【まるで分身の術】島でシンクロした猫たちに囲まれる写真が圧巻→20回以上も通い詰めて仲良くなった証だった

忍者が敵を惑わす時に使う分身の術。

非常に素早く動くことで相手に自分が複数人いるかのように錯覚させる技で、敵の注意をそらす効果があるため戦闘を有利に進めることができると言われていますが、もちろんこれはアニメや漫画などフィクションの世界における話。現実世界の人間では分身を作り出すほど早い動きをすることはできません。

しかし、抜群の身体能力を誇る猫ならば、もしかしてあり得るかもしれない……。そんな風に思わされる写真がSNSで話題になっています。

分身の術を使ったように見える猫の集団 by 山本正義
どれが本物か分かるかニャ?

写真に写っているのは、ゆっくりと歩み寄る猫たちの姿。

その数は全部で5〜6匹ほど確認できるでしょうか。いずれも同じような表情や模様をした茶白猫で、同じようなポーズをしたままこちら側にズンズンと迫りくる光景は圧巻。猫たちの尻尾がピンと立った仕草まで似通っていて、まるで一匹の猫が分身の術を使って数を増やしたかのように感じられます。

猫は幼少期に、一緒に暮らしている親や兄弟の動きを真似しながら生きるのに必要なことを学んでいくため、自然と動きや仕草が似てくることがありますが、それは群れで生活する野生動物にも見られる本能的な現象。

とりわけ猫同士の息がピッタリあったような動きは「シンクロ」と形容され、SNSでは猫の兄弟姉妹が2匹で同じポーズをした写真がたびたび話題になっていますが、この写真は猫が集団でシンクロしている珍しいシーンと言えます。

この写真を投稿したのは写真家の山本正義さん。撮影場所は香川県のとある島で、訪れた時にたまたま人懐っこい猫たちに囲まれた…という訳ではなく、20回以上も通って猫たちに声をかけながら少しずつ仲を深めていき、こちら側に来てくれたところをパシャっと撮影した光景。その瞬間は猫の可愛らしい姿と撮れたと思ったと同時に、写真家としては大・中・小の構図を捉えることができた瞬間でもあったそうですが、その後は猫を撫でているうちにいつの間にか写真を撮るのを忘れてしまっていたと言います。

エピソードを聞いているだけで、ネコ好きなことがヒシヒシと伝わってくる山本さん。以前は人と猫を一緒に撮影していたそうですが、猫が人に安心感を与えたり心を掴んで離さない存在であることに魅力を感じるようになってからは、猫だけを被写体とするように撮影スタイルが変化。

また、猫が立ち上がった瞬間を捉えた写真に「立ち猫」と名付けてポジティブなメッセージを添えてSNSで投稿しはじめると、「めっちゃ可愛い」「なんか元気が出る」「今日も頑張れそう」などのコメントが寄せられるようになり、その作品に癒やされたり魅了される人が続出。

これまでに岩合光昭 アサヒカメラ猫写真コンテストに連続入選(第4回・5回)しているほか、2019年には写真集「立ち猫」を発表しています。

青空と野原を背景に立ち上がる猫(立ち猫)を捉えた写真 by 山本正義
安定感抜群の立ち猫

元気玉を集めているような姿に見える猫の写真 by 山本正義
元気玉を集める立ち猫

そんな山本さんに、普段猫を撮影する時に意識している点について聞いてみると「コミュニケーションですね。」と一言。声かけをしたり一緒に遊んだり、猫と人の距離感や性格などをじっくり見たうえで写真撮るようにしているほか、自身が猫に癒され愛情を深く持つようになった経験から、人にも愛を伝えられるような写真作りをモットーにしているのだとか。

Twitterの公式アカウントでは山本さんが撮影した元気が湧いてくる猫の写真がたくさん公開されています。

取材協力:山本 正義(@nekoiroiro)さん

<参考>
8000分の1秒で捉えた猫の本気バトル!写真家が高速シャッターで猫のケンカを撮影したら躍動感が凄かった
青い海と空には猫がよく似合う!島ネコを撮り続けて10年、写真家・ゆきじろうさんの初写真集『ネコ島は今日も快晴』

最近の投稿