孤独のグルメの作者、谷口ジロー氏の作品集「犬を飼う そして…猫を飼う」
人気マンガ「孤独のグルメ」の作者・谷口ジロー氏による、犬と猫を題材にした作品集「犬を飼う そして…猫を飼う」が6月29日に発売されました。
日本では、テレビ東京系列にてSeason7まで放送された「孤独のグルメ」の作者として知られる谷口ジロー氏ですが、「歩くひと」や「遥かな町へ」など、氏の単行本は世界15ヶ国で翻訳版が発行されており、フランス政府から勲章が授章されたのを筆頭にヨーロッパでは数々の賞を受賞。欧州と比較すると、日本ではまだまだ知られていない作品が数多くあります。
そんな作品のひとつが、1991年にビッグコミックで掲載された「犬を飼う」。
作者である谷口氏の体験を元に、老いた愛犬を看取るまでを克明に描いた作品で、掲載と同時に大反響を呼び翌年の小学館漫画賞では史上初となる審査委員特別賞を受賞。その後、続編である「そして…猫を飼う」など、シリーズ3作が描かれ合計3度にわたり単行本化されましたが、いずれも書名は「犬を飼う」となっており、作中に登場する猫の存在はなかなか認知されてきませんでした。
今回、猫に興味がある人にもこの名作を知って欲しいとの思いから、タイトルを「犬を飼う そして…猫を飼う」とし、2話目のタイトルも書名に入れて「犬を飼う」シリーズの決定版となる作品集を刊行。
書名の変更に加えて、谷口氏が愛犬との暮らしについて書いたエッセイ「サスケとジロー」が収録されているほか、今回初公開となる氏が飼っていた犬や猫の写真も多数収録されており、1冊丸ごと犬と猫を題材とした作品集となっています。
また、作品集の刊行にあたり、谷口ジロー氏と同じく鳥取県出身の漫画家で、名探偵コナンの作者・青山剛昌氏が描き下ろした推薦イラストも公開。主人公である江戸川コナンが猫を抱き、後ろで犬が寝ている様子を描いたオリジナルイラストとなっています。
本書の担当編集者によると、発表から27年が経った「犬を飼う」シリーズは作中で描かれている老いた愛犬の看取りや、子供がいない夫婦にとってのペットの存在など、そのテーマは全く色褪せておらず、むしろ2018年の今、更に現代的になっていると指摘。
谷口氏が遺したこの名作を今こそ多くの人々に読んで欲しいとの思いに加えて、孤独のグルメ以外の氏の作品に触れてもらうきっかけにもなって欲しいとの思いが本書には込められているのだとか。
興味のある方は手にとってみては。
1947年鳥取県出身。1971年ごろ商業誌デビュー。「父の暦」「遥かな町へ」「事件屋稼業」(関川夏央との共作)「神々の山嶺」(原作:夢枕獏)「孤独のグルメ」(原作:久住昌之)など、幅広いジャンルで作品を発表。1992年に「犬を飼う」で第37回小学館漫画賞審査委員特別賞を受賞したほか、手塚治虫文化賞マンガ大賞や、アングレーム国際漫画祭最優秀脚本賞などを受賞。2011年にはフランス政府芸術文化勲章・シュヴァリエが授与されるなど、その作品は世界中で高く評価されている。2017年2月11日没。
書名:犬を飼う そして…猫を飼う
作者:谷口ジロー
出版:小学館
発売:2018年6月29日発売
定価:本体1200円+税
(c)パピエ/(c)青山剛昌/(c)Shogakukan Inc./prtimes.jp