なぜ猫は潜ってしまうのか…?穴に出入りする猫たちの決定的瞬間を捉えた写真集「あなねこ」
ペラペラと眺めているだけで、ネコ好きな人々の心を癒やしてくれる猫の写真集。
以前は猫の魅力的な表情を引き出すことにフォーカスした作品が多く発売されていましたが、近年は必死になっている猫、へそ天で寝ている猫、キスしている猫、格闘技をしている猫など、「何かをしている状態の猫」をテーマにした書籍が増えています。
そんな中、またまたユニークなコンセプトの猫写真集が登場しました。
それが「あなねこ」。
「あなねこ」とはその名の通り、ねこが穴に入る瞬間の写真ばかりを集めた世界で唯一の写真集。
あなに入るときのお尻がぷりっと見えたり、あなからひょっこり顔を出したり、あなを覗いているかと思ったら急に手を突っ込んだりと、穴に出入りする決定的瞬間を捉えた写真の数々が収録されています。
猫にとって狭いところは外敵から身を守りやすい安全な場所で、獲物が隠れていそうな場所でもあることから、穴に潜り込むのはそれほど珍しい行為ではありません。しかし、外で暮らしている猫は神出鬼没のため、穴に出入りしている姿を見かけるのは珍しく、ましてやその瞬間をカメラで捉えるのは至難の業。
だとすると撮影者は熟練の猫カメラマン……かと思いきや、プロ野球やボクシングなどの撮影を重ねてきたスポーツカメラマンの繁昌良司(はんじょう りょうじ)氏。これまでに福岡ソフトバンクホークスの元選手に密着した『城島健司 解体心書』や『川﨑宗則写真集The Kawasaki World』、元WBC世界フェザー級王者を撮影した『越本隆志写真集 SOUL CHAMP』などの著作を発表しています。
本書はそんな著者が手掛けた初めての猫写真集で、プロスポーツの撮影で鍛え抜かれた動体視力と瞬発力をフル動員して、ねこの決定的瞬間をスクープ。一般的なねこ写真集ではなかなかお目にかかれない「高速シャッターの世界」を体感することができます。
しかし何ゆえスポーツカメラマンが穴に入る猫の写真を撮ろうと思い立ったのか。
出版元の集英社を通じて聞いてみたところ、何かと世知辛いことが多い世の中なのだから「元気な猫に元気をもらおう」との思いから猫の撮影を開始。
写真を撮りためていくうちに「あなに出たり入ったりするねこ」が見た人の多くをほっこりさせることに気づいたため、思い切って「あな×ねこ」に特化した写真の撮影に挑戦し始めたのだとか。
撮影は福岡県在住の著者が、九州にある「猫島」と呼ばれる島々に通って実施。奇跡の決定的瞬間に笑えてほっこりできるほか、都会や屋内では見られない元気な野生ネコの魅力も感じられる一冊となっています。
また、巻末には「ねこの認知」を研究している髙木佐保博士の特別寄稿も掲載。多様な動物種を扱う比較認知分野において、ネコに対する新たな研究手法を開発して多くの成果を上げた実績から2017年に京都大学総長賞を受賞した専門家で、「なぜ、ねこはあなに入るのか?」という謎について解説されています。
<参考>
・可愛いだけが猫じゃニャい!大ヒット写真集の第2弾「必死すぎるネコ ~前後不覚篇~」
・猫のラブラブな姿に癒やされるニャ〜♪ 島猫の愛情表現ばかりを収録した写真集「キス猫」
・猫のお腹に吸い寄せられてしまう…へそ天している猫ばかりを集めた写真集「へそ天にゃんこ」
画像提供:SHUEISHA Inc.