長年、見習いだった猫がいよいよ住職に!?比叡山のふもとにある寺院型テーマパーク『猫猫寺』で暮らすキジトラ猫の魅力に迫る
日本には猫に由来のある寺社がいくつかありますが、京都・比叡山のふもとには「猫猫寺(にゃんにゃんじ)」という、猫をご本尊とした世界初の寺院型ミュージアムがあります。
猫猫寺の正式名称は「招喜猫宗 総本山 猫猫寺」で、全国の神社仏閣で文化財の修復に携わってきた絵師の加悦徹(かや とおる)氏と、その家族が運営する猫好きのための施設。
築100年以上の古民家をリノベーションして作り上げられた館内では、御本尊の「大日猫来(だいにちにゃらい)」が安置されている本堂や、息子で猫作家の雅乃(みやの)さんによる絵画作品が展示されているアートギャラリーを見学できるほか、猫をモチーフにした手作り雑貨のお店があったり、羊毛フェルト作家である妻の順子(じゅんこ)さんによる教室も行われています。
そんな猫猫寺には3匹の見習い猫が住んでいて、その中の1匹が小夏ちゃんというキジトラ猫。
見習いと言っても猫は気分屋さんなので、気が向いたら本堂やお客さんがいるスペースを散歩して、オヤツをもらったらそそくさと帰る…と言った自由な感じのお勤め(お仕事)スタイルです。
「寺」がつく施設で見習いをしているだけあって衣装は本格的。
人間の住職さんが着ている袈裟+法衣を、猫ちゃんが着やすいようにアレンジしたものを着用していて、その姿はまるでお寺の住職さんのように、ゆったりとした包み込むような雰囲気を醸し出しています。
実はこの小夏ちゃん。これまではずっと見習いだったそうですが、長年の努力が実ったのか、近々、猫住職に就任できそうなのだとか。お勤めのスタンスはこれまでとあまり変わらず、住職の格好をしていたり袈裟だけ身につけていたりと、その日の気分によって衣装は異なるそうです。
今では猫住職になれそうなほど経験豊富な小夏ちゃんですが、もともとは、子猫の時に道で発見されたのが出会いのきっかけ。
発見当時は車に当たった様子で足を引きずっていて、左目の様子もおかしかったことから保護して家族の一員として迎え入れることに。その後、足は治って普通に歩けるようになったものの、左目は今でも見えないまま。それでも、お部屋の中で生活する分には右目だけで何の不自由もないと言います。
猫のアートを鑑賞しつつ猫に会えるかもしれない『猫猫寺』。なぜこのような施設を作ろうと思ったのか。『猫猫寺』の加悦順子さんによると、そこには自由気ままな猫の生き方を見て、疑問に思い、気付かされたことがありました。
それは「自由に生きていて、特に人間に媚を売ることもしないのに、何でこんなに可愛いのか?何でこんなに愛されるのか?」「怒っていても寝ていても全ての仕草が可愛いくてたまらない。でも、これは人間も実はそうなのではないのか?」ということ。
そして「人間も猫のように、自由に好きな事で喜んでもらって、愛してもらえるのではないか?」との思いから、そのようなお店をつくろうと『猫猫寺』をオープン。実際、加悦さんの家族は全員、猫アーティストとして各々が自由に活動を行い、猫のような生き方を体現しています。
そんな猫らしさを追求して誕生した『猫猫寺』の見どころについて聞いてみると、「猫が大好きなアーティスト一家が、本気で遊んで、本気で楽しんで産み出した猫アートを、全世界の猫好きな人々に観て頂きたい。そして、たまには猫のように自由にゆっくり、のんびり過ごして下さい。」と、ネコ好きな人なら一度は訪れてみたくなるようなコメントを寄せてくれました。
取材協力:猫猫寺 開運ミュージアム(@NYANNYANJI)さん
<参考>
・廃校の階段を歩いていると…猫が追いかけてきた→90年前に建てられたレトロな木造校舎で暮らしている校長猫さんだった
・住職やおかみの言葉と、猫たちの写真に癒やされる!那須の長楽寺から新刊『6匹の猫と住職』が登場