看板猫ってどんな気持ち…?猫の視点で物語が展開していくフォトブック「看板にゃん猫」(こ)
お店に人を引き寄せながら、訪れた人々をも癒やしてくれる、人と人をつなぐ「看板猫」。
今ではメディアに取り上げられたりSNSで話題になったりと、看板猫を見かけることも珍しいことではなくなってきましたが、外見的な可愛らしさやお客さんを惹き付ける魅力だけが取り上げられがちで、猫とお店の間にどんな物語があるのか?については意外と語られることがありません。
しかし、看板猫に限らず、猫が人と暮らし始めるには、出会いやきっかけがあるもの。そして何気ない日常の中には、お店の外からではなかなか見えづらい身近な人々との時間が流れています。
本書はそんな看板猫たちが抱いているお店への想いや、「愛する人」との繋がりについて思いを巡らせ、猫の視点で綴ったフォト・ブックです。
収録されているのは14のストーリー。
その舞台のひとつが、東京都台東区にある浅草演芸ホール。
ここは萩本欽一やビートたけしら著名な芸人を輩出した寄席として知られていますが、ホール内にはジロリという看板猫が暮らしており、本文ではお店の人との関係性や日常が猫による一人称の視点で語られていきます。
僕の名前はジロリ。このホールで暮らしている。看板猫の仕事もしている。テケツ(チケット売り場)が主な仕事場だ。
お客さんが集まりはじめた。まさえさんが僕の横に腰かけ、チケットを手際よく捌いていく。
まさえさんは、ここのスタッフで僕の世話係で、相棒。僕をここに連れてきた当人でもある。「ジロリー。久しぶりじゃねぇか。元気かい?」
常連さんが声をかけてくる。
「久しぶりですー このとおり元気ですよ!」
人間語を話せない僕のかわりに、まさえさんが答えてくれる。彼女は僕の通訳でもあるんだ。
「ころころと太ってもう。眼福だなあ」僕を見る常連さんの目尻が下がる。
この他にも、アンティークを生かした和カフェ、江戸時代の土蔵を改修したギャラリー、手作り感のあふれる隠れ家的なカフェなど、さまざまなお店の実在する看板猫をモデルに物語が展開。
そのストーリーは「ぽかぽかした幸せをくれる猫」「生きる希望を与える猫」「人と人をつなぐ猫」「震災からの復興を手伝う猫」といった具合に一匹ずつ異なりますが、すべてのエピソードは幸福へと続いている心温まる内容となっています。
Chapter1 虹のむこうから君へ
・ぼく、看板猫になる!
・親分と呼ばれた猫
・ナンバーワンホストだったオレ
・猫一同からユキさんへの手紙
・「糟糠の猫」ナドさん
Chapter2 いつもとなりにいる君へ
・天国からの素敵なおくりもの
・新橋の夜、てまりに集う猫と大人たち
・なるとくんと店長の幸せな1日
・復興猫として生きる
・あたたかな混沌を寝床に
Chapter3 これからもずっと一緒の君へ
・今日も笑っていきませんか
・コトコトタイムとぼくの大発見!
・仲のいい家族が起こした奇跡
・女子力猫、むーちゃんとマスター
逸見チエコ:ライター・イラストレーター・漫画家。
『メロディ』(白泉社)にてデビュー。主な著書に『猫カフェめぐり~あの猫に会いにでかけよう~』(エンターブレイン)、『まちの看板ねこ』(宝島社)などがある。横幅の広い顔の猫がタイプ。趣味はひとりで喫茶店巡りをすることと映画鑑賞。
なお、10月22日からは本書の出版を記念した写真展が東京・下北沢にあるカフェで開催される予定となっています。
<写真展概要>
期間:2019年10月22日(火)〜30日(水)
店名:CAFE ZINC
定休:木曜
住所:東京都世田谷区北沢2-22-13
※2019年11月8日追記
本書の【朗読とうた】イベントが表紙を飾る看板猫・錫之介くんがいるギャラリー・エフで11月24日(日)に開催されます。
名称:『月夜の森 2019』朗読とうた「猫物語とうた」
演者:九里みほ
日程:2019年11月24日(日)
時間:14:00/18:00
料金:前売2,500円/当日2,800円/+1ドリンク500円
※予約定員制。申し込みは店頭またはメール(mail@gallery-ef.com)まで公演名・開演時間・枚数・氏名・電話番号(携帯番号)記入のうえ送信。
入場|前売り 2,500円(当日 2,800円)+1ドリンク500円
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