冬の北海道で必死に生きる野良猫たちの命を描いた物語「ねこたちのゆきあかり」
北海道に生きる野良猫たちの姿を描いた絵本作品「ねこたちのゆきあかり」が5月26日に刊行されています。
本書は冬の北海道という過酷な環境で暮らす野良猫たちを、写真と猫の内なる声で表現した書籍で、仲間を失いながらも必死に生きる猫の姿が描かれています。
<あらすじ>
それはとある町、ひっそりと行われた雪灯り、今まさに消えようとしている猫たちか見た光、猫たちの命の灯火の物語
著者は北海道在住の動物写真家 MANABUさん。野良猫を取り巻く環境の問題意識から本書を出版するに至ったといいます。
一般的に家の中で飼われている猫の平均寿命は15年ほどであるのに対して野良猫はわずか2〜3年で、特に子猫は寒さに弱いため冬を越せずに死んでしまうことがとても多く、交通事故にも遭遇しやすい過酷な環境下で生活。
また、家の中の猫と違っていつでもご飯が食べられるわけではなく、カエルやヘビなどの爬虫類、ウサギや野ネズミなどの小さな哺乳類、小鳥、昆虫、ザリガニなどの甲殻類を食べて飢えを凌いでおり、必要な栄養をきちんと摂取することが難しいほか、そうした獲物はもちろん新鮮な水さえ確保することが容易ではありません。
著者のMANABUさんによると、栄養が足りずに体が弱っているため病気にもかかりやすく、仮に病気や怪我をしてしまっても動物病院に連れていってもらうことができないため、かすり傷一つであったとしても命を落とす恐れがあり、手当を受けていれば助かったかもしれない野良猫を数多く見てきたといいいます。
そんな現状に対して動物写真家として何かできることはないだろうか、1匹でも多くの猫たちが生きて幸せになる手助けをしたい、彼等の生き方に寄り添った支援が出来たら…との思いから書籍の出版を企画。
著者が受け取る印税の50%は、札幌市動物管理センターからのレスキュー活動を行っている非営利型一般社団法人「ねこたまご」、および同団体が運営する「ねこたまご+cafe」に寄付する契約が交わされているのだとか。
2019年の今年は6月に、犬猫のマイクロチップ装着義務化や動物虐待の罰則強化などを盛り込んだ改正動物愛護法が可決成立するなど、動物を取り巻く環境は少しずつ改善されつつありますが、未だ犬猫の殺処分は無くなっておらず、北海道に生きる野良猫たちの環境もまだまだ厳しい状態にある現在。
本書には、そんな北海道の野良猫たちが置かれている状況を1人でも多くの人に知ってもらい、猫たちへの支援について考えてほしいとの思いが込められています。
書名:ねこたちのゆきあかり
著者:MANABU
出版:石田製本株式会社
発売:2019年5月26日
参考:犬猫の販売業者らにマイクロチップの装着が義務化、飼い主も努力義務へ
情報提供:MANABU