神出鬼没な猫がクセになる、お笑い芸人で絵本作家の田中光さんによる新作絵本『ねこいる!』
猫は現実世界だけでなく絵本の世界でも人気者。
猫を題材にした絵本は数多く、心温まる物語や冒険心をくすぐる物語、ミステリアスな物語など、バラエティに富んだ作品にあふれていますが、ポプラ社から新たに刊行された『ねこいる!』はメッセージや意味などを削ぎ落とした異色の絵本。
コンセプトは「ねこがいるのか、いないのか」というシンプルなもの。
ただそれだけで構成された絵本で、紙袋に入ったフランスパンや、楽器のリコーダー、跳び箱の踏切板など、ページをめくるたびに予想外のところからシュールなタッチで描かれた猫が「ババーン!」と出現。
隠れるにはちょっと無理がありそうな場所から猫が勢いよく飛び出してくる光景は、クスッと笑ってしまうような小気味良さがあり、シンプルな展開と言葉の繰り返しが子どもたちの笑いのツボを刺激してくれます。
著者はお笑い芸人の田中光さん。サラリーマンが部長相手に繰り広げる異常な日常を一コマで描いた人気ギャグ漫画シリーズ『サラリーマン山崎シゲル』の著者で、2019年には「たなかひかる」名義で発表した初の絵本作品『ぱんつさん』が第25回「日本絵本賞」を受賞するなど、漫画家や絵本作家としても活躍中。
「絵本の可能性をどんどん広げていきたい」と語る田中さんの絵本第2弾は、前作に続きシュールな世界観に引き込まれる作品。
表紙カバーの折り返し部分をよく見ると、猫のしっぽに沿って小さな文字で「ねこが いるのか いないのか、きをつけて よんでね。いないと おもったところにも、ねこが いるかもしれないよ……。」という気になる一文が。
「笑いのツボは刺激しますが、読んでも頭は良くなりません」という本書。ラストに待ち受けているのは斬新すぎるビックリな展開で、読み終わると思わずもう一度読み返したくなる作りになっているほか、子供も大人も一緒になって猫を探しながら笑える一冊となっています。
作者の田中さんはプライベートでは正太郎というアメリカンショートヘアを飼っている愛猫家。本書の売上金の一部は動物の殺処分ゼロを目指し活動している団体に寄付されます。
<参考>
・渋顔ネコが作るこだわりの味!世にも不思議な猫世界の絵本・第2弾は『ねこのラーメンやさん』
・ネコの妖怪ってどんな暮らし?猫又の家族とめぐる愉快な世界を描いた絵本『ねこまたごよみ』
・芸能事務所で暮らす猫がニャンと初の写真集を発売!『さらば青春の光の会長はねこである』
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