海の宅配便で働くねこの冒険物語、「三日月島のテール」シリーズになって新装版(全5巻)が登場

海の宅配便運送会社で働く猫、テールの冒険を描いたファンタジー小説『ドルフィン・エクスプレス』シリーズの新装版が刊行されました。

『三日月島のテール』新装版全5巻
新装版は『三日月島のテール』シリーズ

2002年から刊行されている同シリーズは、ひとり旅を愛する船のり、黒ねこサンゴロウの冒険を描いた『黒ねこサンゴロウ』シリーズ(文:竹下文子/絵:鈴木まもる/刊行:1994年〜1996年)の姉妹編として誕生。

人気ロングセラーシリーズから続く海の冒険物語です。

『黒ねこサンゴロウ』シリーズ
『黒ねこサンゴロウ』シリーズ

主人公のテールは、幼少期を施設で過ごした、身寄りのない若者猫。海の宅配便〈ドルフィン・エクスプレス〉の配達員として、スピードボートに乗ってあちこちの島へ荷物を届けるのがお仕事。以前ヨット・レーサーとして活躍していたことから船の扱いに長けていて、優秀な配達員として活躍しています。

物語の舞台はテールが住む三日月島をはじめ、ヒスイ島、うみねこ島、さかずき島など、さまざまな島が点々とする土地で、いろんな種族の猫たちが登場。配達員たちが運ぶ荷物の中には特別な事情を持ったものもあり、テールは任される荷物をめぐって、毎巻、さまざまな事件に巻き込まれていきます。

そんな『ドルフィン・エクスプレス』シリーズは、今年誕生から20周年を迎える節目の年ですが、名称新たに『三日月島のテール』シリーズとなって登場。

従来のハードカバーから手に取りやすいソフトカバーになっているほか、表紙には全5巻とも描きおろしのイラストが添えられています。

第1巻『ドルフィン・エクスプレス』

書籍『ドルフィン・エクスプレス』の表紙イメージ by 新装版<三日月島のテール>シリーズ
『ドルフィン・エクスプレス』新装版

ある日、テールは配達先のヒスイ島で、なぜか受け取りを拒否されてしまう。送り主は、かつて憧れだった伝説のヨットレーサー、うみねこ島の黒ねこ、サンゴロウだった。

サンゴロウに荷物を返すためうみねこ島へ向かうテール。しかしその謎めいた荷物を運んでいる内に、テールは自分のからだの中に別の生き物がいるような奇妙な感覚をおぼえ始める。その荷物の中身とは?そして、その謎は解けるのか?

第2巻『三日月ジョリー』

書籍『三日月ジョリー』の表紙イメージ by 新装版<三日月島のテール>シリーズ
『三日月ジョリー』新装版

荷物を集荷するためにアサギ岬へと向かうテールは、途中でスリをして追われていた子猫の「ルキ」を助け、面倒を見ることになってしまう。

聞けば行方不明の兄を探してサラの港に来たというルキ。盗んだ財布には奇妙なカードと古い写真が入っていて、それをきっかけにテールは危険なトラブルに巻き込まれてゆくことに……。

第3巻『流れ星レース』

書籍『流れ星レース』の表紙イメージ by 新装版<三日月島のテール>シリーズ
『流れ星レース』新装版

このところ、ライバル会社のカモメ・ネットが、強引なやり方でドルフィン・エクスプレスの得意先に食い込んで来ている。一方、ベテランの同僚ゴンさんが会社を辞めると聞いてショックを受けるテール。

そんな中、上司のヒナコさんに呼びだされたテールは、とんでもない相談を持ちかけられてしまう。迷っているテールのもとに、仲間のヨクが夜間配達で事故にあったという知らせが入り、手に汗にぎるスピード感あふれるレースの場面に引きこまれいく。

第4巻『波のパラダイス』

書籍『波のパラダイス』の表紙イメージ by 新装版<三日月島のテール>シリーズ
『波のパラダイス』新装版

アケビ島での荷物のトラブルが発生して、大事な船に傷をつけてしまったテール。配達の仕事から外されてしまい、落ち込んでいるテールに割り当てられたのは、訓練用の0号船。

社長の命令で、社会勉強にきた少年「ミナミ」の相手をするはめになったテールは、やがてミナミと共に思いがけない事件に巻き込まれていく。

第5巻『光のカケラ』

書籍『光のカケラ』の表紙イメージ by 新装版<三日月島のテール>シリーズ
『光のカケラ』新装版

「ジュエルの祭」が近づく冬の三日月島では、贈り物の配達に追われるテールの忙しさもMAX。ある日、最後の荷物を届けに行った先で、テールは見知らぬ連中にいきなり襲われてしまうが、そこに一艘の帆船が現れた。

運命か偶然か、思わぬ人に助けられることになったテールは、ノアの町で幼なじみのジョナと再会するが、そこでまたもや思いがけない展開が待ち受けているのだった。

作者の竹下文子さんは、 人生の半分以上をヒトより猫の数が多い環境で暮らしてきたという愛猫家。

これまでに数多くの作品を手がけてきた児童文学作家で、本シリーズでもタッグを組んでいる夫の鈴木まもるさんとの共作として『ピン・ポン・バス』などの乗り物絵本シリーズや、『ティラノサウルスのはらぺこないちにち』『トリケラトプスのなんでもないいちにち』といった恐竜絵本を発表しています。

今回登場した『三日月島のテール』シリーズの新装版では、文章はほとんど変わらないものの、表記の統一など細かな修正を実施。鈴木まもるさんが新たに描き下ろしたカットも収録されている、ファンには嬉しい復刊となっています。

<三日月島のテールシリーズ>
1. ドルフィン・エクスプレス
2. 三日月ジョリー
3. 流れ星レース
4. 波のパラダイス
5. 光のカケラ

著者:竹下文子
挿絵:鈴木まもる
出版:偕成社

<参考>
交番にいたのは…言葉を話す猫!?海辺の町で起こる不思議で優しい物語『おまわりさんと招き猫』
白猫が導く、ちょっぴり大人の青春小説『ネコとカレーライス スパイスと秘密のしっぽ』
ねことプレゼント探しの旅に出かけよう!全編リトグラフで描いた絵本「ふしぎなニャーチカ」

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