実在する猫をモデルにした100体以上の彫刻集「はしもとみお 猫を彫る」
どうぶつ彫刻家・はしもとみお氏による猫の作品を収録した彫刻集、「はしもとみお 猫を彫る」が11月24日に刊行されました。
はしもと氏は「生」をテーマに動物の肖像彫刻を制作する彫刻家で、温もりのある木彫で表現された可憐な作品は、まるで命を吹き込まれた動物のように今にも動き出しそうな迫力を携えています。
これまでに全国各地のギャラリーや美術館などで個展を開催しているほか、ユニクロのテレビCM「ヒートテック彫刻家篇」やテレビ東京のドキュメンタリー番組クロスロードに出演するなど、メディアにも多く取り上げられている話題の彫刻家。
そんなはしもと氏にとって「猫」は美大在学中から一貫して追いつづけてきた大切な動物で、本書では氏が制作した掌サイズから等身大まで100点を超える猫の彫刻を収録。
取材をもとにして細部まで忠実に再現した等身大サイズの作品は、まるで本物の猫のような存在感を放っています。
また、掌サイズの小さな彫刻では、布団を並べてみんなで仲良く寝ている「ねこの修学旅行」など、ユーモアたっぷりの愛らしい作品も登場。
はしもと氏が制作する猫の彫刻にはどの作品でもモデルが存在していて、その制作は本物の猫と向き合ってスケッチをすることから始まります。
対象となる猫の中には家庭で飼われている子もいますが、その半数以上は、福岡県の玄界灘に浮かぶ猫の島として有名な相島(あいのしま)で暮らす猫たち。
相島は島民が猫に干渉しすぎないため生き生きと自然な表情を見せてくれるという理由から、2014年以来、島に通って数多くの猫たちを取材。
その様子はNHKの人気動物番組「ダーウィンが来た! 〜生きもの新伝説〜」で昨年11月、2週連続で放送された「ネコ大特集」でも取り上げられ、相島を訪れて猫のスケッチを行いアトリエに帰って彫り出す様子が放送されました。
本書には、そんな著者がスケッチした猫の絵も30点以上収録。その表情やタッチからは猫の重さや手触り、現場の空気など、目に見えない要素すら捉えようという意志が伝わってくるかのようです。
猫の彫刻やスケッチには著者自身が手書きした猫の名前も添えられており、ショートエッセイと相まってモデルになった猫への想いや愛情が伝わってくる、そんな一冊となっています。
書名:はしもとみお 猫を彫る
仕様:A5横/96ページオール4色
出版:辰巳出版
発売:2018年11月24日
また、東京都豊島区にある「ジュンク堂書店 池袋本店」の9階壁面では、本書の刊行を記念したパネル展も開催されています。
参考:岩合さんも登場、NHKのダーウィンが来た! 2週連続でネコを大特集
(C) TATSUMI PUBLISHING CO.,LTD