猫の交尾相手の選び方・交尾中の行動について解説

交尾排卵動物である猫は交尾をすると9割に近い確率で妊娠をしますが、そんな猫の交尾には猫界の暗黙ルールが存在しています。そこでこのページでは、猫の交尾について飼い主さんが気を付けたい注意点も含めながら解説していきます。

猫の交尾相手の選び方・決め方とは?

猫は強くて丈夫な自分の子孫を残そうとするため、近親相姦を避けようとします。そのためオス猫は発情を迎えると、自分が育ったテリトリーから出て、交尾相手を探しはじめるのです。

一般的には、体が大きくて力が強いボス猫タイプが交尾のときは有利になるといわれています。また、交尾を初めて行うオス猫は経験豊富なメス猫に魅力を感じるため、年齢が若い猫よりも出産経験のあるメス猫を交尾相手として選ぶことも少なくありません。

一方メス猫には、交尾を左右する決定権があります。こうした特徴があるため、オス猫は発情期になるとメス猫を巡って喧嘩をし、勝ったオス猫にのみ交尾の権利が与えられるのです。しかし、いくら喧嘩で勝ち上がってきてもメス猫に認められなければ、交尾は成立しません。

猫の交尾前に見られる行動は?

交尾前、オス猫は発情中のメス猫に強い興味を示します。ニオイに惹かれたオス猫は背後からそっと近づき、メス猫の外陰部を嗅ぎまわるのも特徴です。

このときオス猫は、フレーメン反応(笑っているかのように唇をゆがませる表情)やスプレー行為(においの強い尿を排出し、マーキングを行う)を見せます。メス猫の神経を逆なでしないよう、慎重に距離感を詰めていくのも交尾前だからこそ見られる行動です。メス猫に気に入られるため、グルーミングを行うオス猫も多くいます。



一方、発情中のメス猫は神経質になっているため、近づいてきたオス猫が気に入らないときは爪を出して威嚇を行います。デリカシーがないと感じると、激しい猫パンチを繰り出し、オス猫を追い払います。

また、スプレー行為で排出されたオス猫の尿のにおいを嗅ぐと、メス猫の発情は高められますが、目の前のオス猫と交尾をするかどうかの最終的な判断はやはりメス猫にかかっています。

猫の交尾の仕方

目の前にいるオス猫を交尾相手として認めると、メス猫は背をかがめ、尻尾の付け根を撫でたときのように、骨盤付近を高く持ち上げます。交尾を行いやすいよう、尻尾を左右のどちらかに避けるのも特徴です。このときのメス猫は高い声で鳴き、オス猫の気を引こうとしますが、オス猫の態度に不安を感じると、途中で逃げて行ってしまうこともあります。

一方、オス猫はメス猫の受け入れ態勢が整ったら、メス猫の首を噛み、馬乗りになります。ペニスを膣に挿入したら、腰を数回振って交尾を行います。
射精は素早く行われるため交尾自体は2~3秒ほどで終わり、犬のように長い時間連結していることはありません。

猫の交尾後の行動は?

射精が終わるとオス猫はペニスを抜こうとします。

しかし、オス猫のペニスにはトゲがあるので、メス猫は「ギャッ」という鳴き声を出してオス猫を攻撃しようとします。ペニスのトゲによる刺激は排卵を促すために大切なものですが、メス猫は痛みを感じるため鳴き叫ぶこともあります。

こうしたメス猫の攻撃を避けるため、オス猫は交尾が終わると逃げていきますが、人間の手が加わらない自然な交尾の場合は、こうした行動が6〜8回程度繰り返されると言われています。

産まれてくる子猫の被毛の色に違いがみられるのは、メス猫がこの期間に複数のオス猫と交尾をしたことが理由です。交尾後はメス猫からオス猫を誘うことも多くなりますが、2〜3日経つと、メス猫は再びオス猫をまったく近づけようとしなくなります。



飼い主さんが注意するポイントは?

飼い猫を安易に交尾させるのではなく、生まれてきた子たちを終生飼育できるのかよく考える必要がありますし、去勢手術や避妊手術を行っていない猫は飼い主さんによっては大きな負担に感じるケースも少なくありませんので、本当に飼い猫が子供を産んで良いのかについては家族を含めてよく考える必要があります。

仮に繁殖を望む場合には、猫同士の相性を尊重しながら交尾をさせる必要があります。

メス猫は交尾をしてから24~50時間後以内に排卵が起こるといわれていますので、飼い主さんは妊娠する可能性が極めて高い、発情開始から3~4日目に交尾しやすい環境作りを行ってあげましょう。

そのためにまず大切なのが、静かで生活な場所を用意することです。交尾相手のオス猫とすぐに接触させず、メス猫をケージに入れながら対面させましょう。このときケージは、メス猫がストレスを感じないよう、動き回れるスペースがあるものを選ぶのもポイントです。

ケージ越しでメス猫がオス猫を威嚇しにくくなったら、メス猫をケージから出し、オス猫の縄張りの中で過ごさせてあげましょう。猫の交尾は相性が合わないと行われないので、人間の手で無理やり交配させてはいけません。

1回目の交尾が無事に済んだら、オス猫とメス猫を別の場所に移し、体力が回復するのを待ってから再び交尾をさせましょう。妊娠の確率を高めるためには、3回程度の交尾を行うことが理想だとされています。

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