猫はどのようにして幸せになったのか、心温まる17の実話エピソードを収録した書籍「猫との約束」
縁があって人間と暮らすことになった保護猫たちには、その生活に行き着くまでにそれぞれ違ったドラマがあり、飼い主さんとの間にもそれぞれ違った幸せの形があります。
そんな猫と人間の間にあるドラマを17の実話とともにつづったのが、9月に刊行された「猫との約束」という書籍。
本書は人物ドキュメントや旅エッセイなどの記事を執筆している、ライターで写真家の佐竹茉莉子(さたけ まりこ)さんが取材を元に書き下ろした実話集で、雨の車道で出会った子猫や、人に心許さずさまよっていた猫、保護主恋しさに譲渡先でハンストを続けた猫、絶望に打ちひしがれている時に光をくれた猫、病気やハンデと共に穏やかに生きる猫、長年連れ添ったいとしい老猫など、17の猫エピソードを収録。
本記事ではその一部を紹介します。
4話:ポニョへ
散歩の途中、いつもは足を止めない場所で、ジオはなぜか足を止めた。翌日も同じ場所で、またジオはパタと足を止めた。ジオの目の先を追うと、道ばたの草に隠れるように、ガリガリボロボロの子猫がいた。自分が見つけた子猫ポニョを、ジオは舐めたり、添い寝したり、転げ合って遊んだり、片時も離れず溺愛して育てた。
14話:ナッツへ
「こんな子がいるよ」そう言って、夫がスマホの画面を奈保子さんの目の前に差し出した。そこには、たっぷりとした、あまりにもたっぷりとした顔幅の茶トラ猫が、ちょっとよるべなさそうな目で見上げていた。まあ、なんて大きな顔。なんて可愛いの。
17話:ねぎへ
11月の寒い夕べ。いっとくさんが夕食の用意をしていたら、あの猫が外からのぞいている。戸を開けて「おまえもいっしょに鍋でも食うか」と言うと、スッと入ってきた。鶏肉をやると、前脚で転がして冷ましてから食べた。食後、畳の上でゴロンとしていたいっとくさんの胸に、猫は乗っかってきて香箱を組んだ。もうずっと前からこの家にいたみたいに。
帯には人気猫マンガ『夜廻り猫』の作者・深谷かほるさんによる「この世には素敵な人も素敵な猫もいるのだと教えてくれる本なのです」とのコメントが記載されているほか、深谷さんと著者の直筆絵ハガキによる往復書簡も全4便収録。
これから猫と暮らしたいと思っている人にとっては、猫を迎え入れる覚悟と責任について考える道しるべに。既に猫と暮らしている人にとっては、愛猫が居てくれるだけで幸せなことを実感しもらい、改めて「猫と人との共生」について考えるきっかけになってくれたら……との願いが込められた一冊となっています。
<参考>
・運命の猫との出逢いや別れも加筆、猫沢エミのエッセイ『猫と生きる。』が復刊&トークイベントも
・猫はどのように愛され動物になったのか?日本の歴史で紐解く書籍『猫が歩いた近現代』
・YouTubeの登録者数が100万人を突破!人気猫のもちまる(もち様)の1st写真集が登場
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