世界ネコ歩きにも登場!アイルランドで最も有名な猫の自伝「羊飼い猫の日記」日本語版が刊行

羊飼いと暮らす一匹の猫の日常をつづったノンフィクション書籍『羊飼い猫の日記 アイルランドの四季の暮らし』が2020年6月19日に刊行されました。

書籍『羊飼い猫の日記 アイルランドの四季の暮らし』の表紙
どこかで見たことある猫…?

本書は主人公の猫が人間や犬、鶏、馬、羊といった仲間たちと過ごす牧場での日々について、アイルランドの四季を通して紹介。終始、猫目線で語られていく本編は「ぼくは牧羊猫のボデイシャス、これは僕の物語だ」という一文から始まります。

<第1部 春>
卵係と春の花々/太陽と恵みの雨/馬、馬、もっと馬

<第2部 夏>
干草の熱い6月/夏の訪問者立ち/怠惰な日々と家族の集まり

<第3部 秋>
サバ雲/秋の思い出/ツバメの旅立ち

<第4部 冬>
初夏の冷え込み/ブラックシープ農場のクリスマス/ウィルスの脅威/泥まみれの一ヶ月

主人公の ボデイシャス(bodacious)はキジトラ柄の長毛猫。とあるお店に迷い込んで居着いていたところ、牧場を営む羊飼いの人間に拾われて一緒に暮らし始めることに。


前書きでは飼い主さんとの出会いから、共に暮らすことになった動物たちの紹介、農場での仕事などについて解説しているほか、本文は春夏秋冬の4部で構成。それぞれ季節ごとに農場での暮らしぶりや、羊飼いの生き方、印象的な出来事などについて、著者のエピソードを交えながら紹介しています。

特筆すべきは、自然と触れ合うさまと季節ごとに訪れるイベントの描写。美しく厳しい自然のなかで生きることがどういうことか、知られざるその生活の魅力を垣間見ることができます。

――小高い丘のてっぺんの牧草地は、心地のいい静寂に包まれている。
トラクターや車の音も、人の声も聞こえない。
毛のふわふわしたぼくの耳を震わせる音は何もない。
もちろん、梢がこすれる音、鳥の歌声、ハイイロリスのやかましいおしゃべり、
カラスの呼び声、彼方で啼くタカ、ノスリのさえずり、牛の呻き声は聞こえる。
そして、ぼくの足下の大地が、氷を解かすあたたかな南風を大きく呼吸する。
(本文より抜粋)

巻頭にはボデイシャスが卵係の鶏を監視したり、美しい花々に囲まれたり、羊飼いや仲間の動物たちと過ごす様子など、農場での日常を捉えたカラー写真が多数掲載されているほか、巻末には読者の涙を誘う感動メッセージも収録。著者からボデイシャスへの深い愛情が、静かに、力強い言葉で綴られています。

物語の主人公であるボデイシャスはアイルランドで最も有名な猫として知られていますが、実は日本でも2018年9月にNHK BSプレミアムで放送された「岩合光昭の世界ネコ歩き(アイルランド編)」に登場した過去があり、帯には岩合さんからのコメントが寄せられています。

書籍『羊飼い猫の日記 アイルランドの四季の暮らし』の表紙、岩合光昭さんの帯コメント付き
帯コメント

著者は本編を通してボデイシャスから「羊飼い」と呼ばれているスザンナ・クランプトンさん。

<スザンナ・クランプトン>
(Suzanna Crampton)
アメリカで生まれ育ち、夏の間は祖父母のいるアイルランドのキルケニーでよく過ごした。バーモント州にある農業大学で環境科学を学び、東南アジアで自然保護活動に携わるなどさまざまな職についたのち、キルケニーに戻って一族の農場を継ぐことに。ズワルトブレス羊やアルパカ、馬、鶏、犬、ネコたちと暮らす。

自身のTwitterアカウント(@ZwartblesIE)では、物語の舞台となったブラックシープ農場の様子が写真や動画などで公開されているので、本書を手に取った人は覗いてみては。

書名:羊飼い猫の日記 アイルランドの四季と暮らし
著者:スザンナ・クランプトン
翻訳:宮崎 真紀
発売:2020年6月19日
版型:四六並製 / 272ページ
出版:ハーパーコリンズ・ ジャパン

情報提供:K.K. HarperCollins Japan

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