老化や病気で弱っていく猫とどう向き合えばよいのか?往診獣医師が監修の書籍『猫の介護ハンドブック』
老化や病気で弱ってきた猫のケアについて解説した実用書『猫の介護ハンドブック ~気持ちに寄り添う緩和ケア・ターミナルケア・看取り』が11月30日に刊行されます。
一般社団法人ペットフード協会が昨年発表した「令和3年 全国犬猫飼育実績調査」によると、完全室内飼育している猫の寿命は16.22歳。人間の年齢に換算すると80歳ほどの高齢ですが、近年は動物愛護の機運が高まっていることもあり、年を重ねた猫を最期まで大切にお世話する考え方も定着しつつあります。
しかし、老化や重い病気で十分に体を動かせなくなってきた猫をケアする方法や、介護サービスはまだまだ普及しておらず、且つ猫は知らない人や環境を苦手としやすい気質であることから、他人にお世話を頼みにくいのが実情。
動物病院で検査や治療を受けるものの、自宅では「ご飯を食べてくれない」「投薬や看護的なケアに抵抗する」といった猫の姿に心をすり減らしながら、試行錯誤する人々の悩みがインターネット上でも散見されます。
本書はそんな飼い主さんに向けて、猫を介護する際の実践的な方法や、介護期の猫との向き合い方をまとめた書籍。
食欲がない猫のサポートや、様子を見てはいけない症状、緩和ケアと薬の飲ませ方、最期の看取り方など、全6章に分けてオールカラーで解説。撮り下ろしのハウツー写真やイラストを豊富に交えながら、介護や仕事で忙しい人でも読みやすいよう工夫を凝らしたデザインになっています。
<目次>
序章 猫の介護
1章:食欲が落ちた・食べない猫のサポート
2章:脱水を防ぐ水分補給と皮下点滴
3章:QOLを保つ環境の工夫とお世話
4章:様子を見てはいけない症状
5章:緩和ケアと薬の飲ませ方
6章:ターミナルケアと最期の日々
監修を手がけたのは、在宅での緩和ケアやターミナルケアをサポートし、看取りに関する情報も積極的に発信している、往診専門動物病院「わんにゃん保健室」院長の江本宏平氏。
慢性疾患などに苦しむ猫と、その看取りに直面する飼い主さんに寄り添ってきた江本獣医師による実践的なアドバイスが収録されているほか、愛猫に異変が起きた時に冷静に判断できるよう、あらかじめ知っておきたい見逃せない症状や対応についてもまとめられています。
年老いた猫は健康面だけでなく、夜鳴きや排泄のトラブルといった行動の変化が起こりやすく、飼い主さんにとって深い悩みとなりがちです。
しかし、一緒に暮らしている猫は家族同然の存在。「年をとったのだから、しかたがない」「受け入れるのが飼い主の使命」と真正面から受け止めた結果、暗い気持ちで日々を過ごしてしまう飼い主さんも少なくありません。
特集コーナーでは「悩ましい高齢猫の問題行動と認知症」についてフォーカス。
米国獣医行動学の専門医であり、ねこ医学会学術理事を務める入交眞巳氏のアドバイスをもとに、高齢猫の問題行動となる原因や、飼い主さんができる対応などについて全28ページにわたって解説されています。
出版元の「ねこねっこ」によると、本書を企画した目的は「支え」と「備え」にあると公表。
「支え」とは、今まさに愛猫の介護をしている人に向けて、実践的な情報を丁寧に伝えることで精神面をサポートすること。一方、健康な猫の飼い主さんや、これから猫を迎えたいと検討している人には、老化や病気で弱っていく未来の猫の姿と、介護にあたる自身や家族の姿を想像してもらい、その時が訪れるまでの「備え」として本書を活用してほしいとのコメントを発表しています。
<参考>
・猫の病死の原因1位「がん」にどう向き合う?特徴や早期発見、治療法などを解説した実用書が登場
・猫がマスクを誤食する事例も多発!猫が食べてはいけないものを写真付きで解説した図鑑が登場
・猫を取り巻く環境の変化にどう対応すべき?令和版のねこ生活ガイドブック「猫からのおねがい」
画像提供:neco-necco