犬猫の販売業者らにマイクロチップの装着が義務化、飼い主も努力義務へ

猫や犬にマイクロチップの装着を義務化する等の内容を盛り込んだ動物愛護法改正案が6月6日、衆議院本会議にて全会一致で可決されされました。

国会議事堂の外観イメージ

今回の動物愛護法改正案は、マイクロチップの装着を生体販売を行うペットショップや繁殖を行うブリーダーやなどに義務づけることや、生後56日に満たない犬や猫の販売を禁止することなどが主な柱となっています。

マイクロチップは直径2㎜、長さ約9~12㎜ほどの大きさで、内部に15桁の固有番号が記録されている電子標識器具。

獣医師に犬猫の体内へ注入してもらうと体外から専用リーダーをかざして番号を読み取れるようになるほか、動物ID普及推進会議(AIPO)のデータベースに飼い主の名前・住所・連絡先などのデータを登録しておくことで、災害や盗難、事故などにより愛猫・愛犬と離ればなれになってしまっても、保護した施設がマイクロチップの番号を読み取ってデータベースの情報と照合することで、飼い主のもとに戻ってくる可能性が高くなります。

猫のマイクロチップID登録用紙イメージ


 

従来はトラやタカなどの特定動物(危険な動物)や特定外来生物を飼育する場合には、マイクロチップの埋め込みが義務づけられていましたが、その他の動物は対象外で、飼い主の分からない犬猫の殺処分を減らす取り組みの一環として以前から環境省が義務化を目指していました。

今回の改正により動物取扱業者にはマイクロチップの装着が義務付けられるほか、すでに飼育している場合や新たに譲渡・保護したりする場合でも装着するように努力義務が課されることになります。

一方、犬猫の販売週齢規制については、2013年に施行された動物愛護法の改正において「出生後56日を経過しないものについて、販売のため又は販売の用に供するために引渡し又は展示をしてはならない」と定められていましたが、附則によって実質的に49日に読み替えられる状況が続いていました(7週齢規制)。

子猫のイメージ写真

しかし、生まれて早い段階で親や兄弟と引き離されてしまった猫や犬は、人間を噛むなどの問題を引き起こしたり病気になりやすい傾向があることから、今回の改正により附則を排し、本則の56日へと正式に切り替わることとなります(8週齢規制)。

その他にも動物虐待罪が厳罰化され、殺傷した場合の法定刑が現行の「2年以下の懲役(または200万円以下の罰金)」から、「5年以下の懲役(または500万円以下の罰金)」へと強化。
さらに虐待や遺棄も「1年以下の懲役」へと引き上げられました。

今後、同法案は参議院に送付され、来週中にも成立する見通しとなっています。

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