猫たちが夕方になるとヘリポートを占拠する…その意外な理由とは?日本有数の猫島、田代島にはこの時期見られる珍しい風物詩があった
日本全国にいくつかある猫島。猫島は海で隔絶された環境に人口を超えるほどの猫が暮らしていることから、都心や街中などでは見かけない光景に遭遇することがあります。
宮城県の石巻湾に浮かぶ田代島もそんな猫島のひとつ。そこで今の時期くらいから夕方頃に見られるのが、ヘリポートでゴロゴロしている猫ちゃんたちの姿です。
ここは同島中央部の草木が生い茂る自然の中にぽっかりと広がるヘリポート。
その上には10匹以上の猫たちが互いに適度な距離を保ちながらのんびりと過ごしていますが、ヘリコプターが使用するはずの場所を猫たちが我が物顔で占拠している様子は、猫島ならではの微笑ましい光景と言えそうです。
ヘリポートでくつろいでいるのは、島内にある施設『島のえき』の人々がお世話をしている猫ちゃんたち。
『島のえき』は元々、田代島の小中学校が建っていた跡地で、猫が祀られた『猫神社』から200mくらいの場所に位置する観光客向けの休憩所。
店内は飲食ができる休憩スペースと猫グッズを中心とした物販スペースがあるほか、周辺には同所がお世話をしている約60匹の猫ちゃんたちが自由気ままに過ごしていて、島を訪れた人々に可愛がられています。
ヘリポートにいた猫はその一部ですが、集まり具合からすると、猫たちの間では人気なスポットのよう。写真を撮影した『島のえき』運営者の方に話を聞いてみると、初めてこの光景を見た時は可愛らしさやほのぼのした雰囲気を感じると同時に、「なぜ?」という疑問も湧いてきたと言います。
確かにヘリポートの周囲は開けていて、休憩するスペースは他にもたくさんありそうです。猫ちゃんたちは何故この場所に集中しているのでしょうか。
実はこの時期、田代島の最低気温は20度を下回ることも多いため、夕方近くになると肌寒くなってくるのだそうですが、「ヘリポートは昼に日光で温められたアスファルトが快適なので集まってくるのではないか」とのこと。そのため、夕方が涼しくなってくる秋から春(9月〜5月くらい)にかけて見られる風物詩でもあるのだとか。
今年の夏は長いですね〜
でもようやく夕方涼しくなってヘリポートでゴロゴロしている猫ちゃんたちが見られるようになりました。
私が最も好きな光景のひとつです。#田代島 #猫島 #島のえき
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I feel that this year, the hot summer period has been lasting for a long time.
In the… pic.twitter.com/bazeBtIBbi
— 田代島島のえき@くらしごと (@shimanoekikrsgt) September 18, 2023
とは言え、ヘリポートは本来ヘリコプターが離着陸する場所。そんな所で猫ちゃんが寝ていても大丈夫なのか心配になりますが、ここにヘリコプターがやってくるのは自衛隊の訓練がある時で年に数回程度、その時は猫たちも高速で逃げていくため危険が及ぶようなことはないのだそうです。
そんな田代島で暮らす猫ちゃんたちの情報を日々発信している『島のえき』運営者さん。
来島者に伝えたいことについて聞いてみると、「元々は島民と島猫が暮らしの中で共存してきた田代島。いつのまにか観光先として人気になっていた田代島も少子高齢化が進み、今となっては島を訪れていただける観光の方々は、猫島を一緒に支える大切なパートナーです。マナーやお互いの立場を尊重しながら、ただただ猫ちゃんたちに癒されに来ていただけると嬉しいです。」とコメント。
公式HPには「猫に勝手に餌を与えない」「猫じゃらしを使用しない」「マタタビを使用しない」などの注意点が公開されているので、島を訪れる際は事前に目を通しておくと良さそうです。
また、10月からは石巻市かわまち交流センターにて『ねこ写真展 田代島猫散歩』が開催。
沖昌之さんら10人の猫カメラマンによる写真展で、田代島にある『島のえき』でお世話している猫たちの写真が名前入りで個別展示される予定となっています。