カメラを向けると「ヤレヤレ…」と呆れ顔をする猫ちゃん、その冷めた反応を飼い主さんが嬉しく感じてしまう意外な理由とは?

猫は可愛らしい容姿や仕草をしているため、見かけるとついついカメラを向けて写真を撮ってしまいたくなる動物。

そうした人間の気持ちを知ってか知らずか 、猫の多くは淡々と撮影に応じてくれますが、中には写真を撮られるのが苦手な子も存在します。キジシロ柄のてんちゃんも、そんな猫のひとり。

キジシロ猫のてんちゃん
てんちゃん(写真提供:飼い主さん)

顔を見るとおっとりとした優しそうな表情をしていて、何でも受け入れてくれそうな雰囲気をまとっていますが、カメラを向けるとあからさまに嫌そうな顔をするというのです。そんな瞬間を捉えた写真がこちら。

カメラが嫌いなため呆れ顔で目をそらす猫
はぁ…(また写真ですか)

顔は正面を向いているけれど、目線だけプイッと横に動かしたようなこの表情。その目は何か興味のあるものを見つけたから横を見ているのではなく、あきれ果てて視線を外したかのような冷淡さが入り混じっていて、先ほどのカワイイ顔とは打って変わった呆れ顔。

今にも「ヤレヤレ」と言った声が聞こえてきそうな表情で、愛猫のカワイイ顔を撮ろうとしてこんな顔をされてしまったら心が折れてしまいそうです。

しかし、てんちゃんのお家ではよく見られる光景で、飼い主さんによると「スマホを持つだけで察して面倒臭そうに顔を背けるコなので難儀しております(笑)」と、以前は写真を撮るのも一苦労だった様子。

それでも最近は少し慣れてきたのか、それとも大人になったのか、はたまた諦めたのか、わりと撮らせてくれるようになってきたと言います。

このてんちゃんのイヤそうな表情を撮影したのは、飼い主さんの妹さん。スマホカメラの背景をぼかす機能を試してみたいと、まったりしていたてんちゃんにお願いして撮らせてもらうことに。

写真を撮っている時は「またそんなイヤそうな顔してぇ〜」くらいに思って眺めていたそうですが、実際に撮れた写真を見たら想像以上にイヤそうな表情だったことから、「そこまでイヤ?」と二人で思わず笑ってしまったと言います。反対にカメラを向けられていた側のてんちゃんの心境については「またニャ、なにがたのしいんニャ。」と、理解できない人間の行為に困惑している声を代弁してくれました。

この後、写真が撮り終わるとてんちゃんは「やっと終わったか」という感じで溜め息をつき、居住まいを正して元のリラックスモードに戻ることができたようです。

飼い主さんの方も、てんちゃんがカメラ嫌いなことには配慮しているようで、撮影する時は「ゴメンね、ちょっとだけ撮らせて?」と声をかけながら、速やかに撮りきってしまうのがマナー。そのため、てんちゃんは呆れ顔をしているものの、その場から逃げ出したりイヤそうにして怒るといった態度を取ることはまずないのだそうで、猫と人間が快適に暮らしていくためには心配りが欠かせないことを示す好例と言えそうです。

それにしてもこの猫ちゃんは、何故そこまで写真を撮られるのが嫌いなのでしょうか。

きょとんとした顔のキジシロ猫てんちゃん
イヤそうじゃない時はラッキーにゃ

飼い主さん聞いてみても「カメラが嫌いなのか、変なテンションのアホな飼い主がイヤなのかは分かりません(笑)」と、一緒に暮らしていてもこれといった理由に心当たりがない模様。

一方で「シャッターチャンスと思ってスマホに手をやったり、カメラアプリを起動するだけで、その時していたポーズを止めてしまったり、ため息ついて顔を背けたりします。」と、予備動作だけで写真を撮られることを察知してしまう鋭さに着目。子供の頃に飼っていた猫はカメラの前でポーズを取るのが好きな子だったことから、よりギャップを感じたと言います。

それでも、お願いしてみると「仕方ないなー」といった感じで渋々撮らせてくれることから、てんちゃんの顔を立ててなだめながら写真を撮るようにしているのだそう。

飼い主さんがてんちゃんと巡り合ったのは、猫が飼える今のお家に引っ越してきた時、偶然にも友人から「飼わない?」と猫の写真が送られてきた事がきっかけ。その後、トントン拍子で話が進み、あれよあれよという間に家族として迎え入れることに。

寝起きで虚無な表情をするキジシロ猫のてんちゃん
寝起きの虚無なてんちゃん

しかし、いざお家にやってくると、飼い主さん家族が知っている猫の印象とはだいぶ違っていて、少し戸惑ったと言います。というのも、てんちゃんは「猫っぽくない猫」だったのだそう。

「運動神経が鈍く高い所には登らない、むしろちょっと苦手、箱もちゅーるもそんなに好きではない。穏やかでのんびりしていてイタズラもほぼしなくて。逆にこのコは本当に大丈夫なのかと少し心配になって病院の先生に聞いたりしましたが、特に何も問題ありませんでした。大きくなった今でも、イヤなことはイヤだとちゃんと意思表示はするものの、穏やかでシャーとかフーとか言ってるのを聞いたことがありません。」

その穏やかぶりは、猫が嫌がりがちな爪切りや耳掃除なども抵抗せずに、身を任せてくれるほど。しかし、そのような無表情に過ごしている時間が多いからこそ、カメラを向けた時に垣間見える感情が嬉しく感じるのだそうで、飼い主さんにとって愛猫を撮影する行為は心を通わすコミュニケーションのひとつになっているようです。

そんな飼い主さんは自身のSNSで、てんちゃんの何気ない日常を公開中。写真や動画などに残せそうにないエピソードは漫画で描かれていて、猫ちゃんとの心温まるやり取りを眺めているとほっこりさせられます。

キジシロ猫てんちゃんのエピソードを描いた漫画
漫画のサンプルイメージ

今回、インタビューに応じてくれたのはXユーザーのたれこ(@T_Tareko)さん。

最後に愛猫への思いについて聞いてみると「てんちゃんが我が家にやって来て、明らかに家の中が穏やかで明るくなりました。睡眠不足になるとか、まさかの猫奪い合いヤキモチ戦争勃発とか(笑)いい大人が大変な事もありますが、生きていて諸々のストレスはもう猫無しでは解消できないと思っています。」と、かけがえのない家族の一員であることを愛情たっぷりに語ってくれました。

取材協力:たれこ(@T_Tareko)さん

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