猫カフェ初の業務停止命令、錦糸町の「ねこのて」に行政処分

※2016年6月17日 追記

東京都の福祉保健局は4月21日、東京都墨田区にある猫カフェ「ねこのて」に対し、30日間の業務停止を命じたと発表しました。

錦糸町 猫カフェ ねこのて引用:blog.livedoor.jp/yoo2ok

 


業務停止の理由

発表によると、「適正な管理」「飼養環境の改善」「台帳類の整備」などについて動物愛護法に違反した状態であり、改善命令を出したが期限までに改善がなされなかったために、動物の販売・保管・貸出し及び展示すべての業務停止を命じたとのこと。

都によると、猫カフェへの業務停止処分は全国で初めてになるということです。

 

猫の管理実態

昨年12月に同店に立ち入りした際、約30平方メートルの狭い店内でマンチカンやスコティッシュフォールドなどの猫62匹を飼育し、病気が蔓延。うち44匹が鼻風邪だった。
引用: 約30平方メートルに猫62匹…「劣悪な環境、病気蔓延」 猫カフェに業務停止命令 – 産経ニュース

店内はふんが落ちている不衛生な状態だった。都は今年2月に改善命令を出したが、風邪をひいている猫を獣医師にみせないなど、管理が不十分と判断した。
引用: 猫カフェ、初の業務停止処分 6畳に62匹、7割が風邪:朝日新聞デジタル

同社は3月までに猫を10匹まで減らしたが、都は飼育環境が改善されないなどとして、業務停止に踏み切った。同区保健所も食品衛生法に基づいて指導を行い、現在、店で調理は行われていない。
引用: 猫カフェ、初の業務停止…「猫多すぎる」と指摘 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

「ねこのて」をめぐっては、利用者から「猫の状態が悪い」「猫が多くて汚い、臭い」などの苦情が相次いでいて、都はこれまでに22回立ち入り、改善勧告や改善命令を行ったが、改善が見られないことから、21日から30日間の業務停止命令を出した。
引用: 墨田区「猫カフェ」に全国初の業務停止命令|日テレNEWS24

 

報道各社によると、30平方メートルの店内に一時期は60匹ほどの猫が飼育されており、畳に換算すると1畳あたり5匹ほどの猫が密集していたことになります。読売の報道では3月時点で10匹まで減らしたとされていますが、それ以外の飼育環境の問題が改善されていないと判断されたようです。

また、この猫カフェは店内で飲食の提供も行っていましたが、墨田区の保健所から食品衛生法に元づいて指導も行われており、顧客にとっても衛生上の問題があったことが伺えます。

 

業務停止命令までの経緯

江戸川区選出の東京都議会議員、上田令子氏によると、この猫カフェは2012年6月25日から2016年3月16日までの間に、19件もの苦情が東京都に寄せられていることが情報公開請求で明らかになっています。

その中には、成長して販売できなくなった去勢/避妊していない猫を経営者の自宅付近で放し飼いにした結果、地域の猫と交配して繁殖してしまい、糞尿の被害などにより近隣住民から苦情が寄せられることもあったそうです(今回業務停止命令を受けた猫カフェはペットの販売事業も行っている)。

その後、都の福祉保健局による指導が行われつつも動物取扱業の更新が認められ、2015年12月15日に放送されたフジテレビの「みんなのニュース」で報道されたことにより、多くの人の知るところとなりました。

フジテレビの「みんなのニュース」ねこのて引用:momosan.hateblo.jp

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この報道の直後には再度猫カフェへの立ち入り検査が行われており、翌年1月には改善勧告が出され、2月に改善措置命令、3月に改善措置の期限を迎え、昨日の業務停止命令が出されるに至ったという経緯になります。

 

今後の流れ

4月21日から1ヶ月間の業務停止命令になりますので、5月20日には業務停止期限を迎えます。

その時点で猫カフェ側に意見陳述の機会が与えられ、改善状況も踏まえたうえで事業継続か、動物取扱業登録の取り消しになるのか行政判断が下されることになります。

 
なお、千葉県の柏市にも「猫の手」という猫カフェがありますが、こちらは錦糸町の「ねこのて」とは一切関係がなく、業務停止命令も受けていません。

東京都:第一種動物取扱業者に対する行政処分について
 

■2016年6月17日 追記
東京都は6月16日、動物愛護法に基づき同店の動物取扱業登録を取り消したと発表しました。猫カフェ業者の登録取り消しは全国初となります。

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