいるとどういう顔をして立っていたらいいんだろうか、と。普通のお芝居とは違う経験をさせていただきました。岩合監督からもリハの時に、芝居をしないでくださいと言われて。空気感とか、そこで沸き起こる気持ちを大事にすればいいかなと思いました」と演技に臨む際の心境を語りました。
岩合監督も「すでに本作を見た人たちからも自然だったと言われたんですけど、僕はそれを目指していたんですよ。島の人間の関係性を自然な感じで描きたかったので、志の輔師匠にも肩に力を入れないでと言ってきたんですよね」と、こだわりを語り、柴咲さんの演技についても「役作りがしっかりしていたので、美智子さんになっていた」「風景の中でも柴咲さんが猫と一緒にいるだけで目が吸い寄せられるなと。風景の中でも輝いていた。」と大絶賛。
ベーコンの演技についても、志の輔さんから「台本に猫が芝居をするって書いてあるんだけどと」とツッコミを受けたという岩合監督。するわけがない、と笑いながら語る柴咲さんに「でも、監督だからすると言わなきゃいけなくて。そのあとが大変だったんですけど、ベーコンはスーパーキャットだったんですよ」と、まるで台本を読んだかのような動きを見せてくれた演技力に脱帽。
「本当に猫は自然に動いてくれて、演技をしてくれて、キャストの皆さんがその動きに合わせて動いてくれたんですよ。小林薫さんも、刺身を投げたら猫が喧嘩をしてしまうところで、「こらこら、喧嘩なんかするんじゃねえよ」と声をかけてくれたり。とっさのアドリブが素晴らしかったです」と明かしつつ、このシーンに登場する猫が「おんな城主 直虎」でも人気の出た「にゃんけいさん」を演じた猫だということも明かにされました。
柴咲さんについて、岩合監督は「子猫が水を飲むところで、足を踏み外してしまうシーンで、すぐに猫を助けてくれたんですよ。そういうところが素晴らしい。その素早さにびっくりしました。そういうハプニングが逆に美しさを生んだりするんですよね。いわゆるディレクターズカットってありますけど、僕はいいシーンを全部入れたのでもう作れないです。」と語り、会場を沸かせる一方で、冒頭でタマが食卓にあがって食べようとするシーンをやった時に、『タマ、よくやった』とベーコンをほめていたところ、後々、志の輔さんが、『あいつは猫しかほめない』と言っていたエピソードを明かし、「志の輔師匠も抱きしめればよかったかな(笑)」とちょっぴり反省した様子も。
また、大吉の妻役を演じた田中裕子さんの演技力にびっくりしたという岩合監督。「タマが枕元に近寄った時にタマの名前を呼びながら、その目は病弱な人という演技をされていてすごかった」と思いだしながら語ると、柴咲さんから「人間にも興味持ってもらいましたか(笑)」と言われ苦笑を浮かべるも、主演猫「タマ」の子供の頃を演じた子猫が岩合監督の家に住んでいる事実が明かされると、報道陣からは「えー!」「可愛い!」とらやましがる声が上がる一幕も見られました。
さらに、佐久島での撮影中、柴咲さんが猫のゲージを掃除してくれたというエピソードも披露。「控室にいたら、猫たちの声が聞こえて。気になって行ってみたらトイレが掃除されていないのを見つけて、スタッフみんなで掃除したんです」と柴崎さんが語ると、岩合監督も「それを聞いたときに「えらい」という言葉がでましたね。率先して猫のことを考えてくれたのは、キャストの中でも柴咲さんがNo.1だったんじゃないかな。猫への接し方とか表情が、役柄から離れても優しい顔をされているのが素晴らしいことだと思っています」と感謝。
柴咲さんは「猫はきれい好きだと思っているし、こちらの都合で待機してもらっているので少しでも心地よく過ごしてもらいたいと思っていたんですよ。この作品は本当に特殊で、カメラの前に立ってて、顔がこんなにとろけていていいのかなと思ったくらい。でも、岩合さんはこれを撮りたいんだろうなと思っていました。本番でも猫が驚かないように、今回の撮影はカチンコがなかったので、余計に日常と境目がなくて、撮影で猫セラピーを受けているような感じでした」と述懐。
さらに「猫ももちろん素敵に映っているんですけど、どんなカットにも猫がいる作品って、いままでにないですよね。その猫も伸び伸び過ごしているし、猫の日常が描かれているので、素敵な映画になったんじゃないかと思います。」と作品の見どころを語りました。
最後に「撮影した佐久島は素晴らしい島なので、映画を見て、皆さんにも実際に訪れていただきたいと思います」と島の魅力についても語った岩合監督。
その後はフォトセッションが行われ、ベーコンが動くたびに会場中から笑いや歓声が起こるなど終始和やかな雰囲気の中でイベントは幕を閉じました。
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