写真家・吉田裕吏洋さんが撮影、北海道のネコに密着した書籍「ゆきねこ&かべねこ」2冊同時に発売
北海道の厳しい環境のなかで、目立たぬようにひっそりと肩を寄せ合い、しなやかに生きている猫たちの写真集「ゆきねこ」と「かべねこ」が7月12日に2冊同時に発売されます。
本書は北海道を拠点に記録保存系のカメラマンとして活動する傍ら、札幌の街や夜景、外で暮らしている猫たちの撮影をライフワークとしている写真家・吉田裕吏洋(よしだ ゆりひろ)さんによる写真集です。
ゆきねこ
「ゆきねこ」は、とある港町、坂の町、山間の町中に、いつの間にか紛れ込んでいる猫たちの冬の日常を紹介する写真集で、寒さの中、垣間見える猫同士のふれあいや、厳しい冬を乗り越え春の足音に表情がゆるむ猫たちの姿が捉えられています。
冬の猫達はどうしているのか?
そんな素朴な疑問から始まったという「ゆきねこ」の撮影。
どこかに隠れて、寒さに震えながら耐えている姿を想像していた吉田さんの目に映ったのは、他の季節と変わらず過ごす猫たちの姿。体力を温存するためにほかの季節と比べて活発に動くことは少ないものの、オス猫はいつもの時間にパトロールに出掛け、仔猫はじゃれ合って遊んでいて、あまりにいつも通り過ぎて拍子抜けするくらいだったのだとか。
この写真集には、そんな「ゆきねこ」の日常が綴られています。
しかし自然な日常の姿を撮るためには、猫たちにとって吉田さんが空気のような存在になる必要があったのだそうで、全ての空き時間を「ゆきねこ」の撮影にあててロケ地へ通い詰めることに。そうして撮影された「ゆきねこ」のとても自然な姿の日常が収録されています。
この「ゆきねこ」は今年、東京の「フランス菓子エリティエ」にて、札幌では「カメラの川田 Gallery K」や「富士フイルムフォトサロン札幌」にてそれぞれ写真展が行われましたが、今回発売される写真集は更なる進化を遂げた「ゆきねこ」となっており、写真展に訪れた人も楽しめる内容となっています。
かべねこ
一方の「かべねこ」は、壁際に寄り添っている猫たちを、昭和を思わせる懐かしい背景と共に切り取りとった写真集で、さまざまな壁や塀、消えゆく街の風景に溶け込む猫の姿が印象的な作品の数々が収められています。
隙間が好き、端っこが好き、箱が好き、囲まれるのが好きな猫たちは「壁」も大好き。
街中で体をこすりつけてマーキングをする猫の姿を見かけることもありますが、北海道では日光の輻射熱で暖かいからなのか、風よけになるからなのか、はたまた壁に寄り添うことで安心するのか、肌寒い日には壁際に猫が集まる光景も見られるといいます。
なぜ「猫と壁」を組み合わせた写真を撮ろうと思ったのかご本人に伺ってみたところ、もともと風景写真を撮っていた吉田さんにとっては、猫の写真を撮影すると自然に「猫のいる風景写真」になるのだそうで、その流れで「かべねこ」を撮るようになっていったのだとか。
また、吉田さんが猫の写真を撮っている街は、まだ昭和の建物が多く残っており、懐かしい雰囲気と猫の組み合わせにとても魅力を感じたのもその一因。壁と猫、それを平面で切り取る構図に独特の面白味があるといいます。
そんな「かべねこ」の写真には、北海道の街に暮らす猫を撮ることで、街の姿も断片的に記録できればとの思いも込められています。
著者の吉田裕吏洋さんは、7月11日から始まる史上最大規模の猫写真展「横浜赤レンガ倉庫 ねこ写真展2018」にも出展。
新進気鋭のアマチュア猫写真家から海外の写真作家まで、プロアマ問わず総勢40名近くの出展者が独自の視点で捉えた約500点もの猫写真作品が横浜赤レンガ倉庫の広大なスペースに展示されるグループ展で、吉田さんのブースでは今年の1月に開催した個展「ゆきねこ」の中から厳選した11点を展示する予定となっています。
来場記念のポストカードも無料配布される予定となっていますので、興味のある方は足を運んでみては。