常連客が思わず撫でてしまう青果店の人気看板猫「めいちゃん」はなぜ愛されるのか?80回も通って撮影した写真家が語るその魅力とは

お店に訪れた人の心をふっと癒やしてくれる看板猫。

その魅力は猫の個性や性格などによってさまざまですが、横浜市旭区の鶴ヶ峰駅前にある『喜久屋青果店』では、1匹の茶白猫が地元の人々から親しまれています。

愛され猫の「めいちゃん」

値札の付いたカゴや発泡スチロール箱の中に、色とりどりの野菜や果物が陳列された、昔ながらの雰囲気が漂うこちらの青果店。タオルが敷かれた空き箱の中に、どっしりと座ってくつろいでいるのが、看板猫のめいちゃんです。

お店は商店街に面しているため人目につきやすく、警戒心の強い猫だったら一目散に逃げ出してしまいそうな場所ですが、人見知りをしないめいちゃんにとっては、色んな人と触れ合えるお気に入りのスポット。写真には興味津々でめいちゃんの体を撫でる女の子と、訝しげな表情をしながらも受け入れるめいちゃん、その様子を優しげな眼差しで見守るお店の人が写っていて、見ていてほっこり癒やされる1枚です。

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この微笑ましい光景を撮影したのは写真家のYokohamaCatsさん。と言っても、たまたまお店を通りかかって偶然撮影できた…という訳ではなく、これまでめいちゃんを撮影するために80回くらいも同店を訪れているのだそうで、通常は1~2時間ほど滞在して撮影を行っているものの、夢中になると一日中撮影している時もあると言います。

世の中にはたくさんの看板猫がいますが、これほどまでに通って撮影するのは、めいちゃんならではの魅力があるはず。一体どんなところに惹かれて写真を撮り続けているのでしょうか。

ご本人に聞いてみると「いつもお会計場所でだらだらと寝ていたり、野菜と一緒に並べられたりして、見ているだけでつい笑顔になってしまうところでしょうか。お客さんからはひっきりなしに触られていますが、決して怒らず穏やかで看板猫の職務を全うしています。」と、その仕事っぷりに着目したうえで、「大好きなオーナーのお父さんに話しかけるときの声は、本当に可愛らしく表情がとても豊かで、時には人間のような感じがすることもあり撮影していて飽きません。」と、長年見続けてきたからこそ分かる、めいちゃんの知られざる魅力について語ってくれました。

棚の上にはジャンプで移動するニャ

一方、めいちゃんの存在感については「人を幸せにしてくれる猫」だと感じているというYokohamaCatsさん。

同店の常連さんたちと話していると、通勤時にめいちゃんに会えた日は一日幸せだと感じる人もいるのだそうで、まさに幸せを呼ぶ猫。

その評判は様々なメディアを通して広がっており、北海道や九州、さらには海外から会いに来る人もいて、「めいちゃんパワーには本当に驚かされます。」とその人気ぶりを実感。お客さんがお店の人と笑顔でめいちゃんの話をしながら野菜を買っていく光景は一日中絶えることがなく、過去の撮影経験を振り返っても、こんなに明るくて楽しいお店は少ないと感じると言います。

常連客から可愛がられる「めいちゃん」

そんなYokohamaCatsさん。もともと写真に興味があった訳ではないそうで、ある時、家にあった使われていない古いコンデジで近所の人懐っこい野良猫をなにげなく撮ってみたところ、意外にうまく撮れて面白く感じたことから日常的に写真の撮影を開始。その後、半年くらいはコンデジで撮影していたものの画質が悪く、「もっと綺麗な写真が撮りたい」と一念発起して、一眼レフカメラを購入したのが今から約6年前のこと。

一方、看板猫を撮り始めたのは、横浜にある『喫茶TAKEYA』というお店がきっかけ。レトロな雰囲気が漂う同店は2匹の姉妹猫がいる老舗の喫茶店で、YokohamaCatsさんにとっては初めて看板猫を撮影したお店。何回か通っているうちに常連さんたちと親しくなり、その中のひとりから「猫のいるお店」として教えてもらった場所の一つが、めいちゃんのいる『喜久屋青果店』なのだとか。

そして、これまでに看板猫を撮影したお店は20軒以上。看板猫を撮り続けている理由について聞いてみると、「もっと良い写真を撮りたいという気持ちもありますが、私の写真を見てこのお店行きたいとか、行ってきましたと聞くことがとても嬉しいですし、お店の方にも喜ばれ本当に幸せな気分になれるからかもしれません。飽きっぽい私にしてはずっと続いています。」と、看板猫の写真を通じてお店に関わる人々から寄せられる反響が大きなモチベーションになっていることを明かしてくれました。

お店の外でまったりすることも

今では誰もがスマホで手軽に写真を撮影できる時代。しかし、看板猫はお店が飼っている猫なので、野良猫のように無断でパシャパシャ撮影していると軋轢が生じることもありそうです。

そこで、看板猫を撮る時に気をつけていることについてYokohamaCatsさんに聞いてみると、「お店の人に撮影や写真の用途について許可を取る」「お店の営業の邪魔にならないよう注意する」「お客さんはできるだけ写さないよう配慮してどうしても必要な場合はお客さんに承諾を得る」など、お店やお客さんの立場に立って考えながら撮影するようにしているとのこと。

そして、うまく撮れた写真は後日訪れてお店の人に渡ししたり、お店の近くに行った際は撮影をしなくてもできるだけ顔を出して話をするなど、お店の人とのコミュニケーションを大切にしていると言います。

お店の人に許可をもらったら、次に気になるのは、どうやったら看板猫を上手に撮影できるのかということ。

その点についても聞いてみると「カメラを猫目線か目線以下にして撮ること」によって写真に迫力が出るのだそうで、スマホを使って撮影する場合は上下逆さまにして、レンズ部分を低い位置に構えるだけで普段とは違った写真が撮れそう。

また、猫だけを意識するのではなく、背景にも気を遣ってその場の雰囲気が伝わるようにすることのメリットも強調。喜久屋青果店の場合はお店の人の服装をはじめ、野菜の名前や値札によって季節感・時勢を表現することができるため、めいちゃんの姿と一緒に写真に収めるようにしているのだそうです。

今回、看板猫についてたくさん語ってくれた写真家のYokohamaCatsさん。日頃はYokohamaCatsというアカウント名でInstagramやX、ThreadsなどのSNSに看板猫を中心とした写真を公開中。

昭文社から発行されている『にゃっぷる 特任編集長は旅猫ニャン吉!』の誌面では横浜の猫散歩コーナーを担当し、喜久屋青果店のめいちゃんも登場しているほか、9月20日から都内で開催される『品川キヤノンオープンギャラリーねこ写真展』には、YokohamaCatsさんも参加することが決定済み。会場ではたくさんの猫写真作品を間近で観賞することができます。

<写真展 概要>
名称:品川キヤノンオープンギャラリーねこ写真展2023
~今を生きる猫たちのキオク・キロク~
期間:2023年9月20日(水)~10月26日(木)
時間:10:00~17:30
休館:日曜・祝休館
入場:無料
会場:キヤノンオープンギャラリー2
住所:東京都港区港南2-16-6 キヤノン Sタワー 2F

取材協力:YokohamaCats(@yokohamacats)さん

<参考>
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