養老孟司が痛快に語る最新エッセイ「猫も老人も、役立たずでけっこう」

ベストセラー書籍「バカの壁」の著者として知られるネコ好きな解剖学者、養老孟司氏の最新エッセイ「猫も老人も、役立たずでけっこう」が今月刊行されました。

書籍「猫も老人も、役立たずでけっこう:NHK ネコメンタリー 猫も、杓子も。」の表紙

東京大学の助手や教授を経て同大から名誉教授の称号を授与している養老氏は、これまでに「唯脳論」「バカの壁」「死の壁」「遺言。」「半分生きて、半分死んでいる」など、医学や生物学の多様な知識を交えながら一般向けの書籍を数多く執筆。

ネコ好きな解剖学者、養老孟司氏の近影

私生活では15歳を超える猫「まる」と暮らしており、「うちのまる」「そこのまる」「まる文庫」「ねこバカ いぬバカ」(共著)などの書籍も執筆するなど、愛猫家の作家としても活躍しています。

2017年には美しい映像で作家と猫の日常を綴るNHKの人気ドキュメンタリー番組、「ネコメンタリー 猫も、杓子も。」の初回放送に「養老センセイとまる」というタイトルで出演。その内容は大きな反響を呼び、後日、特別編となる「養老センセイと“まる”鎌倉に暮らす」が放映されたほど。


本書はそんな人気番組から生まれた養老孟司氏の最新エッセイで、愛猫まる15歳と暮らす養老センセイ80歳が「生老病死」を痛快に語る、悩み多き現代人ための書籍。「まるは、私の生きることの“ものさし”である」と語る養老センセイの名言が随所に散りばめられています。

養老孟司氏の愛猫「まる」 by 書籍「猫も老人も、役立たずでけっこう」

書籍「猫も老人も、役立たずでけっこう」の中身イメージ

私は八十歳、何を言っても遺言、写真を撮れば遺影という歳になりました。まるも十五歳を過ぎています。お互い立派な老後ですな。腹がすいたらメシを食い、気が向けば一緒に散歩する。眠くなったら寝てしまえばいい。それでいいじゃないですか。何もせず、日がな縁側に寝転がっていたところで、誰も困りはしないでしょう。
役立たず? それでけっこう。(「吾輩はまるである。」)

先日、八十代の女性と会食した時、息子も独立したので、もしもの時に迷惑がかからないよう遺言を書いているという話が出ました。そこで私は、余計なお世話だと言ってさしあげたんですな。人間誰しも、人に迷惑をかけるのなんて当然なんです。人っていうのは、いるだけで迷惑なものなんですよ。 (「生きているだけで、迷惑」)

戦後の経済発展で、まあ確かに楽にはなりました。歩かなくてすむようになったとか、寒かったら温められるようになったとかね。便利なものもたくさんできた。でも、だから幸せかというと、そうでしょうか。人間は本当に幸せを追いかけているんですかね。まるを見ているとわかるんですよ。あの程度でいいんじゃないのって。(「そんなに稼いでどうするの?」)

最近の健康ブームもあって、老人たちは治療したら元の身体に戻ると勘違いしていますね。そんなわけないでしょう。歳をとったら病気の三つや四つ抱えているのは当たり前。死なない人はいないんだから、過剰に不安を持っても仕方がない。そう心得てくださいな。(「病院には行きません」)

本書の目次
吾輩はまるである。
違いのわかる猫、マヨラー猫
生きているだけで、迷惑
そんなに稼いでどうするの?
動物とのつきあい方
「関節が痛ぇ」
笑って死ぬ
「オレオレ詐欺」には騙されません
信用できるものはなんだ?
ゾウムシで世界が変わる
虫捕りのススメ
なぜ「猫に小判」なのか?
スタバのコーヒーはどこでも同じ?
日本語は「悪魔のコトバ」
人間がいらなくなる日
東京は消滅する?
腹にバイ菌、手すりに除菌
個性を伸ばせとおっしゃいますが……
脳みそを変える
みんな〇・二ミリの卵
役立たずでいいじゃない
自分なんてナビの矢印
病院には行きません
喫煙家で禁煙家
食う寝る遊ぶ、ときどき邪魔
私はもう死んでいる

はたして、いつもネコろんでいる「まる」の目を通して人間社会を眺めてみると、私たちの世界はどう見えるのか。ネコ好きな人はもちろん、悩み多き現代人に新しい視座を与えてくれる一冊となっています。

書名:猫も老人も、役立たずでけっこう
著者:養老孟司
仕様:46判/上製本/192頁
発売:2018年11月20日

参考:NHKで2週連続放送、猫を愛する作家に密着する「ネコメンタリー」
(C) Kawade Shobo Shinsha