日本で初めて廃校を活用した犬猫保護シェルター「ティアハイム小学校」保護猫の受け入れ開始へ
岡山県の中央・山間部にある旧中学校で、日本で初めて廃校を活用した犬猫の保護や飼養、譲渡などの事業を行うプロジェクト「ティアハイム小学校」がスタートしています。
近年は少子化による生徒数減少や市区町村合併などの影響により、毎年500校前後の廃校が発生し、その有効活用が求められているにもかかわらず、遊休施設となってしまっている校舎が多く存在。文部科学省によると、2018年の時点では全国に6,580校もの廃校があり、そのうち30%近くは用途が決まらないまま放置されているのだとか。
※文部科学省 平成30年度廃校施設等活用状況実態調査
一方、日本の学校は災害時の避難場所を想定して建物が頑丈に作られており、犬が運動できる広大なグラウンドも保有しているほか、廃校が発生する場所の多くは郊外で周辺への影響も限定的であることから、猫や犬を保護して育てるのに適した環境を備えています。
そんな廃校を活用して、行き場を失った犬猫が快適に過ごしながら新しい家族と出会える場所を作ろうと改装工事が進められているのが、犬猫保護シェルターの「ティアハイム小学校」。
鉄筋コンクリート造りで3階建ての旧校舎1Fには、エントランス・保護犬専用フロア・一般開放ルームなどが設けられ、2Fには540平方メートルもの広さを持った猫専用フロアを整備。
教室として使われていた部屋には木材で組んだ遊び場に箱や板を取り付け、猫たちが快適に過ごせるような空間設計となっているほか、廊下に出てしまったり別の部屋にいる猫との接触を回避できるよう各部屋には扉を設置。また、外の空気をたっぷり吸えるようにベランダには脱走防止網を設置して、窓を全開にしても猫が安全にゆったりと過ごせるように配慮されています。
3Fは老犬の介護スペースやデモ品の展示スペースとして活用され、5200平方メートルもあるグラウンドにはドッグランの設置も予定されています。
また、この施設では安定した運営を実現するため、無償のボランティアに依拠するのではなく原則的に有償スタッフでの運営を標榜。里親希望者への有償譲渡をはじめ、ペット業界の企業や地元企業とのサポーター契約、ドネーション型(支援)商品の企画開発などによって運営経費の捻出を見込んでいます。
医療面ではレントゲンや血液検査機器、手術台、集中治療室など、一般的な動物病院と変わらないレベルの設備を導入済み。
「命を救いたい」という獣医師の協力も得て、保護した犬猫の検査からワクチン接種、避妊・去勢手術まで施設内で完結できる環境をすでに整えていますが、将来的には専属獣医師の確保も目指しているとのこと。
プロジェクトの舞台となるのは、2013年に閉校した旧大和(やまと)中学校。
閉校の翌年には保護施設の運営を目的に立ち上げた「一般社団法人ティアハイム小学校」が同校の跡地利用に応募し、行政との協議・近隣住民への説明会・建築士との改築協議を重ねて、2018年には行政側から犬猫の保護施設として活用することを承認。
同年より改装工事が進められており、2019年6月中には行政を中心とした保護猫の受け入れを開始して、翌7月には第1回目の譲渡会が予定されています。
また、7月19日まではクラウドファンディングサイトのCAMPFIREにて本プロジェクトの支援者を募集中で、集まった資金は施設内の2階で整備中の「保護猫用スペース」を建設する費用の一部に充当。
同団体によると、今後は廃校を活用した保護事業として社会全体で安定的に運営できるモデルケースを目指していくとしています。
<所在地>
一般社団法人ティアハイム小学校
岡山県加賀郡吉備中央町宮地873
(DCイノベーション内)
(C) 一般社団法人ティアハイム小学校