茶トラ・キジトラ・サバトラなど、トラ模様のネコばかりを集めた岩合光昭さんの写真集「とらねこ」
動物写真家・岩合光昭さんの新しい写真集、「とらねこ」が2017年3月22日(水)に発売されました。
本書はその名のとおり、キジトラ、チャトラ、サバトラなど、これまでに岩合さんが国内外で出会ってきた様々な「とらねこ」たちの写真が収められている写真集です。
1匹ずつ4ページほどにわたって写真が掲載される構成で、ネコの名前や自己紹介、撮影時の様子などについてのコメントも一緒に添えられており、世界各地のとらねこたちの魅力を岩合さんが紹介してくれる、そんな内容となっています。
ではどんなとらねこが出てくるのか、少しだけ本書の中身を見てみましょう。
こちらはイタリア・シチリア島の街で自由気ままに暮らしているキジトラ。
石畳の広場を歩いたり、好きな場所でひと休みしたり、教会に出入りしたり。その写真を眺めていると、ネコの後をつけて一緒に散歩しているかのような気分になってきます。
お店の看板ネコも何匹か登場します。
アメリカ・ニューオーリンズのバーにいるのはとても綺麗な毛並みをしたサバトラ。映画「ミスター・ウー」を流すとよく熱心に観ることから、その名で呼ばれています。
まるでお店の主人のような風格を漂わせていますね。
ブラジルのリオデジャネイロでは、飼い主さんと一緒にビーチに出かけてきたチャトラと遭遇。盛った砂を背もたれにしながら日光浴をしています。
横たわっている姿勢やこちらに向けられる視線はまるで人間そのもの。
NHK BSプレミアムで放送されている「岩合光昭の世界ネコ歩き」を見たことがある方は、見覚えのあるネコもいたのではないかと思いますが、その一瞬の表情を捉えた写真からは、番組の映像とはまた違った魅力が感じられるのではないでしょうか。
一方、岩合さんがネコを撮影する時に大事にしているのが、その土地の風景です。そのため、とらねこたちの表情と共に、その土地土地の風景を楽しめるのも本書の魅力のひとつです。
シンガポールやオーストラリア・ケアンズなどの都市から、スペイン・マドリードの牧場、ラトビアのミツバチ農園、ペルーの湖に浮かぶ浮島で暮らす集落など、岩合さんが訪れた世界各地の風景が収められています。
中でもスペイン・アンダルシアの山村で透き通った青空を背にジャンプするネコ、ポルトガルの世界遺産に登録されている渓谷を背にしたネコの写真は、思わず息を呑むような美しさ。
そのほか、沖縄や山口、津軽など、どこか懐かしさを感じる日本の風景も収められていて、とらねこだけでなく背景にも目を移しながらめくってみると、より楽しむことができます。
また、岩合さんはネコを撮影するうえで「人間とネコが関わり合いながら生きていること」を意識する重要性について、たびたび言及されています。とらねこたちが、その地域の人々とどのように関わっているのかな、どんな風に可愛がってもらっているのかな、そんなことに思いを馳せながら写真を眺めてみるのも面白いかもしれませんね。
美しい風景とともに、その土地土地で暮らすとらねこたちの姿を覗いてみてはいかがでしょうか。
オススメ
(C) Mitsuaki Iwago