日本で古くから伝わる般若（はんにゃ）の面。

般若の面は日本の伝統芸能である「能（のう）」で用いられる仮面のひとつで、嫉妬と恨みを極限まで高めた女性を表現した怨霊の面。一般的には鬼のような恐ろしいイメージだけを持たれがちで、顔の下半分では大きく開けた口が怒りを表しているものの、上半分ではひそめた眉が深い悲しみを表していて、怒りと悲しみを抱えた女性の心の二面性を表現しているとされています。

人間にとっては仮面を被ることでしか、その二面性を表現することが難しい怨霊ですが、猫の中には顔ひとつで般若の面を表現できてしまう個体も存在します。それが「うおみ」ちゃんという黒猫の女の子。

写真に写った顔のパーツを良く見てみると、鋭い牙をむいた口元が激しい怒りを、キュッと眉をひそめたような目が悲しみを表現。

さらに額からはにょきっとした二本の長い角の代わりに、ぴょこんとした耳が飛び出していて、まさに「般若の面」の猫バージョンとも言える表情。不本意ながら鬼にならざるを得なかった雌猫の怒りや悲しみが感じられる1枚です。

この写真がTwitterに投稿されると、1,000件を超えるリツイートと4,000件の”いいね”を獲得。ツイートを見たユーザーからは「般若じゃんwww」「般若化した？」「般若やん」「般ニャン？」「魔除けになりそうな般若顔」など、般若の面を想起したメッセージがたくさん寄せられ、大きな反響を呼んでいます。

#猫変顔グランプリ pic.twitter.com/aceM5wdsJJ

— あおすな🐈‍⬛🐈🌸19海ではしゃぎたい大和と雪風 (@aosuna0522) July 18, 2023

とは言え、お家で飼われている猫ちゃんが怒りと悲しみを同時に抱えるのは、なかなか起こりそうにないシチュエーション。いったいどのような瞬間を撮影した写真なのでしょうか。

飼い主さんに聞いてみると、猫ちゃんがノートパソコンのキーボードに乗っていたところを撮影した1枚で、写真を撮ろうとしたら丁度あくびをし始め、その終わりかけの絶妙なタイミングをカメラが捉えていたのだとか。

その表情を見て奇跡的な変顔だったことから「思わず笑ってしまった」という飼い主さん。同時にやはり般若っぽいとも感じたそうで、「ちゅーるよこせー！の意思が般若面になったものかも知れません」と、猫ちゃんの気持ちを代弁してくれました。

その後の猫ちゃんは、Wordソフトを開いていたノートパソコンを踏みつけて、謎の文字の羅列を生成し終えると、怒りと悲しみが浄化されたのか、キーボードの上でスヤスヤ眠っていたと言います。

般若の面をリアルに表現した「うおみ」ちゃんは、自分のことを人間だと思っているような節があるという賢い女の子。

動物病院に行く時は猫キャリーにすんなり入ってくれたり、飼い主さんが帰宅すると玄関に出迎えてスリスリしてくれたりするお利口さんで、冬になると飼い主さんの膝の上でよく寝るのが好きなのだそう。

飼い主さんのお家にやってきたのは、生後1ヶ月にも満たない頃、近所の歩道で見かけて周りに親猫や兄弟猫がいなかったことから保護したのがきっかけ。当初はミルクを飲んでくれず、一時は生死をさまよう危険な状態に陥ったものの、点滴治療によって何とか回復し、家族の一員として迎え入れることに。

その2ヶ月後には「こよど」ちゃんという三毛猫も保護されて家族の仲間入りをし、今では時々2匹で追いかけっこをしたりしながら幸せな日常を過ごしていると言います。

そんな心優しい飼い主さんに猫を飼う魅力について聞いてみると「猫を飼っていると家の中が明るくなります。今日面白い顔をしていた、家に虫が入ってきて猫のテンションが上がっていた、びっくりして尻尾がぼわぼわになっていたとか、猫の話題で家族が盛り上がることが出来ます。」と、お家の中の雰囲気を変えてくれる存在であることを述懐。

また、自ら2匹の猫を保護して暮らしている経験から、「ペットショップの猫たちも可愛いですが、保護猫もとても可愛いです。もし猫を飼いたい方は、保護施設などから引き取る選択肢も考えて欲しいと思います。」と、保護猫と暮らすことの魅力についても語ってくれました。

取材協力：あおすな（@aosuna0522）さん

＜参考＞
・【まるでアインシュタイン】舌を出して振り向く猫の顔が衝撃的！公開された動画に「爆笑」「想像以上に出てた」と大反響
・【猫神家の一族】冷蔵庫の上からヌッと出ているのは猫の足→恐怖の事件…ではなく、お気に入りの場所で爆睡中の猫だった