擬人化した猫を通じて江戸の情緒や人情を描いたマンガ「差配さん」

今年の9月に刊行された、猫が主人公のマンガ「差配(さはい)さん」がじわじわと人気を集めています。

猫が主人公のマンガ「差配さん」

本書はリイド社が発行している日本の時代劇漫画雑誌、「コミック乱」にて連載されていた連作短編を単行本化したもの。

作品の舞台は江戸時代、主人公は擬人化した猫、というユニークな世界観のマンガです。

現代に生きる私たちは親子の問題、男女の問題、ご近所問題など、さまざまな問題に囲まれて暮らしていますが、それは江戸時代でも同じ。

そして江戸時代には、現代さながらの猫ブームがたびたび到来。猫が浮世絵などの画題として多く取り上げられるようになり、歌川国芳など多くの浮世絵師が作品の中で猫を描いていることから、人と猫が寄り添い合って暮らしていたことがうかがえます。

そんな江戸時代において、庶民と猫の生活を通して見えてくるのは、人や動物たちの「あたたかさ」。

本書は、そんな江戸の市井に生きる人々が抱える悩みを、機転を利かせながらゆったりと解決してくれる主人公「差配さん」を中心に展開される心温まる物語で、その「差配さん」というのが人間ではなく「猫」という設定なのです。

マンガ「差配さん」の登場人物イメージ

擬人化された猫たちが江戸庶民の暮らしに関わり、人や動物たちの暮らしを通して、江戸の情緒と「あたたかさ」を表現している作品で、「きっと江戸は人にも動物にもやさしかった」。そんな風に感じられる一冊となっています。

著者は、過去に全編全コマ浮世絵で描いた異色の漫画「ふしあな」を発表している漫画家の塩川桐子さん。ハートフル短編作品の名手で、本書にも8点の短編が収録されています。

<収録作品>
【差配さん】
【川のほとりで…】
【乙女の祈り】
【初夏のできごと】
【約束】
【雨後の晴色】
【灯-ともしび-】
【旱-ひでり-】

マンガ「差配さん」の作者、漫画家・塩川桐子さんのメッセージ

本書が刊行されたのは2017年9月27日ですが、じわじわと人気が広がり各書店でも品薄の状態が続いているそうで、昨日には出版社から重版が決定したと発表されたばかり。

興味のある方は手にとってみてはいかがでしょうか。

書名:差配さん
著者:塩川桐子
出版:リイド社
頁数:160ページ
判型:A5判
発行:2017年9月27日(水曜日)
定価:本体830円+税

出典:atpress.ne.jp

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