強面な猫の行動専門家、ジャクソン・ギャラクシーの新刊「猫を幸せにする飼い方」
世界的に著名な猫の行動専門家による新刊、ネコに関する悩みや疑問を解決する「ジャクソン・ギャラクシーの猫を幸せにする飼い方」が今月刊行されました。
本書の著者は、書名にもあるジャクソン・ギャラクシー。
派手なタトゥーにゴツゴツしたピアスやアクセサリー、スキンヘッド、髭を生やした大男・・・と、如何にも怖そうな見た目をしていますが、もともとはロックミュージシャンとして活動し、その後、動物シェルターでの救助活動などを通じて猫の行動について学んだ異色の経歴の持ち主で、ワイルドな見た目とは裏腹に知識と経験に基づいた緻密な解説を展開する専門家。
猫の問題行動からその心理を分析して解決方法を導き出すことを得意とするカリスマ猫トレーナーとして知られ、世界最大級の動物自然チャンネル・アニマルプラネットの人気番組「猫ヘルパー ~猫のしつけ教えます~」では、愛猫の困った問題行動に手を焼く家庭を訪問して猫のカウンセリングや飼い主さんへの助言を行い、エグゼクティブ・プロデューサーとしても活躍しているほか、世界各地をまわって講演なども積極的に行っています。
本書は、自身の経歴を通じて猫のあらゆる問題を解決してきたジャクソン・ギャラクシーが、トイレ問題の対処方法から、猫が喜ぶ遊び方、猫と猫の引き合わせテクニックまで、そのノウハウを解説した愛猫家には必読の一冊。
本文は大きく4つのパートに別れており、各パートは複数の章で構成。全部で21章(300ページ超)にもおよぶ読み応えのある内容となっています。
パート1〜2にかけては、猫のルーツや歴史から猫の習性などについて解説。
本書では猫が自然の本能に触れている時に示す自信を「モジョ」として定義。また、猫を正しく理解するために6つのプロセス(= 狩りをして、獲物を捕らえ、殺して、食べ、毛づくろいをして、眠る)を猫の原始的な習性として挙げており、猫が自信を持ってこのサイクルをこなすことができていれば「モジョ(自信)」が満たされる、つまり猫をその状態にさせることが私たち飼い主が目指すべき姿であるとし、本書の根幹をなすコンセプトとして掲げられています。
そうした猫の本能ともいうべきプロセスは、ネズミ退治をさせたい人間の思惑と一致して数千年にわたり継続されてきましたが、猫がペットとして飼われるようになったのはわずか150年ほど前のことで、猫にとってかつて当たり前に出来ていたことが、突然当たり前ではなくなってしまった状態にあるのが現代であるとジャクソン氏は指摘。
猫が持って生まれた本能的な衝動を失うことなく、室内でより質の高い生活ができるように人間と猫がお互いに歩み寄っている時期なのだと言います。
パート3では、前項までの歴史や習性を踏まえたうえで、ジャクソン流の猫を幸せにする飼い方を展開。
玩具での遊び方や食事の与え方に始まり、部屋づくりや縄張りづくり、猫トイレの十戒、猫を育てるトレーニングのテクニック、他の動物との関係や人間との絆の築き方まで、猫と幸せに暮らすためのコツが丁寧に解説されています。
例えばジャクソン氏には「飼い猫が遊ばない」という相談が多く寄せられるそうですが、そうした飼い主の多くは、家の中を元気に駆け回ることだけが猫の遊びだと誤解していることが多いと指摘。猫の歴史や習性を踏まえると、必ずしも活発に走り回ることだけが猫にとっての遊びなのではなく、獲物を仕留めることはもちろんのこと、そのための準備や忍び寄ることも彼らにとっては重要なプロセスなのだとか。
そして愛猫がいま求めている遊びは何かを理解する重要性を説きつつ、具体的な手段として玩具の種類や遊ぶ時の注意点が個別に解説されているため、やってみて上手く行かなかった場合の次のステップや代替策をイメージしやすいのも本書の特徴です。
また、パート4では「あなたの悩み答えます」と題した実例集となっており、爪研ぎ問題や猫たちの折り合いが悪い場合、トイレの問題など、9つの章に分けて問題解決の方法を伝授。
いずれも現在起こっている問題の具体例を提示し、なぜそれが起こっているのか原因について解説、そしてジャクソン流の解決策や修正ステップなどを問題ごとに提示する流れになっており、今すぐ猫に関する悩みを解決するためのヒントが欲しい場合は、この章から自分の状況に合った事例を探して読み始めることもできます。
猫の悩みを抱えている人やこれから猫を飼おうと思っている人にとっては実用的で、猫についてもっと知りたい人も楽しめる一冊となっています。
(C) X-Knowledge Co.,Ltd.